『20歳の自分に受けさせたい文章講座』

『20歳の自分に受けさせたい文章講座』

 著者 古賀史健

 星海社新書 本体八四〇円(税別)


 大学卒業後、出版社勤務を経て二十四歳でフリーに。三十歳から書籍のライティングを専門とする。以来、「ライターとは“翻訳者”である」「文章は“リズム”で決まる」を信念に、ビジネス書や教養書を中心に現在まで約八十冊を担当。多数のベストセラーを手掛け、インタビュー集『ドラゴン桜公式副読本 16歳の教科書』(講談社)はシリーズ累計七十万部を突破。

 著書に『取材・執筆・推敲』のほか、三十一言語で翻訳され世界的ベストセラーとなった『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』(岸見一郎共著)、『古賀史健がまとめた糸井重里のこと。』(糸井重里共著)などがある。構成・ライティングには、『ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。』(幡野広志著)、『ミライの授業』(瀧本哲史著)、『ゼロ』(堀江貴文著)など。

「書くこと」に特化したライターズ・カンパニー、株式会社バトンズを設立。次代のライターを育成し、二〇二一年七月よりライターのための学校「batons writing college」を開校。

 本書は単著デビュー作となる。


 小説に限らず、文章全般にも触れている。タイトルにもあるように、文書には読者が必要であることも本作で触れられている。

 本作は、ライターが教える文章作成といったところ。

「書く技術とは、考える技術を身につけること」であり、頭の中をぐるぐるしているものを、伝わる言葉に翻訳したものが文章だとされている。

 文章を書こうとして固まってしまうのは、自分の中でぐるぐるして整理がつかない状態であり、自分の気持ちを上手く文章出来ないと、ぐるぐるを誤訳してしまうと書いている。

「書く」意識より「翻訳」する意識を持つことが大切で、ただ自分の書きたいことを書くのではなく、「相手」を意識した書き方をする点は創作にも通じる。

 映画には絵コンテがあるのかといえば、頭の中を可視化し、参加する全員とイメージを共有するため。おなじことを、文章を書くときにもするべきだと書いている。なぜなら、構成を目で追えるし、頭の中のぐるぐるを可視化でき、誤訳しなくてすむからとある。

 とくに、不特定多数に読まれるために書くと、誰からも喜ばれないものとなるという。

 書く上で大切なことも書いてあるので、作品を作ろうと考えている「あなた」には、読んで損はない一冊と考える。

 人によっては、読みにくく感じる人もいるかもしれない。また、本書を読めばすぐに作品が書けるようになるわけではない。

 

 タイトルに『20歳の自分に受けさせたい』とあるように、なるべく早いうちに知っておくと後々こまらないようなことが色々書かれている。とくに十代や二十代の人に勧めたい。文章量が多いので、がんばって読んでほしい。もちろん、二十歳以上の人が読んでも参考になる。

 購入するかしないかは、書店ないし図書館に足を運ばれて、ご一読されて判断されるのが賢明である。

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