第27話
国王陛下と王妃殿下への挨拶の後、エドモンド第二王子とステファニー第二王子妃へ挨拶する時になって、シャーロットの瞳が一瞬だけ不安で揺れた。周りに悟られると余計な勘繰りをされ兼ねない。気付かれないほど少しだけ彼女を背に庇った。
「シャーロット様?もしよろしければ・・・また以前のように一緒にお茶会ができたら嬉しいのだけれど如何かしら。ご結婚準備でお忙しいかしら?」
ステファニー第二王子妃は、小声でシャーロットへ尋ねた。元王子妃らしい美しい微笑みを携えたシャーロットがほんの少し答えに詰まったのが分かり、勝手に口が動いていた。
「エドモンド第二王子、シャーロットはとても勤勉で頭が下がります。」
「ああ、昔からシャーロット嬢は勉強家だったな。」
「なので私がデートに誘うのも一苦労なのですよ。シャーロットの休みが少なくて・・・その少ない休みは全て私が貰っています。年甲斐もなく婚約者期間を楽しんでいます。」
「な・・・!」
思わず顔を赤くしたシャーロットは可愛らしく、エドモンド第二王子には見せたくなかった、と独占欲にふらりと火が着く。エドモンド第二王子も、ステファニー第二王子妃も微笑ましそうにしており、不敬とは捉えられていないようで内心ほっとする。
挨拶後、大して盾になれなかったことに申し訳なさが沸いたが、シャーロットが可愛らしい笑顔を見せ、俺の額の汗をハンカチで拭ってくれるという、ご褒美もあり、俺はようやくシャーロットがエドモンド第二王子ではなく俺の方を向いてくれた、とじわじわと幸せを感じていた。その後で会うキャシーを見て、シャーロットがどんな表情を浮かべ、どんな感情を抱いたか、気付くこともないまま。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます