艦長は座っていて下さい!!

@naoto5121

第1話 目覚め

 機械的に聴こえてくる音に気が付いた。

 まだ寝ていたいのに、この音が気になって眠る事が出来ない。

 何か幸せな夢を見ていて、もう少し後少しだけでも見ていたいと思っていたのを起こされる様なそんな感覚だった。

 見る人がいれば退屈な日常だね、なんて言われるかもしれないが平凡な人生を歩んでいる様な気がした。

 卒業して進んだのは、国を守る仕事だったし身体を壊すまでは続ける事も出来た。

 退官する事になってしまったのは残念だったが、次の仕事をしていると新たな出会いもあった。

 そんな、ただ普通の人生を過ごしいている、そんな夢だった。


 ……、重い瞼を開くと今見ていた夢はもう思い出せなくて少し悲しい。

 目の前にいる白衣を着た初老の眼鏡を掛けた男性が立って自分を見下ろしていた。 白衣を着ていると言うことは医者のようにも見えるし離れた場所には女性も居る、ナースさんだろうか。


 「おや、起きたかね?」


 目が覚めた自分にすぐ気が付いてくれた様で、ペンライトを目の前にかざされて眩しい。

 声を出したいが、音を出す事を忘れたのかと言う様に出せない。

 

 「すぐ話せる様になるとも。 さぁさぁ、調子はどうか確認させておくれ」


 脈を測ったり、心音を聞かれたりするとうんうんと頷いて「何も問題は無さそうだ。お腹は空いているかな?」と尋ねられるとタイミング良く腹から盛大な音がする。

 それを聞いた初老の男は優しく笑い、大したもんは無いがなとよく分からない固形物の食事?を出された。

 これは、と目で訴えてみると必要な栄養素を摂るための食事らしい。

 味は、と言うとよく分からない。 美味しいと程遠い味だ。

 パサパサとしてはいるが飲み込めない事もない。

 食べ終わった事を確認すると、薬と水を持ってきた。

 これを飲んで、またしばらく眠ると良い。 次に目が覚める頃にはもっと良くなっている事だろう。

 薬を飲むと、時間も経たない内に眠気が襲ってきた。

 そのまま、ベッドに横になって意識を手放すのだった。


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