第3話リオのギフトと従魔
”古の女神より授けられしギフト”
『武器召喚』
何も無い空間から想像した武器の出し入れが出来、また武器を創造する事も可能。
※武器の創造には素材等が必要である
『従魔』
女神より貸し与えられた従魔。姿を自由自在な物に変化させることが出来るが首に巻かれることを好むためほぼストール姿のままでいる。
温度の調節も可能で年中身に付けられてストールの伸縮が自在に操れる万能ストール。
『テレポート』
一度行った事がある場所なら何処にでも一瞬で行くことが出来る。
※一日三回までの使用制限あり
『異空間ボックス』
簡単に言うとアイテムボックスで異空間に出し入れが可能。
※アイテムボックス<<<<<異空間ボックス
異空間は時間が停止しており、食材等の保存に役立つと共にパーティーメンバーの一人に居るだけで移動の効率が上がるため人気なギフト。
『古の女神の祝福』
幸運値が上がり不幸に見舞われにくくなる。
全ての物に対する耐性が上がり死ににくい。
全ての種族の言語や文字が理解出来て読み書き会話が可能。
※信仰心が高まれば…………
そこに表示されたリオのギフトは全部で五つもあった。
あの時、俺の願いは本当に叶えられたんだな…
しかも一つだけではなかったということに自分の予想をいい意味で裏切られて衝撃を受けた。そしてあの時の出来事は夢でなく現実であったのだと。
この中でリオが気になったのは『武器召喚』と『従魔』そしてやはり一番は『古の女神の祝福』という名のギフトであった。
あの教会で聞こえた女性の声が古の女神様であったこともリオは今初めて知った。昔別館に置いてあった本で読んだぐらいの知識しかなく、正直よくは知らない。
知っている事といえば古の女神様はその名前の通りずっと昔、はるか昔から存在した神様であり一番古い”始まりの女神様”であるのだと云われていることぐらいだ。
ただ何故そう言われているかは他の神様に比べて文献が余り残っていないため、よく分からず謎が多いままなんだそうだ。
本当に存在したかさえ疑われてしまうほどに…
男なら誰しもかっこいい物に一度は憧れる。『武器召喚』響きだけでもう既に良いのだが、自分の想像した武器を出し入れできるっていうのが更に良い。
この点は女神様に感謝の気持ちで一杯だな。
無事にギフトの確認を終えたのでリオは水晶から手を離した。その瞬間、離す前までは表示され目の前の空中に見えていた文字は消えた。
「ありがとう、助かった」
「いえいえ、無事に確認出来た様で何よりです」
ギルド職員は使い終わった水晶を元の場所に戻しに奥へと行ってしまった。その間紙の記入を進めていたのだがギフトの有無とポジションで悩んだ。
悩んだ末リオはこう書いた。
【名前】リオ【年齢】十八歳【種族】人間
【ギフト】有り ”アイテムボックス”
【ポジション】前衛、中衛兼荷物持ち
【昇級試験】受けない
ギフトは有無だけだとな…と思い、異空間ボックスではなく一般的で珍しくはない人気なアイテムボックスと書いておいた。
目立ってあまり注目を集めるのは嫌なのだが他にまだ書けそうなギフトがなかったため仕方なくだ。
正直ポジションはよく分からずアイテムボックスがあるため荷物を多く持てることだけ書いて後は適当である。
昇級試験は受けないでFランクからのスタートにした。やっぱり冒険者の醍醐味を味わうためには狡をせず下から地道に上がっていかなければ。
それに旅をして行けば自然とランクも上がっていくだろうしな。
紙の記入を全て終えたのでリオは受付の男性へとそれを渡した。
「はい、字の間違いも一つもなく大丈夫なようなのでこのまま登録させて頂きますね」
「あぁ、よろしく頼む」
男性は紙を受け取ってからミスなく確り書けているかを注意深く確認をしてからリオの冒険者登録をしてくれた。
登録が終わるとギルドカードを渡されると共に冒険者についての説明をされた。
その説明によれば、ランクは
【SSS】【SS】【S】【A】【B】【C】【D】【E】【F】
まであって最高がSSSで最低がF。カードの色もそれぞれランクの分類事に別れており、最高ランクのSSSだけは虹色で煌めきがあるそう。
SS~Sランク帯はゴールドでA~Cランク帯まではシルバー。そしてD~Fランクまではブロンズとなっているようだ。
また依頼を受けそれを達成していくことで自然とランクが上がる。それによって更に高難度の依頼を受けられるようになる。
しかもランクが上がると共に知名度と信頼度も上がって国や貴族などの偉い人達から指名依頼を出されたりすることもあるらしい。
そういうのは決まって破格の報酬が約束されているので指名依頼を出されたい冒険者は山ほどいるそうだ。
説明を聞き終えたリオはおすすめの宿を受付の男性に聞いた。
「この辺で良心的な価格でおすすめの宿はないだろうか」
「でしたら冒険者になりたての方だけでなく、この国で人気なグラントの宿がオススメですよ。一泊のお値段も他の所と比べたら良心的なので」
グラントの宿は一階に食堂が併設されていてメニューは”本日のオススメ”一つだけなのだが、出される料理はいつ行っても美味しいのだとか。
ただ食事代は泊まる料金には含まれないため自分が食堂で食べた分は食べ終えた後払わなければいけない。
しかしメニューが一つだけしかないため、値段も銀貨五枚と安く宿に泊まったお客さんの殆どは食堂で食事をするようだ。
数分街を歩けばギルドからほど近い場所に教えて貰ったグラントの宿を見つけた。その中に入ると恰幅のいい四十代ぐらいの女将さんが受付に立って出迎えてくれた。
「いらっしゃい、料金は一部屋大銀貨三枚だよ」
「そうか。女将さん俺は一週間泊まりたいのだがそれは可能だろうか」
「それは可能だよ。だけど七日間分の泊まる料金を先に支払って貰うことになるがそれでもいいかい?」
「あぁ、それで構わないから一週間分頼む」
「はいよ。それじゃあ金貨二枚と大銀貨一枚になるよ」
追放される際に餞別で貰ったお金がまだ残っているのでそこから一週間分の泊まる料金を支払った。
部屋に来る前に先に食堂で食事を済ませてきたのだが、聞いていた通り本当にメニューは一つだけしかなかった。それを食べたら追加でもう一つ頼んでしまうほど料金以上の美味さだった。
部屋ではずっと気になっていた『従魔』を呼んでみようと思った。
名前をつけてそれで呼べばいいのだろうか…?
それともカッコつけて”従魔召喚”と言えばいいのか悩んでいたら自然と「従魔…」と口に出ていたようで声に出した途端、目の前に深い赤茶色の狐が現れた。手足と鼻先だけは白色で耳に飾りを付けていた。
「あの教会の時から近くでずっと貴方様を見守ってはいたのですが姿を現すことは出来ず、今日やっと呼んで貰い姿を現せました。」
「俺の傍にずっと居たのか…?」
「はい。怪我や危険な目に合わないようにと。ではリオ様私に名前を下さいませ」
名前をと言われたのだが突然だと直ぐには思いつかずリオはうーーと唸りつつしばらく悩んだ。悩みすぎると馬鹿になるのか狐の鳴き方を考え始めコンコンだよなと。
そこからはコンだとそのままで味気ないしな…となり最終的に何故かフォンが思い浮かんだ。
「フォン」と口に出してみれば案外悪くないと思いリオは狐の従魔にフォンと名付けた。
フォンも文句は無いのか「ありがとうございます」と言い尻尾を左右にフリフリしていたので喜んでいるのかもしれない。
フォンは普通の従魔とは少し違うようで食事をしなくても大丈夫なようだったが、聞けば普通に食べられるとのこと。なので宿に着くまでの道中の屋台で買った鳥焼きを異空間ボックスから出してフォンにあげたら美味しそうにパクパクと食べていた。
<貨幣の設定>
白金貨一枚=百万円 大金貨一枚=十万円
金貨一枚 =一万円 大銀貨一枚=千円
銀貨一枚 =百円 銅貨一枚 =十円
としています。実際の貨幣の価値と合っていない場合はそこは気にせずスルーして頂けると…。
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