疲れてない?

「ホウ、疲れてない?」

「慣れない事の方が多いからね。疲れるのは、当たり前だよ」


張り付けた笑顔で笑いながら、ホウはカレーを食べている。

俺のせいだ。

俺がちゃんと出来ないから……。

ホウが疲れてるんだ。


「モップを頼んだから、明日には届くと思うよ」

「そっか、そっか。ありがとう」


モップの問題じゃない事は、俺にはちゃんとわかってる。

でも、ホウは知らない。

モップが届けば、俺はちゃんと出来るのだろうか?


「明日は、帰ってくるけど。明後日は、夜勤なんだ。一人で留守番出来る?」

「出来る、出来る。ほら、リズリさんもいるし……」

「そう。ならいいんだけど……」


ホウは、酷く落ち込んだ顔をしている。

働き先で、何かあったんだ。


「どうした?」

「実はね。彩りの習得がうまくいってなくて大変なんだ」

「そっか。そっちもやらなくちゃ駄目だもんな」

「うん。彩りって言ったって、色なんかないからすごく大変で。仕事先は、彩りが使えない僕にはもっと大変で」

「そうだよな。大変だよな」

「何かごめんね。アーキーに愚痴っちゃって」

「大丈夫、大丈夫」


ホウの言葉にちゃんとしなくちゃと思った。

アオーの掃除も一人でちゃんとしなくちゃ……。

シェッフルも使いこなして、【マトメー】ぐらい使いこなせるようにならなくちゃ……。

そうしなきゃ、ホウにもっと迷惑をかけるだけだ。


「明日から、自分でアオーの掃除はするから」

「本当に!助かるよ」

「ああ!!任せとけ」

「僕が手伝ってあげたいんだけどごめんね。余裕がなくて……」

「全然大丈夫だから」


落ち込んでるホウにとびっきりの笑顔を見せる。

アニメで言えば、周囲にキラキラが浮かんでるレベルだ。



「すごい笑顔だね」

「だろ?だから、大丈夫だよ。だから、ホウは安心して仕事と彩りの習得に励んでくれよな」

「うん!わかったよ。ありがとう」

「モップだって届くから大丈夫だから」

「僕が夜勤でもちゃんと掃除出来るようにマトメーの習得頑張ってね」

「ありがとう。全力で頑張ってみせるよ」

「うん」



ご飯を食べ終わるとホウは、大きなアクビをし出す。

これは、俺の出番だ!


「ホウ、もう寝なよ!片付けは、俺がやっとくから」

「本当に?助かるよ。ありがとう。おやすみ」

「うん。明日も頑張って。俺は、ここで仕事出来ないから」

「気にしないでいいよ。じゃあ、おやすみ」

「おやすみ」



ホウの優しさに甘えてばっかりではいけない。

俺だって、ちゃんとやれるって所を見せてやらなくちゃ!

そうじゃなきゃ!

ホウが、仕事や彩りの習得ができない。

俺は、ホウに迷惑をかけちゃいけないんだ。

やる気を出してみたけれど……。

お皿をシンクに持って行く作業がひどく億劫だ。

学校では、片付ける人がいたからな。

とりあえず……。

立ち上がって、トレーを持ってくる。

お皿をのせて、シンクに持って行く。


さっきシェッフルが教えてくれた。

この世界の洗剤は、一滴。

鍋に残っているカレーに蓋をして、とりあえず冷蔵庫にしまう。


まあ。

これぐらいは、俺にだって出来る。

じゃあ、次はお皿を洗うぞ!

やれば、出来る。

俺は、やれば出来るやつなんだ。


うぉーー

うぉーー

おりゃあーー


………………。

……………………。


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スキル汚部屋しかない俺が異世界で掃除スキルを習得してもしかしたら整理収納アドバイザーになれるかもしれない?!お話【仮】 三愛紫月 @shizuki-r

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