学園祭1日目

☆彡


 とうとう祭りの日がやってきた。当然ながら、翠夢と瑠璃にとっても、特別な日になる。ただ、気球上げは最終日であり、1日目ではない。つまり、やろうと思えば2人で作業したり、2人で回れると言うことでもある。


 しかし、瑠璃は基本的に女の子と回ると言うことで、翠夢は結局1人で回ることとなってしまった。別に他の人と回るのもいいのだが、面倒という気持ちが強いようだ。


「…最初は自分のクラスからだな」


 クラスの出し物には、あまり深くかかわれなかったものの、それはわかっていたようで、特に仲も悪くなっていない。よく頑張っていると言われるほど。

 それからも、いろいろな部分を回っていた。やはり盛り上がるものの、自分で出し物を持っている以上、自分が関わっているものが最高傑作と考える。


「…瑠璃と回れたら、良かったのだが」

 そんなことを考える。明らかに、感情を寄せているようだ。もう少し休んでから進みたかったのだが、そうもいかない事態が発生して…しまった。


☆彡


 遠い所で何か起きているようだ。学校の少し外で騒ぎが起きている。それに急いで向かっていた。


「返せ!お金を盗んだ奴がいる!そいつを呼んで来い!」

「それまで帰らねぇぞ!」

「役立たずめ!翡翠と夢の漢字の人を読んで来いってんだ殺してやるぞ!」


 明らかに翠夢のことであるので、出ることにした。

「金返せ!お前が盗んだんだろ!」

「何を言っている?周辺に迷惑だから抑えてほしいのだがな。俺一人のところで暴れるならともかく。そして何度目だ」

「何度でも追いかける。潰してやるからな!」


 周辺の人が注目し始めてしまった。そして、明らかに3人組は話を理解できていなかった。一方的に悪人扱いされているのを感じた3人組は、一旦は帰っていった。酷い暴言を吐きながら。


「迷惑を掛けて申し訳ない。俺はああいうやつらは嫌いだ。そういうのにどうも好かれてしまっている。嫌なら…」


 周辺の人は少し話してきた。

「ああいう輩は何とかしないといけない。今回はありがとう。ああいう輩に関しての話は後でしてもらう」

 警備を無理に突破してきたのはあいつらだけであったらしい。今までは一度もここに悪さをする人はいなかったのだが、いきなり出てきたわけで、対応が遅れるところであった。


☆彡


 その後、瑠璃がやってきた。

「あんなうるさい音があったところにいたの?」

「ああ。過去にいろいろあったんだ。ああいう輩は厄介だから、君を巻き込みたくはないな。何とかしたいが、その場合は話をしないといけないかもしれない」

「不良…ですよね。どうしてああいう人に…」

「わからない。遊んでいるだけだ。勘違いしてる。不良かっこいい!みたいなのがかつて住んでいたところにあったが、そのノリをまだ続けてやがる」


 翠夢の過去はよろしいものではないことを、瑠璃は感じていた。そんなこんなで、最初の日は終了した。次が最終日であり、ここでいろいろな決着がつけられるだろう。

 それが良い方向でも、悪い方向でも。

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