同室

「プロコースは、だいたいの生徒で一年から二年かけてスキルを習得します」


「はい」


「一つのスキルを習得するのに、早い人で一週間。遅い人でも1ヶ月あれば習得出来ます」


そう言って、ミズーは

どんどん進んで行く。


「キレート校長に聞きましたが、アーキーはスキルが一つしかないと……」


「はい」


「不思議ですね。そんな人、一人も見た事がありません」


そう言って、ミズーは笑っている。


「まあ、でも、習得していけば増えるだろ?」


パーンの言葉に、ミズーはクスクス笑って「そうですね」と言った。


そして、ある白い部屋で止まった。


「これから、アーキーがプロになるまで住む部屋がこちらになります」


「はい」


「この寮は、二人部屋になります。今から、同室の方を紹介しますね」


コンコンーー


そう言って、ミズーはノックをした。


「はい。どうぞ」


「失礼します」


ガチャっと扉が開かれると、人間がいた。


俺とパーンとミズーは、部屋に入った。


「あ、あのーー。悪いんですが、靴は脱いでいただけますか?」


その言葉に、ミズーは「こちらは、土足ですよね」と言った。


「それは、他の所ですよね?ここは、土足厳禁です」


「そうですか……」


そう言われて、ミズーとパーンと俺は靴を脱いだ。


「どうぞ」


「失礼します」


彼は、俺達を見回している。


「今日から、同室になります。アーキーです」


「よろしくお願いします」


俺は、頭を下げる。


「どうも。僕は、ホウです」


そう言って、ホウはお辞儀をしてくる。


「彼は、産まれた時からホウキで掃くスキルを持っている珍しい人なんです。プロコース初めての特待生になります」


「凄いですね」


そう言ってパーンが褒めている。確かに、産まれた時からホウキを掃くのを知っているのは凄い事だな。


「いえいえ、そんな事はありませんよ。スキルが潔癖なだけです」


「へーー、潔癖」


パーンは、そう言って潔癖を検索機で調べている。パーンは、検索機で調べた画面を無言で俺に見せてくる。


【潔癖 不潔なものや不正なことを極度に嫌う傾向、性癖】と書かれている。


俺は、パーンを見つめる。パーンは、口を動かして話しているけれど……。

残念ながら、パーンは猫なので俺には口の動きがわからなかった。

パーンは、何でだよって顔をしながら俺を見つめていた。


「アーキー、君のスキルは?」


そうホウが尋ねてくる。


「えーー」


さすがに、今、ここでスキルが汚部屋であるとは言えない。


そんな俺の心を読んだのだろう……。


「彼は、異世界から来ているからね。まだ、スキルがないんだ」


とミズーが笑って言ってくれた。


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