瑠璃お姫様のお部屋で
☆彡
2人だけがいる部屋。まるでいい所のお嬢様のようなファッション。
「似合ってますか…かなり自信があるのですが…」
「ああ…すごく似合ってる。深窓の令嬢って言葉もあるが、箱入り娘とまでは行かないから合わないかな」
「最高の誉め言葉として受け取っておきます」
テーブルもあった。その上には、紅茶が2人分ある。見る限りでは紅茶の方が好きらしい。まずはそれを落ち着いて飲んだ後、2人はベッドに腰かけて話すことにした。誘ったのは、恥ずかしがる瑠璃からだった。
☆彡
座った後には、簡単な話をし始めた。
「…私の服、変じゃない、かな」
「変じゃない。似合ってるし、可愛いと思う」
「一番似合うと思う服だから。後、出来るなら露出を抑えたいから、黒いタイツで隠した。変な人がやってこないようにしたい」
「そういうのは自分で話すことじゃないぞ。ただ、俺好みではある」
「相手が好きな人だから、話します」
そして、やりたかったことというのは、とある本を2人で読むことだった。流石に日帰りでなければならないので、内容は簡単なものだったが、その本の内容は恐ろしい物だった。
1000000回、指を指す話だった。
2人で同時に音読する形であったが、途中で2人の男女が登場する。そこでは別れて読む形に、自然になっていた。しかし終盤、男女は亡くなってしまう。そこからはもう、瑠璃は泣き続けて音読できなくなっていた。
翠夢は…1日100回指を指すとしても100日で1万回。10000日も必要であることが気にかかっていた。
読み終わった後、泣き続けている瑠璃に対して、ちょっと提案をした。
「ベッドで腰かけている状態で…してみるか?…お姫様抱っこ」
瑠璃は全く話さなかったものの、翠夢の膝を枕にしつつ、涙を拭いた。流石に眼鏡が邪魔であったからか、涙を拭くときは、さすがに眼鏡をどけていたものの、すぐに掛けなおした。やはり瑠璃は眼鏡がある方が可愛い。
瑠璃は泣き止み、落ち着いた。その後、恥ずかしそうにしながら、
「お姫様抱っこ。持ち上げられないと思うけど、気持ちと形だけでも」
少し移動し、翠夢が頭を支えないといけない状態となった。離しても、柔らかいベッドに落ちるのみで、危ない要素はない。
「んっ…ふぁあああん…眠い」
とんでもなく眠そうにし始めた瑠璃。この状態では問題が起きる可能性もあるので、一度ベッドに寝かせるようにした。
翠夢は思っている。男性恐怖症とは何だったんだろう…好きな人とは言え、隙だらけなのを見せても大丈夫なのだろうか。そういうことを考えていると、女の子にいろいろしたくなってしまう。ベッドで添い寝するとか…でも、相手はまた怖がってしまうかもしれないから、直前で踏みとどまる。踏みとどまらなければならない。
このまま、寝かせておこう。学園の門限は過ぎてしまうだろうが、連絡さえ入れておけば問題はないはず。
☆彡
そして、瑠璃が目を覚ますころには、時間的に厳しくなっていた。
今日も明日も休みで良かった。泊まらざるを得ないが、瑠璃の両親と学園に伝え、了承を得る。
間違いを起こさないため、添い寝にならないようにしようとしていたが、瑠璃がしたい、慣れておきたいと言うことで、受け入れることとなった。翠夢は、今の瑠璃が男性恐怖症の子とは思えないほどに大胆だ、それでも頑張りたいと言うのを受け入れる。
「おやすみ…ん?どうした」
「寝る前に…キス…」
その後、2人は就寝した。瑠璃は、眼鏡を傷つけないために外して寝る。視力が低いため、こればかりは仕方ないと受け入れる。翠夢は、もし眼鏡を壊してしまったら…と考えたら、しばらくもっと可愛い姿を見られなくなってしまう。それを考えると、一時的な我慢で済む。
それに、部屋が暗く、さらに寝ている時は別にみる必要もなくなる。
☆彡
その夜、翠夢は久しぶりに悪夢寄りの夢を見た。寄りにもよってこのタイミングで。
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