第3話 遭遇
前書き
前回のあらすじ
召喚の実験を行う主人公
本文
スーパーカブで移動中。目下、草原が広がり最高のドライブ日和...っと言いたいが、現在追われています。
「なんで、こうなるんだよ!」
ウルフっぽいモンスターに追われており俺を食い殺さんとばかりヨダレを垂らしている。
フルスロットルでエンジンをふかし、爆走しているのだが中々距離を取れない。ウルフの足が速い。ウルフにつられて別のモンスターもいる。
(ちくしょう、ちくしょう。クソっ!召喚するまでの想像力が...)
草原と言っても、所々木がありそれを避けるとなると運転に集中しないといけない。並列思考が出来ればいいんだけど、俺はそこまで有能ではない。でも無能でもないと思う。
「あっ!馬車みっけ...よし...突っ込んでモンスターを擦り付けてやる...くふふふふふ。」
「な、なんだっ!モンスターの群れがこっちに来るぞ!おい、傭兵ども!なんとかしろ!」
馬車の周りに人がいる。それに、結構大きい馬車だと思うんだけど...まぁいいや。
「オラオラッ!俺の為に死んでくれぇ!」
スーパーカブに驚いているのか、モンスターに驚いているのか分からないが...馬車に派手に衝突し、俺は空中に放り出される。
「あぁーーー、着地どうしよーーーーう。
ぐへっ、
「はぁはぁはぁ。な、なんとかなった...す、すまん。俺のために犠牲になった者たちよ。」
馬車の方をみると、傭兵に指示を出していた人間が食い殺されているた。酷い...食い殺すのが終わったのか、馬車の中にあった檻をどついたり噛んでいるようだ。
こんなことなら、壁役、魔法使いの仲間が欲しいな。俺の力を秘匿してくれる者がいい。無いものねだりではあるがこれは最低限の必要事項だ。
「それでは、モンスターを鏖殺だ。
モンスターだけを狙って光線が貫いていき、異変に気づいたモンスターは散り散りなっていくようだが無駄だ。
「アハハハハハッ!しねぇー、貫かれてしねぇー!俺の恐怖を思い知れクソどもがっ!くふふふはははははヒャーっハー!」
ものの数秒で人間もモンスターも死んだ。なんて残酷なんだ...と思ってみたが、なんも心に響かない。正直、どうでもいいとさえ思う。何人死のうが、何人、何匹殺しても何も思わない。
(だって、俺はこの世界の住人ではない。それに...俺の目標は平凡な世界で余生をまったり暮らすこと。たまに冒険者として身体を動かせば運動不足にはならないだろ。)
「うん?なんだアレ?モゾモゾ動いている?」
あれは、檻の中?血溜まりで真っ赤になっているが恐らく生きていると思われる。申し訳ないが死んでもらうしかなさそう。商人風の男と傭兵の物を拝借してから殺すとしますか...
「た、助けて...」
(女?面倒なことになってしまった...)
スーパーカブを頭の中で念じて消失したのち商人たちから金品を奪い、リングに束になった鍵を押収する。
気が進まない。俺の正体がバレるのは避けたいところだが...
「た、助けてく、ください...」
(はぁー...この惨劇は俺が作り出したんだよなー。仕方ない、道案内や知識がこの先必要になるだろうし、うん、これは仕方ない。)
血が溜まり、死臭が漂っており早くここから離れたい。檻についている鍵を解錠し、女に声をかける。
「おーい、檻の鍵を外したぞー。うっ...臭いが酷いな。早く出てきてくれ。歩けるか?」
檻の中にいた女の片方の足に檻に繋がっている鎖のため身動きが取れないようだ。鍵を女の前に投げ、俺は檻から距離をとるが両手も手錠をされているため中々外せない。
(女が俺を見て外してくれとばかり見つめてくるが...)
「仕方ないな...足の鎖だけは俺が外す。少し待ってろ」
女の前に放り投げた鍵を拾い、いくつもある鍵を差し込みながらやっとのことで外すことが出来た。傭兵などの返り血で血で真っ赤になっている女...少し怖いな。もぞもぞしながら檻から出てきた女。
「助けて頂きありがとうございます...」
真っ赤に染った女から感謝されたが、弱っているのが分かる。苦しいのか肩で息をしているし...ここまできたら治療も含めて世話をするか...
俺の後を着いてくる女。死体の山から離れ、俯いている女に向き直り手錠を外す。
(この辺りでいいか。周囲に人やモンスターはいない。
突然プレハブが出現して目を見開いて驚いているようだが、それよりも治療が先だ。召喚については後で口封じすればいいだろう。
「さあ、このプレハブに入る前に汚れを落としてもらう。申し訳ないがその...薄着?肌着?のまま血を落として。(
俺はプレハブに入り召喚で女性の服などを用意する。
(さすがファンタジー世界。あの女、耳が長く尖っていたな...種族はなんだろう)
後書き
次回 ハーフ
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