第16話 ハリカーコラボ③
『おっ! 私が選んだコースだ!』
次のコースはキセキが選んだジャイアントシュガーコース。
大きなケーキやシュークリーム、エクレア、モンブラン、クッキーなどがあるメルヘンコース。
ギミックこそ少ないが、U字カーブやS字カーブが多く、上手くコーナリングしないとコースアウトしてしまう。
『よーし、次は負けないぞ』
「手は抜きませんよ」
◯
『ねえねえ、ハリオメーカーって知ってる?』
ふとキセキが話を振ってきた。
これはミスを誘うためなのか?
ジャイアントシュガーコースはカーブが多くて大変。気を抜くとコースアウトしてしまう。
「知ってますよ。自分でコースを作るやつですよね」
ハリオメーカーはハリオブラザーズというアクションゲームのコースを自分で作るというもの。
そしてそれをアップして世界中のプレイヤーに遊んでもらうというゲームであり、自身も他のプレイヤーが作ったコースを遊ぶこともできる。
まあ、製作者になったようなゲーム内容。
『それのハリオカート版が発売されるらしいよ』
「えっ!? ハリオカートで?」
おっと、いけない。危うくコースアウトしかけた。
『うん。名前はハリオカートメーカー。そのまんまだね』
「……つまりそれはハリオメーカーみたいに自分でサーキット場を作るというやつですか?」
後続のプレイヤーに追尾ロケットを食らってしまう。
『そうだよ。ただ、0からというわけではなくて、ベースとなるコースにギミックを増やしたり、直線コースを長くしたり、短くするだけなんだけどね』
「へえ。面白そうですね。あれ? それってもしかして昔Weeであった隔週で開催されていた公式配信の大会みたいなやつですか?」
『確かにイメージはそれっぽいね』
昔Wee時代には隔週で公式からコース配信がされていた。それは完全オリジナルではなく、既存のコースにギミックが増えたりしたコース。先程会話にあったハリオカートメーカーがそれに似ている。
『でも、今回は自分で造に作って、それを皆に遊んでもらうやつだよ』
「それは面白そうですね」
私はペイントを使い、プレイヤーの視界を封じる。
カーブの多いこのコースでは視界が狭まると大変なことになる。
『なかには直線やカーブも自由に増減できるコースもあったりとかするらしいよ』
ペイントで視界が狭まっても、なお余裕のキセキ。
「まさにオリジナルですね」
『うんうん。ちなみに来週、体験版が出るらしいよ』
「そうなんですか」
『私、体験版やってコース作るから遊んでみてよ』
「いいですよ。私も作るんでその時はよろしくお願いしますね」
『オッケー』
◯
キセキが選んだコースだけあって、キセキが1位をとった。
「このコース得意なんですか?」
しゃべりつつ1位をとったのだ。得意でないわけではないだろう。
『まあね。……昔はすごく苦手で嫌いだったんだよ。でも、めっちゃ練習して、バリ強になったね』
「強すぎでしょ。レート1万以上が3人もいたんですよ」
ちなみに私は5位だった。
『そういえば小説は読み終えたの? ほら休講中に暇だから読んでいたと言ってたやつ』
「あれですか? ええ、読みましたよ」
『どうだった? 面白かった?』
「ん〜、なかなかですかね。下巻になってからは夢中になって読んだのは確かですけど」
『事件を調べるの下巻からだもんね。上巻は登場人物紹介と身の上話だもんね』
プレイヤーがルームに集まり、私達はコース選択画面に移る。
さて、次はどんなコースを選ぼうか。
さっきはカーブ系だったので、次は面白いギミックのあるコースを選ぼうかな。
Wee時代にはなかった空飛ぶコースや海の中を潜るコースにしようかな。
私は考えた末、スターレインボーコースを選んだ。
ルームに戻ると私が最後だったようで皆はコースを選び終えていた。
「……えっ!?」
私は驚いた。
なぜなら私とキセキ以外のプレイヤーが選んだコースがインビジブルコスモスコースだったのだ。
偶然か?
いや、違う。
これは示し合わせたんだろう。
レートを見てみると全員1万を
「……これって?」
『うん。かなーり、びっくりなことだね。アッハ、ハッ……』
キセキが渇いた笑い声を発する。
インビジブルコスモスコース。
宇宙空間を透明な路面で走り抜けるという超難関コース。
『なーんか、レート1万超えが多いなとは思ってたけど、まさか私達以外全員が1万超えとはね』
「これはチートなんですかね?」
『さあ? 偶然という可能性もあるけど……』
いや、偶然ではないだろう。レート1万超えの全員が示し合わせたかのようにインビジブルコスモスコースを選んだんだ。
運良くルームに入れた人達ではないはず。
でも、どうしてこんなとこに?
何があった?
先程まで普通にレースを楽しんでいただけなのに。
そしてコース自動選択が始まり、インビジブルコスモスコースになった。
「……インビジブルコスモスコースになってしまいました!」
『と、とにかくレーススタートだよ!』
戸惑いつつも、私達はレース画面に移る。
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