第15話

 サリアと一戦交えたその次の日。


「レイよ!……レイはいるか?」

 

「はい。現在アジトの方にいらっしゃいます」


「そうか。では呼んできてくれ。僕はいつもの場所で待っているから」


「承知しました」


 僕は護剣の影のアジトへとやってきていた。

 とりあえずレイの姿を見つけることが出来なかったので、そこらへんに居た構成員の一人にレイを呼びつけるように命令し、僕がいつも使っている部屋へと向かう。


 コンコン。

 

 僕が紅茶を飲んでゆっくりしていると、部屋の扉がノックされる。


「入れ」

 

「失礼します」

 

 部屋の扉を開け、何故かぐっちょりと汗だく姿のレイが部屋の中へと入ってきた。

 

「……よいしょ」

 

 レイは座っている僕の膝の上へと腰を下ろし、体を擦りつけてくる。


「んっ……それで?一体私に何の用でしょうか?」


「筆下ろし?とやらをしようと思ってね!」


「ふ、ふ、ふ、筆下ろしッ!?」

 

 僕の言葉を聞いてレイが飛び跳ね、顔を真っ赤にしながら信じられないと言わんばかりの表情を


「な、な、な、何を示す行為がわかっておいでですか!?」


「うむ。えっと……ピー、ピー、ドンドン、ギィー(レーティングに反するため伏せ字でお送りします)ってことだろう?」

 

「……わっ……わっ……わっ」

 

 僕の説明を聞き、レイが顔を真っ赤にし、二の句が告げられなくなっている。

 ふぅむ……無知を装ってセクハラするの楽しいンゴ。癖になりそう。


「それが筆下ろしでしょう?」


「そ、そ、そう……ん?筆下ろし?」

 

 僕の言葉を聞き、レイが固まって首を傾げる。


「うむ」


「えっ……その、ちょっと違く、ないですか?」


「む?違うのか?」

 

 僕はレイの言葉を前に首を傾げる。

 

「少しだけ……違うかと思うのですが。わ、私はそんなこと出来るほど経験……というか、皆無ですので……その……」


「むっ。サリアは筆下ろしであると言っていたのだが」


「えぇッ!?」

 

 僕の言葉を聞き、レイが驚きの声を上げる。


「そ、そ、その……えっとぉ」


「サリアめ。気持ちよかったから許してやるが、間違った知識を僕に教えるのは許さない……」


「えっ……わっ、き……気持ちよかった……」


「うん。だから、レイともしようと思ってね!」


「そ、そうですか……え、えぇ……あぁ、はい。そうですか……うん」


「……」

 

 感情がジェットコースターのように浮き沈みしているレイ。

 彼女の姿を見るのはこう、何か実にそそるものがあった。

 別に僕はSというわけではないのだが、彼女のしゅんとした姿を見ると新しい扉を開きそうになる。

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