第2話
太陽が昇り始めた……そんな時間に。
「ふわぁ……」
目が覚めた僕は体を起こし、眠気眼を擦りながら体を伸ばす。
「すぅ……すぅ……すぅ……」
眠りから覚めた僕……その隣にはメイド服を着たままのメイドが気持ちよさそうに眠っている。
肩まで伸びる黒と蒼のメッシュの短髪を持ったクールで美しいお胸を持ったメイドさんだ。
「もみもみ」
僕は一切の躊躇いなく両手をメイドの双丘へと伸ばし……手で揉みまくる。
「んんっ」
「柔らかい」
僕はメイドの柔らかな胸部に頷き、十二分にもみほぐしてから立ち上がる。
「ふぅ……」
流石は公爵家長男の部屋と言うべきか、僕の部屋の大きさはワンルームの家の大きさを優に超え、置かれているベッドも大きくて寝心地が素晴らしく、置かれているテーブルも椅子も一級品。
部屋の各所に施されている装飾も豪華の一言に尽きる。
「……ちょっと落ち着かない」
慎ましい生活を送っていた前世の記憶を思い出した僕は今の部屋に落ち着かなさを感じながらも椅子に座り、テーブルの上に置かれている手帳を開いて羽ペンを握る。
この手帳は僕がつけている日記であり、毎朝、昨日のことを思い出しながら書いているのだ。
「……これからは日本語で書こうかな」
記憶とは実に忘れやすいものだ。
ゲーム知識を忘れることがないよう大事なことを日記に書き連ねていく。
「まっ、こんなものか」
ストーリーの概要、重要なイベント、主要キャラの詳細、注意しなければならない相手の詳細。
それらを事細かく記した僕は羽ペンのインクがなくなったことも相まって、一度手を止めて日記を閉じる。
「ふわぁ……」
僕が日記を書き終わるのと同じタイミングでメイドが目を覚まし、体をベッドより起こす。
「む。起きたか」
僕は視線を日記からメイドへと移して口を開く。
「はっ!す、すみません!私の方が遅く起きてしまって……こ、こんなに早くノア様が起きるとは思わず……」
「罰だ。今夜もここに来るように」
「は、はい……」
僕の言葉にメイドは頷き、急いでベッドから立ち上がって自分の身だしなみを整えて僕の側に立つ。
「うむ。それでよい。朝食の時間だ。食堂に向かうぞ」
「承知致しました」
僕は椅子から立ち上がり、扉の方に向かう。
「あぁ……そうだ。忘れていた。汝、名は?」
そこで一度ぴたりと立ち止まり、メイドの方へと視線を戻す。
「え?あっ……さ、サリアと申します」
「うむ。サリアか……記憶した。サリアよ。これからも我のため、働くが良い」
「しょ、承知しましたッ!」
僕の言葉に力強く頷いたメイド、改めサリアを連れ、僕は食堂へと向かったのだった。
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