幼馴染に振られた途端に学校一の美人姉妹に迫られるようになりました。敬具
ALC
第1話誰かは自分を見ているもの
どうしてこうなった…!
目の前にいる幼馴染の中川みやこは不機嫌そうな態度で僕を見つめていた。
「学…私のことそういう目で見てたの?無いわ…」
というのも、この数秒前に僕こと
だがご覧の通りあえなく振られてしまう。
もしも時間を巻き戻せるのであれば両想いだと勘違いしていた自分の頬を殴ってやりたい。
しかしそんな事は不可能なわけで…。
「じゃあ先帰るから」
みやこは僕を置いて先に帰路に着いてしまう。
彼女とはお隣さん同士なので今までは一緒に帰宅することが多かった。
しかしながら本日からそれも終わりそうだった。
明らかに傷心しながら帰宅すると明日からはどうにか切り替えて生きていこうと決意するのであった。
翌日、学校へは一人で向うことになった。
いつもなら、みやこが家の前で待っているのだが…。
本日からそれも無くなったようだ。
一つ嘆息しながらトボトボと学校に向うと本日から物事は急展開する。
教室に到着してすぐに学校一の美人姉妹、その次女である
「学くん。みやこに振られたってホント?」
しずかとはしっかり話をしたこともない。
軽く話したことがある程度。
接点はあまりにも少なかった。
クラスメートというのが唯一の接点だと言っても過言ではない。
「そうですね…昨日、振られました…」
正直に答えるとしずかは美しく微笑むと僕の耳元で小声で口を開く。
「よかったら今日一緒に帰りませんか♡」
突然の提案にゴクリとつばを飲み込むとどうにか頷く。
「じゃあ決まり♡校門前で待ち合わせだよ♡」
それにもう一度頷くと本日は一日中ふわふわした気持ちのまま時間は過ぎていくのであった。
そして訪れた放課後。
校門前まで向うと彼女らはそこで僕を待っていた。
天井姉妹は揃って僕のことを待っている。
三年生である長女の天井のどか。
二年生である次女の天井しずか。
一年生である三女の天井さなえ。
学校一の美人姉妹は揃って僕の事を待っている。
もしかしたら何かのいたずらかとも思った。
からかわれているだけ…。
そんな事を思ったのだが…。
「学く〜ん♡早く帰ろう〜♡」
しずかの呼ぶ声で学校の生徒達は一斉に僕に視線を集める。
「センパーイ♡早く来てくださいよ〜♡」
ほとんど話したこともないさなえにも呼ばれて僕は校門に向う足取りを早めた。
「学さん♡注目を浴びていますよ♡」
こちらも接点のないのどかから声を掛けられて僕は急いで校門に向う。
「すみません。おまたせしました」
どうにか口を開くと僕らは揃って帰路に着く。
「数学の森本先生が…」
「最近暑くなってきたよね…」
「そうだ!近くのカフェ寄っていこ〜」
そんな他愛の無い会話を繰り返しながらカフェに入店する。
甘い飲み物を注文すると席を確保して会話は始まっていく。
「前から学くんいいなって思ってたんだよね」
しずかが口を開いたことでさなえも話に割って入る。
「私も私も!絶対にいいと思う!真面目だし誠実だし!」
妹たちの話を聞いていたのどかも頷いて応える。
「私もいいと思うよ。今まで中川さんに誠実に対応していたの見てきたわけだし」
三人はよくわからない会話を繰り返した後にしずかが最終的にその言葉を口にする。
「学くんにはこれから私達の婚約者になってもらいます♡出来たら全員を平等に選んでほしいな♡」
突然告げられた話に面食らっているとのどかが口を開く。
「天井家の世継ぎを早く決めたくてね。そういうことだからこれからよろしくね♡」
「でも…!」
僕の言葉を遮るようにさなえは甘えた猫撫声を出す。
「私達とじゃイヤですか♡」
それにどうにか首を左右に振ると僕らの奇妙な関係性がスタートするのであった。
これから学校一の美人姉妹たちとのラブコメは始まろうとしていた。
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