一文字の物語
淡雪
第1話一本針
今日は朝から珍しく、呂望 《リョボウ》は
ここは後に“
さて、釣りを楽しむ為に来た
どうやら、気に食わないことが、彼の身に起こったようだ。
しかし、よくよく聞いてみると、怒りまで感じるような愚痴ではなさそうである。
「
“ギャフンと言わせてやる!”と、
出掛け際に笑顔の
その途端、彼の顔は一瞬で青くなり
「やられた……」
と、困惑した表情で呟いた。
その頃の
その図鑑の内容が楽しいというわけではないらしく、思い出しては笑っているようである。
その姿を、端から見て不思議に思った、
「どうかなさいましたか?」
と、落ち着いた口調で訊ねた。
「うん、あのね」
そう返事をした
「先日、桃源郷で仕入れたトマトっていう野菜の苗の一つを、
「それで?」
「それで、今日釣りに使う針を全部真っ直ぐに伸びた針と交換してあげたんだ!」
「それでは魚は釣れませんね……」
「因みに、餌は小さいミミズだよ」
「ますます釣れませんねぇ……」
聞かなければよかったと、眉をひそめてそう答える
やっちゃったら、取り敢えず謝っておいた方が良いというお話。
お仕舞い
イメージした漢字:一
令和4(2022)年12月11日8:53~9:15作成
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