第13話 ハリカーコラボスタート
夕方17時からキセキカナウとのハリカーコラボのため私はペイベックスのスタジオに来ていた。
スタジオで配信部屋のある階に着くと、マネージャーの福原さんがエレベーターホール前で待っていた。
「あっ! おはようございます」
「宮下さん、おはようございます。これが配信部屋のキーです」
福原さんに配信部屋のカードキーを渡された。
どうやら福原さんは私の代わりに受付で貸出登録を済ませてくれていたようだ。
「はい。ありがとうございます」
「宮下さん、配信後、少し話があります。いいですか?」
「わかりました」
そして私は配信部屋に入り、パソコンを起動させる。
指定された通りにセッティングを済ませて、キセキカナウからの接触を待つ。
夕方16時50分にキセキカナウからメッセージがきて、ルームIDを受け取った。その後すぐキセキカナウから連絡がきた。
『キセキカナウです。おはようございます』
「どうも赤羽メメ・オルタです。おはようございます」
『気軽にキセキでお願いします。あっ! 敬語は不要ですので。フレンドリーいきましょう』
「わかりました。こちらもオルタで結構です。敬語は不要です。よろしくお願いします」
『ルームIDですが、先程メッセージでお送りいたしました』
「はい。届いてます」
『それではハリカーを起動させて、メッセージに記載したルームIDを打って入室してくださーい』
「わかりました」
私はハリカーを起動させて、【みんなであそぶ】を選択してルームIDを入力する。その後、キャラとカートを選択してキセキのルームに入った。
「入室しました」
地球を背景にしたルーム画面に、私が選んだキャラが地球の上を歩く。
『どうもー。それじゃあ、配信を始めるけど大丈夫?』
「はい。オッケーです」
そしてコラボ配信が始まった。
『どうもキセキカナウでーす。今日は視聴者参加型のハリカーをしようと思いまーす。今日はなんとゲストを呼んでおります。どうぞ──」
「どうも赤羽メメ・オルタでーす。今日はよろしくお願いしまーす」
『では、さっそくプレイしていこうと思います。視聴者皆様にルームIDをお見せします。最初はテストとしてハリオコースを選んでください。参加は1人1回ですが最初はテストですので退出しなくて結構ですからね』
キセキは画面上部にルームIDを公開した。
すると次々とプレイヤーが集まってきた。
『では、ハリオコースを選択してねー』
私はコース選択画面に移動してハリオコースを選択。
ルームに戻ると小さいワイプが並ぶ。どれもがハリオコースの画面だった。
『皆、選んでくれたね』
「見事ですね。誰も違うコース選んでません」
『そりゃあ、最初にハリオコースって言ったからね』
「私の時とかなら絶対1人か2人くらいは言うこと聞かない人いますよ」
『あー、いるいる。たまにそういうアンチがね』
「皆さん、良い人ですね」
『フッフー、私のファンは素直だからね』
キセキが自慢げに答える。
『それじゃあ、レーススタート』
ルームからレース画面に変わり、シグナルが点灯し始める。
『はじめるよー』
「はーい。がんばりまーす」
『テストだから気張らなくてもいいよ』
「あっ、そうでした」
『でも、その姿勢はいいよ。よーし、テストでも本気で行こう!』
そしてレースが始まった。
ハリオコースは8の字型のコース。ただ、下の丸が大きく膨らみ、左に伸びた形をしている。
初心者コースだから難しくもないが、それゆえ拮抗しやすいコースでもある。
ほとんどがロケットスタートで発進。
最初のカーブ手前でアイテムボックスがあり、団子状態なので取れないプレイヤーが続出。ロケットスタートをしなかった後続がアイテムボックスから良アイテムを手に入れて、一気にトップへと上がる。
『1位から3位のこいつら、相当強いプレイヤーだよ』
「どうしてです?」
『レートが1万超えてる』
「ホントだ! やばい!」
レートとはいわゆるポイント。ポイントは0からスタートして、順位が上位ならばポイントが付与され、下位ならばポイントが減らされる。参加プレイヤー数で付与されるポイントはバラバラだが、最大で12。
「レートが1万なんてどれだけやりこんでいるんだ!?」
しかもレートが3千超えるとポイント増減も半分になるはず。それに対戦はルームを除いて基本は同じレートのプレイヤーが選ばれる。
『レート1万なんてプロじゃん』
「ハリカーって、プロとかあるんですか?」
『プロチームとかあるよ。それに世界大会もあるからね』
かつて全国大会があったのは知っていたが、今では世界大会まであるのか。
『ああ! マキビシ置かれて、パンクした!』
マキビシは踏んでしまうとタイヤがパンクしてスピードが遅くなってしまう。
「うっ、こっちは変なところにオイルが!」
カーブ中にオイルがコース上に撒かれていた。
オイルは踏むとスピンしてしまう。それがカーブ中にあるのだ。避けることは難しい。
『ホント、嫌な性格だ! よっしゃ! 追尾ロケット! くらえ!』
しかし、キセキの追尾ロケットは相手のチャフによって防がれた。
「なら私が!」
『行け! オルタ!』
私も追尾ロケットを手に入れたので先頭のプレイヤーを狙い打つ。
相手プレイヤーはチャフは使い切ったから、
前方で爆発が起こり、私達は今のうちに相手を抜かしていく。
これで私は3位に、キセキは4位になった。
『ナイスゥ!』
「イェーイ」
だが、それも束の間のこと。その後すぐ私達は別のプレイヤーに狙われ、順位を下げてしまった。
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