第29話

 フォレンク王国並びにルクス連合国の降伏。

 国殺しの獅子たる英雄の敗北に、大国を殺した『悪夢』フェルジャンヌ王国のノア・ラインハルトという新しい英雄。

 

 ノア・ラインハルト以外のフェルジャンヌ王国の貴族たちの活躍は目覚ましく、王族として直々に戦場に出るララティーナ・フォン・フェルジャンヌも英雄と呼ばれるほどの活躍でもって世界に名を轟かせると。

 

 各地の戦線で順調な活躍を見せているフェルジャンヌ王国であるが、唯一。

 ドレシア帝国との戦線だけは順調とは言えない停滞を見せていた。


 ラインハルト公爵家、ハブルクス公爵家、ハルト侯爵家などの名だたるフェルジャンヌ王国の貴族家に子爵家や男爵家、騎士爵持ち多数。

 同盟国軍まで詰め寄せ、補給状態も完璧。

 フェルジャンヌ王国が最も力を入れているのがドレシア戦線なのにも関わらず、フェルジャンヌ王国は苦戦を強いられて……いや、というよりも劣勢寄りと言えるだろう。

 

 超大国としてのドレシア帝国が持つ軍事力は帝位継承戦真っ最中で国が揺らいでいる状態でもなお圧倒的であった。


 ■■■■■

 

 ドレシア帝国とことを構える最前線。

 そこに建てられるテントの中に僕とレース、リリ……そしてリリスと。

 アレスを除くゲーム勇者パーティーのほとんどが大集合していた。


「対魔法結界面倒だなぁ……いや、僕たちも使っているんだけどね?」

 

「そうね。あれさえなければ他の戦線のように倒せるのだけど」


「僕がフォレンク王国を降伏させた時のような奇襲はもう成功しないだろうからね」

 

 対魔法結界。

 それは一発で戦略をひっくり返すほどの威力を持った大規模な魔法の使用を制限する魔法の一種。

 基本的に大国はこの魔法を使って一人で戦略をひっくり返せる英雄を封じ、あとは数で押し込むという戦法を取る。 

 ……まぁ、アレティアやゼクくらいの規格外の英雄となるとまた別問題なんだけど。

 

 対魔法結界は大国が戦争する際に必須のピースである。

 ちなみにこの魔法の発動をするために必要なコストはかなり高く、基本的には大国しか使えない。


「どうしようかねぇ……」

 

 停滞が続くドレシア帝国の戦線で僕たちは頭を抱えていた。

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