お会いする.上
ここは、瀧山寺。
本堂は、吉野山金峰山寺の蔵王堂に似ている。悠々とした、大きなお堂だ。
本堂の脇には、これまた立派な桜が見事に花を咲かせている。気候も暖かい。
そうか、そういえば春か。景色に浮かぶ情報を取り入れながら、夢世界の中の自分はそこでの現実を汲み取った。
さて、いざ入堂。
天井は吹き抜けて高く、堂内は広々として開放的である。黒々とした石床に、赤い木柱が等間隔に立っていた。開け放たれた入り口から差し込む日光が、やや薄暗い堂内の全貌を淡く照らし出す。
左奥には小さなカウンターがあって、そこは御朱印受付やグッズ販売をおこなっているところであった。
あとで立ち寄ろう。御朱印は、いただかねばならぬ。良い写真集もあれば、買いたいものだ。
ではいよいよ、最奥の須弥壇エリアへ。
参拝順路用に、白い仕切りが並べて立てられてあった。その仕切りのせいで、本尊が隠れて見えない。私が会いたい仏像群は、この向こう側である。
仕切りの出入り口には、簡易だが戸が設けられていた。それを開けて私は一人、須弥壇エリアへ入る。
四角い空間のこぢんまりとした内装、日光の届かぬそこは蝋燭の火だけで明るさを保っているも非常に暗かった。だが、あまたの仏さまたちの気配を感じる。
一周くるり、見渡してみれば、一段高い壇上に参拝客を取り囲むようにして十二神将像の姿があった。
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