第11話
こうして、宙斗は千歳に手紙を書くことにした。
『こんにちは。調子はどうですか? って、やっぱり敬語だと変な感じだな……。まあ、いつも話してるように書くよ。……千歳と直接、会えないので手紙を書くことにした。こういうの、文通っていうんだっけ? とにかく、これから毎日、手紙を書くから、よろしく。返事は書ける時でいいから。……俺は、国語で文章書くのとかすごく苦手だから、変な文章書いてても、大目に見てくれ。……じゃあ、返事、待ってるぜ。 宙斗』
『手紙、読んだよ、ありがとう。……今日は朝から調子がいいよ。別に、面会謝絶にする程でもないのにね。桂先生は、大げさ過ぎるんだよ。……今、私は本を読んでるよ。本を読むのも楽しいけど、宙斗とお話できないのは、ちょっと寂しいかな……。私、早く良くなるように頑張るからね! ……じゃあ、バイバイ。 千歳』
『ヤッベー! あと夏休みも数日だっていうのに、宿題が全然終わってない! とにかく、これから徹夜でガッキーにも手伝ってもらって、宿題を終わらせるぜ! ……じゃあな。 宙斗』
『もう、宙斗ったら、宿題は計画的にやらなきゃダメでしょ! ガッキーに手伝ってもらわないで、自分でちゃんとやりなさい! 千歳』
『こんにちは。徹夜明けで、睡眠不足のガッキーです。……毎年毎年、あいつが宿題を溜める所為で……。まあ、慣れてるんだけど。……今、バカ宙斗は俺の隣りで、ぐうすかイビキを掻いて寝てます。毎年こうやって、俺がこいつの宿題を片付けてます。……本当、困った奴です。でも、憎めない奴です。……千歳、早く退院出来るように頑張って! 俺も、残りの数学のワークと古典の問題集と作文を頑張るから……。じゃあ、愚痴っちゃって、ごめんね。……バイバイ。 ガッキー』
『ガッキー、手紙ありがとう。私で良ければ、どんどん愚痴っちゃっていいよ。……宙斗、これを読んだら、ガッキーに今までのお礼をちゃんと言うこと! 分かった? 千歳』
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