授業

「アーキー君。違います。わかりますか!」


何ともならねーーんだけど……。


俺は、スキル習得訓練で先生に30分は怒られている。


どうして、こうなってるかというと……。


昨日、あのまま晩御飯を食べて風呂に入って眠って……。


朝起きて、ホウが片付けをスキルでしてくれて……。


朝御飯を食べて……。


スキルが、汚部屋しかない俺(ホウはスキルをゼロだと思っている)


だから、一般コースに連れてこられた。


ホウは、プロコースに行ってしまった。


で、俺はさっきから先生に怒られている。


「はあーー。もう一度説明しますよ」


そう言って、先生は大きな溜め息を吐いて俺の隣に座った。


先生の名前は、クリーン先生だ。


生徒は、俺以外はどう見たって幼稚園児の集まりだ。


「アーキー君、さっきも話しましたけど……。(マトメー)を発動する為には、纏めるイメージをつけなきゃならないんです。わかりますか?」


「はい」


「その為の授業なんですよ!わかってますね」


「はい」


どうやら、スキルを使う為にはイメージが必要らしい。汚部屋スキルしかない俺は、綺麗というイメージがないらしい。


「では、このパンの袋は?」


「置いとく」


「いえ、違います。捨てるんです」


「あーー。捨てるんでした」


慌てて、メモを取ろうとするとクリーン先生は俺に怒った。


「メモは、何の役にも立ちません。体で覚えるんです!わかりましたか?」


「はい」


「じゃあ、この鉛筆は?」


「置いとく」


「そうですね」


そう言って、クリーン先生は俺に説明をしてくれている。


「アーキー君、この授業では、(必要なもの)と(不必要なもの)を分けれる力をつける事なんです」


「はい」


「(マトメー)を発動する為に必要なのは、(不必要なもの)を瞬時に見極める力です」


「はい」


そう言って、クリーン先生は空のペットボトルを取った。


「では、アーキー君、こちらは?」


「置いとく」


「違います。これは、捨てるんです」


「はい。捨てるんですよね」


クリーン先生は、困ったように顎に手を当てている。


「先生、休憩します」


「はい」


俺以外のみんなは、15分の休憩に入った。


「アーキー君は、どんな家に住んでいたのですか?」


「どんな家ですか?」


「これを置いておくって事は、片付けが出来ないって事ですよねーー。私にスキルを見せていただきますか?」


「あっ、はい」


俺は、おでこを叩いてスキル画面を出した。


【スキル 汚部屋level 99 】


昨日と違って、レベルが表示されている。


どうして、表示されたのだろうか?


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