天使に恋して☆彡

夢月みつき

第1話「風花と露天商の老婆」

〇登場人物紹介〇


NO.1 桜井 風花さくらいふうか 年齢14歳  性別 女性

優しい性格で、気の弱い中学二年の主人公の少女。

毎日、同学年の生徒から酷いいじめを受けている。

そんな最中、いつもの帰り道で不思議なお婆さんと出会う。


NO.2露店商の老婆 年齢不明  性別 女性

風花のアパートの近くの路地で、露店を開いていた不思議なお婆さん。

風花の話しを聞いてキューピットの矢を売る。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


夕方、夕日がアスファルトの道を照らしている

学校の帰り道、少女が一人歩いていた。

桃色の髪を肩までのばし大きな瞳のきゃしゃな身体つき、可愛らしい少女。


中学二年の桜井風花さくらいふうかである。風花は、そのおとなしくておっとりとした性格から

学校で、いじめを受けていた。そのせいもあって、友達も一人も出来ずこうして

いつも一人で帰っているのである。風花は薄暗い路地に入った。

「ああ、相変わらず薄暗くて気持ち悪いっ。でも、ここ通らなきゃ家には帰れないし、しょうがないなぁ」


風花はビクビクしながら歩いている。

道端に露店があり、黒いフードをかぶった老婆が古びた椅子に座っていた。

横目で見ながら通り過ぎようとすると

「お嬢ちゃん・・・何か悩みがあるね?」


声をかけられ思わずビクッと肩を震わした。

「はいっ!」ふり向くと、老婆は優しい表情で微笑んだ。

「その服の下からみえているアザは、ぶつけて出来たものじゃないね?」

風花は驚き「あっ、あのっ! もしよろしければ。聞いていただけますか?」

「私でよかったら相談にのるよ?」にっこりと微笑んで言った。


風花は不思議と、この人なら何でも話して良い気がして

自分が学校でいじめられている事や、一人も友達がいない事を話した。

老婆は切なげな表情をして。

「そうなの。それは辛かったわね・・・でも、私だったらその悩み解決できるわ」


風花の頭をなでると、一本の先の部分がハート型の矢を差し出した。

「この矢はキューピットの矢といってね。

どんな恋の願いごとも叶えてくれるキューピットが呼び出せるんだよ」

風花は、うつむいた。

「でも、私・・・好きな人もいないですし」


老婆は目を丸くして微笑む。

「おやまあ、そんなに可愛くて、もうすぐバレンタインだっていうのに好きな人もいないとはねえ…まあ良いよ、このキューピットは、友達にもなってくれるんだ。この紙に呼び出し方が書いてあるから騙されたと思って、やってごらん?」



「はいっ、ありがとうございます!」

風花は疑うこともせず、キューピットの矢を買うと、家に帰った。

風花の家は両親とも共働きで、風花は薄暗い自分の部屋に入ると、

電気をつけた。いつものように薬箱から傷薬を取り出すと、

学校でつけられた身体中のアザに、薬をぬる。



風花は顔をしかめた。

「いたた・・・今日も派手にやってくれたなあ、なんで私だけいじめるんだろ?やっぱ、ブスなのと性格が問題なのかな」

彼女は悲しげに、うつむき苦笑いをすると、瞳から涙が流れ頬を伝った。

紙袋から、さきほど買ったキューピットの矢と、説明書を出した。



風花は真剣な表情で、ピンク色のキューピットの矢を見つめると、

「だまされたと思って…か、こっちは、わらをもすがりたい気持ちなのよ。じゃなきゃ私、死にそうだもの」

意を決した風花は、説明書どおりに紙にペンで魔法陣まほうじんを描き、

その上にキューピットの矢をのせた、


そして呪文じゅもんを唱える。

「…キューピット様、どうか私の願いを叶えて下さい。私の名は風花、桜井風花」


ピカッ!


魔法陣から、まばゆい光が放たれた。風花がまぶしくて目がくらんでいると、

何と、光の中から二人の少年が現れた。



一人は短い茶色の髪でメガネをかけていて、黒い服と半ズボンをはいており背中には

小さな翼が生えている。12歳ぐらいの可愛らしい少年で、もう一人は長身で

赤い長い髪をリボンで縛った青い瞳。背中に大きな翼を生やした、整った顔立ちの16歳ぐらいの少年だ。



赤い髪の少年が口を開いた

「オイ…お前が、俺様達を呼び出した桜井風花っていう女か?」

風花はビクッと、肩を震わせた。

「はっ、はいっ! 私が風花です」


赤い髪の少年は不機嫌そうに、自己紹介をした。

「俺様はキューピットの・・・まあ、こっちの世界ではタツヤとでも呼べば良い」

「僕は、新米のキューピットです。こちらの世界では、キッドとおよびください」

タツヤとは違い、茶色い髪の少年は礼儀正しく深々と風花におじぎをした。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ここまで読んでいただいてありがとうございます。2話に続きます。

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