第38話
ドレシア帝国軍との戦線で共に戦ったレースとリリ、リリス。
彼女たちは現在、アレスと共に行動し、魔族たちとドンパチやっているところのはずである。
「んー。どうやってここにたどり着いたのだろうか……ほーんと不思議。主人公補正って怖いね」
僕が個人的に使っている研究所。
地下に広がるそこそこの広さを持つこの研究所は僕が魂について研究している場所であり、アレゴスが使っていたような魂に干渉する力の研究からルルド魔導帝国の『黒い影』の量産まで。
魂に関する様々なことを研究していた場所なのである。
「こいつが不味いんだよなぁ……」
研究所の床に転がっているルルド魔導帝国より開放されたことになっていて、フェルジャンヌ王国でも大きな被害を出し、アレスによって痛めつけられた黒い影を前に僕は頭を抱える。
「……なんでこいつはこんなことになっているの?」
僕がアレスに倒されると思っていた黒い影は何故かここに転がっている。
「なぜこの魔法を使った……?あのアレスが黒い影を解き放った犯人がルルド魔導帝国ではないと気づいた?んな、馬鹿な」
今、地面で転がっている黒い影にかけられている魔法。
それは魔法をかけた対象へとマーキングをつけると共にその対象を作ったところへと送還するという魔法である。
解き放った黒い影はルルド魔導帝国が作ったものではなく、僕がここで量産した黒影であった。
故に、この黒い影が魔法を受けてこの研究所へと飛ばされたのだ
……こんなことになるならオリジナルの黒い影を実験で使い潰さなきゃ良かった。や、そもそもあの魔法への対策をしっかりと行っておけば……いや、もう既に後の祭りか。
「……証拠隠滅するにしても時間がないしなぁ」
既にこの研究所の入り口にはアレスたちが立っている……5分足らずでフェルジャンヌ王国内を横断するのやめろし。
今から証拠隠滅とかちょっと遅いだろう。
「まぁ……普通に出迎えるか」
僕は自分の身につけている衣装を変え、ここにまで警戒しながら近づいてくるアレスたちを待った。
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