第2話
アクセサリー店 Animaは神獣の森奥深くにあるアクセサリー店だ。
店のドアを開けば、店員であるうさぎの女の子のぬいぐるみが迎えてくれる。
そう店ならば当然、店長がいるのだ。
うさぎの女の子のぬいぐるみは店内は小物や工具が沢山置いてある部屋にいた。
ぬいぐるみの目の先にはイスに座り、作業机に向かっている、黒髪でうさぎのたれ耳をつけた女性がいた。
この女性こそが、アクセサリー店 Animaの店長であり、店頭に並んでいるアクセサリーやこのぬいぐるみの製作者である。
「…で、クゥ、そろそろ開店時間だが何が不満なんだ?」
クゥと呼ばれたぬいぐるみは両手を上下にぱたぱたと振っている。
その様子を店長はうん、うんと頷き。
「寝る時床だと冷たい?お前ぬいぐるみなんだから寒さとか関係ないだろ」
まるで会話しているように返事を返す。
どういう理屈か分からないが、どうやらこの店主はクゥと会話ができるようだ。
「第一、スリープモードと言ってるだけだからお前のそれは睡眠じゃないだろう?ただ動かない時間なら、ベットとかいらんだろ」
クゥはピョンピョンと跳ねながら、抗議をしている。
店主の言葉からすると、どうやらこのクゥはスリープモードのとき床が冷たいのでベット的な何かを店主に求めてきたようだ。
「分かった、分かった、だからそう怒るな…ほらどうせ客は来ないが、そろそろ開店時間だぞ、今日は看板あるんだろ?」
クゥは両手をほほの位置に持っていったあと、片手を店主に向けて数秒固まったあと、そのままドアの向こうへと消えていった。
作業部屋は『STUFF ONLY』と書かれたドアであり、クゥはそこからレジカウンターにのぼる。
開店といっても、店のドアは時間になれば勝手に「Open」になるし、カーテンも時間によって勝手に開く。
クゥにとってはお客が来るまでやることはない。
まるで早くこないかなーとウキウキしていたクゥだが、しだいに大人しくなった。
クゥは基本お客さんがくると覚醒し、看板を持って接客をする。
そのためお客がいないときはスリープモードとなり、レジカウンターに倒れ込むように動かない。
この店は森の奥にあるため、客が来るのがめずらしい。
なので、1日中スリープモードという日がほとんどだ。
店主はアクセサリー作りはとても好きだが、自分では使わないため、物がかさばっていた。
だからちょっと能力アップするアクセサリーにして売り出そうと考えた。
しかし、そこまで人が好きではないため、店を作ったが接客にはマニュアル対応をインプットさせたぬいぐるみを作り対応させていた。
そして自分は店の奥に引きこもりアクセサリーを作っていた。
その生活を長らく続けていたが、ここ最近ぬいぐるみがわがままを言ったり、店主に文句を言ったりしている。
「…自我を持ってるよな…でもただのぬいぐるみだぞ?」
そう店主は言いながらりんごが5・6個入る籠と、無地の布と綿を取り出し、作業を始めた。
日が落ちると『STUFF ONLY』と書かれたドアから店主が籠を片手に現れる。
時間になれば店の扉は勝手に「CLOSE」になるしカーテンも閉まる。
そのため閉店準備をすることはない。
なので、店主が店先に現れることは滅多にないが、朝言っていたことを叶えにきたのか今日は作業場から顔をだした。
「…今日は客こなかったようだな」
店頭にある商品をざっとみて、レジカウンターに向かう。
「こんな風になってれば、それは冷たいな、なんだ?寝相悪くもなったのか?」
と籠をレジカウンターに置き、クゥを抱き上げ、籠の中にいれる。
どうやら籠はベットのようになっており、クゥは寝ているように置かれた。
「…ぬいぐるみに言うのも変だが、おやすみ、よい夢を」
今まで無表情だった店主の顔がふっと微笑みながらクゥを撫で、
そのまま作業場へと戻る。
クゥは朝を起きると見知らぬベットの上で起きた。
寝ている間に店主が作ってくれたんだろうとウキウキして、
あとでお礼を言おうと思いながらまた、スリープモードへとなった。
そしてまたアクセサリー店 Animaの1日が始まる。
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