孤独な私は傭兵になる

シエロ* Lv.15

第1話:すべての始まり

お兄ちゃんが死んだ。


両親が他界してから、まだ幼い私を育ててくれた、優しいお兄ちゃんが。




いつもは日没までには帰ってくるはずのお兄ちゃんが、昨日は帰ってこなかった。


今日はもう帰ってこないのかな。

お腹をすかせながらそう考えていると、玄関の扉が勢いよく開き、お兄ちゃんが帰ってきた。


だけど、いつもと様子が違った。

腕に巻かれた白い包帯には血が滲み、服はところどころ破れたり、焼けたような跡もついていた。


いつもはお兄ちゃんが作った夜ご飯を食べていたが、この日だけは店で買ってきたご飯を食べた。

ご飯はおいしかったが、お兄ちゃんの様子が気になって少ししか食べられなかった。


ご飯を食べると、私とお兄ちゃんはすぐにベッドに横になり、眠りにおちた。




そして、今日の朝。


隣を見ると、冷たくなって動かなくなったお兄ちゃんがいた。


「もしも僕が冷たくなって動かなくなったら、あそこの十字架の石の下に僕を埋めてね。」

寝る前にお兄ちゃんがそう言ってたから、私は言われた通り、庭の十字架の石の下にお兄ちゃんを埋めた。


もう生き返ることはないんだと思うと、すごく悲しくて、すごく寂しくて、涙が止まらなかった。


お父さんとお母さんだけじゃなく、お兄ちゃんまでもが、私をおいていってしまった。


でも、仕方ないことなのはわかってる。


お母さんは病気で死んだ。それにショックを受けたお父さんも徐々に体調が悪化して、あとを追うように死んだ。

お兄ちゃんは、お金を稼ぐために命がけで仕事をしていたらしい。

多分、それで昨日は傷だらけだったんだろう。


みんな、わざと死んだんじゃないのはわかってる。


でも、やっぱりすごく悲しくて、すごく寂しくて、まだ涙は止まらない。


私は、ただひたすら泣き続けた。


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