第3話
一度はリリスの申し出を断った僕であるが、リリスがあまりにも粘るので結局全員で街に遊びに行くことになってしまった。
「……リリスも遠慮がなくなってきたよなぁ。最初は公爵家の次期当主だと思い、丁寧に失礼のないよう接してきてくれたというのに」
「他人に対してさほど興味がないノイくんが相手なら多分問題ないよ。別に面と向かって侮辱されても何も思わないし、そいつを殺す必要もなければ無視するでしょ?ノイでも勝てるかわからないほどの圧倒的な力を持つアレスの幼馴染である私を殺して、アレスと敵対しようとするほど私のこと重要視してないよね?」
「……僕ってばそんな冷血漢に見える?」
「俺は盾扱いなのか……」
仲良い人ほぼ全員に他人に対してこれっぽちも興味を抱いていない冷血漢扱いされているの素直にヤバくない?
あと、リリスが完璧に自分の立場を理解しているのが若干ムカつく。
「いや、見えないよ?でも仲良くなってノイの素を見るようになってからは他人への興味のなさをなんとなく理解出来るんだよね」
「ふぅむ……気を付けた方が良いかな?」
「いや、ノイはこれくらいの距離感じゃないと溺れちゃうから今のままで良いよ」
「……溺れちゃうって何?」
僕は溺れちゃうという意味の分からない表現に首をかしげながら街を歩く。
「そのままの意味でしょうね。ここに関しては貴方が一生理解出来ない分野だから気にしない方が得よ」
「そうか……」
僕はレースの言葉に何とも言えない感情を抱いて頷く。
……理解出来ないとはっきり言われちゃうと僕の中の天邪鬼が出てきちゃうんだよな。
「それで?今日は一体どこに行こうと計画しているの?」
「今日はね。最近新しく出来たお店の方に行こうかなって思って」
「最近この町じゃたくさんの飲食店が出来ているから、どれかわからないんだけど?」
「あっ、そうか。北通りに新しく出来たパンケーキ屋って言えばわかるかしら?そもそもパンケーキ知っている?」
「あぁ。あそこね」
「今、パンケーキ人気ですよね。クラスメートたちもパンケーキの話をしている人が多い気がします」
「いくらなんでも馬鹿にしすぎじゃないか?最近できたものとは言え、これだけは流行っていれば俺でも知っている……それにしてもパンケーキか。俺は甘いもの苦手なんだよなぁ」
「……はぁ」
僕は不本意ながらぐいぐい来るリリスに押され、近づきたくはないアレスと行動を共に多くなっていた。
……僕ってば案外押され弱いのかな?
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