誰よりもっともっと羽ばたいて

第1話 無邪気な『 わたし』


寒い寒い冬の日。私は生まれた。





私のいちばん古い記憶は、2歳のとき。私のお気に入りのニット帽を、兄が無理やり剥ぎ取り、私はすごく泣いた。なぜだか、この記憶だけある。そして、これが一番古い記憶。




3歳以降は結構しっかり覚えている。私は、5つ上の兄と同じ幼稚園に通うことになった。



その幼稚園は、少しワイルドな幼稚園で、季節が関係なく半袖半ズボンにさせられるところだった。今の時代だと、訴えられるだろう。


半袖はともかく、半ズボンにはわけがある。制服が青い半ズボンなのだ。体操服みたいな制服。子供らしくていいかもしれないが、小学生になって周りのところはしっかりとした制服があることに驚いた。


そして、散歩は山登り。毎日ではなかった気はするが、週1以上で行っていたのは確実だ。そのせいか、私は断然山派である。


年少の時は、よくみんなで手を使った遊びをした。椅子を円に並べて、わらべうたをする。


年少は、3つのチームに分けられていた。何組的な感じで。ちなみに私は青チーム。正直ここではどうでもいい。


私はわらべうたが大好きだった。単純に歌うのが好きだっただけだけど、きっと誰よりも楽しんでいた。しかし、今ではひとつも思い出せない。


そして、入園してすぐに、8の字をみんなで練習した。遊ぶ時間になると、みんなで縄跳びをする。だから私は、3歳で8の字をマスターした。


この幼稚園は、昔遊びが盛んだった。縄跳びやけん玉、こまに竹馬、泥団子作りも毎日のようにしていた。だから、私の特技は昔遊び。


でも、縄跳びだけは苦手だった。1000回とべたら「赤縄」という、赤くて鈴の着いた縄跳びが貰えた。でも、私は640回しか飛べず、貰えなかった。ただ今思うと、鈴の着いた縄跳びは、本当にいらない。



当時、私には友達という概念がなかったと思う。みんな仲間、みんな仲良しみたいな、平和な世界が形成されていた。



でも、1人、たった1人、私には友達がいた。



名前は仮に、ぽんちゃんとしよう。

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