死んだ?
「あのー、もしもし」
俺は、その声に目を覚ました。
「何だここ?」
目を開けると真っ白な世界が広がっていた。
「死んだのか?俺」
俺の言葉に目の前にいるちびっこいのが答える。
「えーーと、死んではいませんよ」
何だこいつ!
昔飼っていた白黒のパンダみたいな模様の猫のパン太に似ている。
ただ、違うのは喋るし、手は人間みたいに五本指だし、二足歩行で立ってるし、眼鏡かけてるし、何かわかんないけど服まで着てるし……。
気持ち悪い。
俺は、吐きそうになる口を押さえた。
「あなた、失礼ですね」
そう言って、ちびっこいのは怒っている。
「あのね、私はちびっこいのではありませんよ。パーンです」
「パーン?」
「はい!以後お見知りおきを……」
そう言って、パーンはクルクルと帽子を回転させながら、俺に頭を下げた。
「こちらこそ、よろしく」
俺が手を差し出すと、俺の膝ぐらいの高さしかなかったパーンは……。
「ラヴィール」と小さな声で呟いた。
「わあ!同じ身長なんだけど……」
「この方が握手がしやすいですから……」
そう言って、パーンは俺と同じ身長の173センチになった。ただ、大きくなるとこいつの可愛さは皆無だ。不気味さの方が際立つ。
「あのーー。さっきから、全部聞こえてますよ」
その言葉に、俺はビックリした顔をした。
「魔法があったりするんだよな」
「そうですね。心を読む魔法があります」
そう言って、パーンはニコニコ笑った。
魔法があるって事は、ここは異世界なのか?
「異世界?何ですかそれ?」
パーンは、そう言いながら首を傾げる。
「魔物を倒すとか……」
「魔物?そんなのはおりませんよ」
「えっ?じゃあ、何!この白い空間」
俺の言葉に、パーンはおかしいのか笑いだした。
「何だよ」
「白い空間じゃありませんよ。これは、白王国です」
「白王国?」
俺の言葉にパーンは、ポケットから何かを取り出した。
「あー、あなたの住む場所では街というのですね」
そう言いながら、パーンは頷いている。
「街って事は、この真っ白なものが全部そうだって事だよな?」
「そうですね!全体が街になります」
「色がないんだな……」
俺が、そう言うとパーンは笑った。
「何だよ」
「あー、すみません。色がないわけじゃないんです。ここは、掃除の街なんです」
「へ?」
「だから、掃除の街なんです!!」
「それが、何だよ」
意味がわからない俺は首を傾げていた。
「国王が、色のついたものは病気になると言いだしまして……。なので、この国には色がないんです。魔法で、色を取られてしまったんですよ」
そう言いながら、パーンは頷いていた。
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