第36話 エドモンドside



 それから、ステファニーと一年間の婚約期間を経て結婚した。



 婚約期間も、結婚してからも、シャーロットへの申し訳なさが過ぎり、ステファニーに想いを告げる事は出来なかった。



 勿論、ステファニーの事は婚約者として、妻として大切にしてきた。だが、お互いに一線引いていた。幼い頃からの友人への申し訳なさを感じていたのはステファニーも同じだったのだから。







◇◇◇




「そんな、まさか•••。」




 ステファニーより、想いを告げられたエドモンドは混乱した。




「ずっとお慕いしておりました。初めてお会いした時から、殿下を想っておりました。」



 目を潤ませ、愛する人に想いを重ねて告げられ、エドモンドはいつのまにかステファニーを強く抱き寄せ、激しく口づけていた。





「•••で、殿下?」




 息を切らし、不安げにしているステファニーを更に強く抱き締める。今までだって、口づけもそれ以上のこともしているが、それはとてもお行儀の良いもので。こんなにも激しく求める事など出来なかった。




「俺もずっと好きだった。出会った頃からずっとだ。今まで言えなくてすまない。」




「いえ、私も同じですから。」




 腕の中で愛する人が笑い掛けてくれる。それがこんなにも幸せなことだなんて知らなかった。




「シャーロット様は、殿下とはおあいこだったのだと、仰ってましたわ。」




「おあいこか。はぁ~~上手く立ち回れていたら、もっと早くからステファニーとこうして出来ていたのか。」



 ステファニーの髪をくるくると弄りながら、自分の不甲斐なさを嘆くエドモンドを見て、ステファニーはクスクスと笑った。



「これまでも十分すぎる程、大切にしてくれていましたわ。」




「あんなのじゃ全然足りない。」




 エドモンドの瞳が獰猛な獣のように変わり、噛み付くような口づけが繰り返される。ステファニーが逃げようと身を捩るが、身体はきつく抱き締められたままだ。





「で、殿下!」



 息も絶え絶えに苦しそうにしているステファニーに、エドモンドは不満そうな表情を見せた。



「ねぇ、名前で呼んで。」




「う•••。」




「早く。」




「エ、エドモンド、さま。」




 その瞬間、エドモンドは満足そうに微笑み、ステファニーの耳元で「愛してる。」と甘ったるい声で囁く。触れているだけで、お互いに心が満たされていく。蕩けるほど、愛される日々が続いていくのだと、愛しさが募っていく。

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