別世界編

異世界転生!?

「ううう…うぁあああああ!」


 やはりだめだったか。やり直しだな。


 †††††


 翠夢は、目覚めた。しかし、その場所は病院ではなかった。


 ここはどこなのか。どれだけ時間がたったのか。それを調べようにも、手がかりをつかめない状態だった。六角形の足場が並べられており、足場がない部分に足をずらすことが出来ない。また、周辺は特に問題ない程度には光がある。空に関しては、日が暮れ始めているにしては、色がおかしい。

 一度見たところ、空の色がそもそも赤いのだ。太陽そのものが存在しないと思ったが、太陽は見つかった。しかし、緑色をしている。光自体もあまり強くない。日が暮れているように見えたが、太陽そのものは高いところにある。


「頭が痛いが、何とかここから移動しなければ…」


 太陽の光を考えると、気温に何かあってもおかしくはないはずだが、問題ないようだ。また、周辺も問題なく見える程度には明るい。日が暮れているわけではないのだろう。この世界は不可思議であり、現実世界とは思えなくなっていた。

 周辺が問題なく見えるにも関わらず、現在は正面以外の家以外に特筆するものが何もない。見覚えはある。翠夢にはこの世界が何なのか、ある程度見当がついていた。どういう世界なのかはまだわかっていないが…


「異世界転生…?俺が?」


†††††


 正面の家だが、これは翠夢の家である。その家には鍵がかかっていなかった。中に入るも、親はいなかった。その代わりか、12歳だったころの翠夢がいた。


「僕は、君の幼かった頃の記憶」

「ああ、やはりそうか。世界がわからなくなっているが、考えが正しければ、俺の記憶から、お前が出来た。お前に聞けばこの世界がわかるはずだ。答えてほしいな」

「この世界の事は教えられない。残念だけど。でも、過去の裁きを受けるところだよ。君は、ここから抜けるには、その裁きをすべて受けないといけないよ」


 翠夢は、嫌な汗が出始める。裁きというのがわからないところが多かったからだ。ただ、この世界の脱出方法が分かったなら問題ない。裁きを受ければ抜けられる。

「ならすぐに裁かれた方がいいな」

「待って。この世界は、言い換えて絶望の世界。君だけじゃ、絶対に耐えられない。この部屋の奥の扉を開いて。そこに鍵があるから、それを利用して」

「絶望の世界というのが不安だが…この調子だと話してくれなさそうだな」

「当然。僕は君と似た考え方を持っているからね」

「ああ、わかった」


 翠夢は答えたが、すぐに12歳の翠夢が消えた。異世界転生ものの主人公なら、もっと明るい世界になりそうなものだが、やはり…


「開けるぞ」


 扉を開けた後には…


「(鍵…)」

 本来いるわけがない、女の子が倒れていた。


「…どうしてこんなところにいるんだ…しかもこんなあられもない姿で…」


 ††††††

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