第9話

二人が病院に戻ったのは、夜の七時過ぎだった。

 戻った途端、ガッキー達も含めて、四人は桂先生に大目玉を食らった。

 桂先生が怒ると怖いというのは、どうやら本当だったようだ。

「もうこんなことは、二度としないって約束しなさい」

「でも、千歳は元気じゃないですか。たまには、気分転換で外に出るのもいいじゃないですか」

「それは、御両親と主治医の僕の許可があっての話だ。君達が勝手にすることじゃない」

「青春は今しかないんだよ。千歳だって、いろいろとやりたいことがあるんだ。……それをあんたらに奪われていいのかよっ! 青春は冒険なんだ!」

 宙斗は、ここが病院だということも忘れて叫ぶ。

「その一時の冒険が、取り返しのつかないことになることもあるんだぞ!」

 桂先生が、凄い剣幕で怒鳴る。

 宙斗たちが、思わず怯む。

「……つい怒鳴ってしまって、すまない。……今日はもう帰りなさい」

 宙斗達は、帰るしかなかった。


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