第34話
「ほい、僕の勝ち」
アーテの手に握られていた剣を弾きとばし、彼女の体を地面に叩きつけ、その首へと剣を突き付けた僕は勝利宣言を口にする。
「……負けた、かぁ」
「まぁ、ここは僕の間合いだしね」
僕は剣を収め、地面に倒れ伏すアーテの方へと手を差し出す。
「確かに私はどちらかと言うと魔法が得意だけど……剣術もちゃんと使えるし、人生で近距離戦に負けたのなんて初めてだよ」
差し出された手を掴み、立ち上がったアーテが口を開く。
「僕は君ほど多彩なオリジナル魔法を持っていないからね。近距離戦くらい勝てないと君の隣に立てないよ」
「むふふ。嬉しいことを言ってくれる」
「さよか……っと」
僕は自分たちの戦いを呆然と眺めているだけで手も足も動かしていない他のクラスメート並びに先生へと視線を向ける。
「先生。授業は真面目に受けるものなのでしょう?ちゃんと動きを止めている生徒たちに動くよう注意した方が良いと思いますよ?」
「いや……それよりも、なぁ。え?ちょ、強すぎじゃ……」
僕たちの戦いぶりを端から見ていた先生が信じられないものを見るかのような視線をこちらに向けてきながら困惑気味に口を開く。
「ふっ。この学校のレベルも落ちたものね」
「アーテ、昔のレベルを知らないでしょ?勝手なことを言うの辞めな?あと嫌味を言うの……というわけで自分たちが特に実技の授業で教わることはあんまりなさそうなので隅っこで大人しくしてますね?」
僕はこの学校の先生全員を相手取っても勝利出来る自信がある。
そんな相手に先生たちが教えられることなどないだろう……まぁ、それは実技じゃなくて科目全般に言えることなんだけど。
何のために僕とアーテは学校に来ているんだろうね?
「……良いだろう。許可しよう」
「良し。と言うことで隅っこ行こ?アーテ」
「私、真ん中が良いんだけど」
「僕たちがいるところが世界の中心だよ」
「まぁ、それもそうね」
アーテが僕の言葉に頷く。
「ということで移動しよや……ところでなんだけどさぁ。アーテのオリジナル魔法幾つか教えてくれない?」
「良いわよ……理解出来たらね?」
「ふっ。してみせるさ」
僕とアーテはクラスメートたちを置き去りにして授業をそっちのけ、訓練場の隅っこ魔法の講義を始めだした。
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