第37話
訓練場に続々と集まってくる僕の同級生たちだったのだが……先生のたちの指示で僕たちは目的地を闘技場へと変えさせられていた。
「なんでこんなところに……?」
闘技場の観客席に座る僕は先生たちの指示で観客席へと座っている自分の同級生たちを見ながら首をかしげる。
「何か面白い催しものでもやってくれるのかしら?」
「さぁ?わからないな」
「……アーテが望む面白い催しものとかなんか怖い」
「あら?私は普通の演劇とか結構好きよ?文学や芸術、創作は人間の誇れるところよね」
「え?意外」
アーテは人間を見下しつつもちゃんと評価するべきところは評価しているからね……ん?なんかこの言い方だとアーテが人間じゃないみたいじゃないか?
いや、まぁアーテはそんなもんか。
「おぉん?」
観客席に同級生全員が座り終えた頃に……遠くからこちらへと近づいてくるドラゴンの気配を感じて視線を上へと向ける。
「あら?珍しいわね」
僕たちのいる闘技場の上空で止まったドラゴンを見てアーテが声を上げる。
「……ま、まさか」
「おはよう。この世界で地上を這いずり回る蛆虫たる諸君!」
ドラゴンの上に乗っていた一人の少女が魔法で言葉を大きくしながら口を開く。
「……あ?」
「……」
初手の段階で僕らを見下し、口を開いたドラゴンの上の少女。
「抑えろ!?」
「ダメだよ!?あの子は序列三位の本物の強者だ!喧嘩を吹っ掛けて良い相手じゃないよ!」
ぶち切れ、今にも飛び出しそうになっているアーテをセルフィオとリリカルが止める。
「ノイも手伝って……ノイぃ!?」
アーテを押さえつけているセルフィオが助けを求めて僕が座っていた観客席へと視線を送る。
「例年自分の力を見誤る愚か者が私たちに喧嘩を吹っ掛け、私たちの手を煩わせることがある……ゆえに!ここは天空を統べし王たるこの私が貴様に現実を叩きこ……ッ!?」
「ほざけ」
だが、既に僕は遥か上空だ。
空を飛んでいるドラゴンの頭へと足を振り下ろし、地面へと叩きつける。
「天空の王は我だ。大地も、海も、天空も……この星のすべてが我のものであり、我こそが王だ」
赤城蓮夜は別に他人に見下されようとも何とも思わない。
しかし、ノア・ラインハルトたる僕は他人から見下されることを許容しない。
「ちょっと空を飛べるドラゴンを手なづけたくらいで貴様にこの我直々に現実を叩き込んでやろう。感謝するが良い」
魔法を使って空を飛ぶ僕は自分の手袋を地面に転がるドラゴンの上に乗った少女へと落とした。
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