最弱主人公は今を生きる。自由を手にする為、相棒の魂結人と今を生きる。

ミコト

第1話 いつか先のお話

………遂にこの時が来てしまった。

先程から暴れて止まらない心臓を抑えて、前を見据える。長い通路の先には大きな円上の闘技場、通称『第2闘技場』が広がっている。いつもは誰もいなくて、イベントがあっても閑散として居るが。司会者が喋る。


「さあ!コチラから入場するのは入学されてから未だに全勝!戦闘では圧倒的な力で場を支配する彼女を見てついたあだ名は聖域の戦乙女!

ローズヴェル セレスティア公女殿下ー!! 」


『『『『『ワアアアーー!!!!』』』』』

「…………っ」


胃の中が全て返りそうになる。何時もは埋まらない席も全て彼女がいるから埋まっている。それ程皆の憧れの存在であり、絶対的な存在であると脳が、本能が自分に伝えてくる。


逃げろ。お前じゃ絶対に叶わない。諦めろ。そう言ってくる自分の幻影を否定する。もともともう戻れない場所まで来てしまった。ならば万が一でも、億が一の確率でも掴もうと足掻くだけ。今までもそうやって足掻いて、生き残ってきたんだから。


「…………ミレイ。」

『何?ご主人。』


自分の右手、人差し指に着いている魂輪の中にいる彼女へと話す。言い残した事がないように。


「俺、お前が相棒で良かったよ。」

『……いきなり何…お別れする訳じゃないのに』


怪訝な声を出すミレイに何も言い返せず、曖昧に笑う。そして、左腕に着いているを見る。


この試合で僕が負ければこの腕輪は皆の前に姿を表れ、サイズが変わり僕の首に着く。そして……


『その腕輪はお前が負ければお前の首につき、お前は俺の物になる!……だからこそ、精々足掻けよ?出来損ないちゃん?』


湧き上がる憎悪、怒り、不安を押し込む。彼女だけには知られてはいけない。彼女は僕の被害者。彼女だけでも逃がしてみせる。絶対に。


「……おい、ご主人。」

「!?ど、どうした?ミレイ。」


左手の人差し指につけている魂輪の中から出てきたミレイが、後ろから僕を抱きしめる。


「……何考えてるか知らない…けど、不安になる必要は無い。」


彼女は微笑む。不安など、全くない純粋な顔で微笑む。


「1人じゃ無理な事であっても我らなら無敵!…そう言ったのはご主人。」

「……あぁ、そうだな。」


そうだった。俺たちはじゃ何も出来なかったけど2人なら、僕達は最強だ。そう彼女は信じているんだ。ならば自分も信じないといけないだろう?


「1人じゃ無理でも、僕達2人なら最強だ。」

『うん、誰にも負けない……ん。』


ミレイがある方向に指を刺す。そちらに目を向ければセレスティア公女殿下の隣に、真っ白な鎧を着ている騎士の姿があった。そいつがそこにいるだけで周りが浄化されていく。


の中でもトップクラスの存在であるオーディンと共にその力を見せてくれー!』


『『『『『ウオオオオオ!!!!』』』』』


そんな姿を見ながら、ミレイは笑いながら言った。

「あの自信満々のアイツらの鼻………折ったら面白そう」


その顔を見て、楽しそうな顔を見て確信する。

生涯でも相棒なのはきっとお前だけだろうと。


「……そうだな、この際だし、それもありだな。アイツも、観戦者の鼻も、へし折ってやろうぜ。」

「うん………折っちゃおう……」


ほんと、お前とあえて良かったよ。


「…………そいじゃ、行きますか!」


そうして僕は。最後になるかもしれない戦いをする為、長い廊下を歩く。


「……、私も相棒で良かった。……だから……私が必ず、貴方を助ける………絶対に。」


ミレイが言った最後の声は、自分に聞こえていなかった。




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「そしてそして、相手の選手の紹介だ!彼の成績は常に最下位近く!魔力もなく、ただの落ちこぼれだと思われていたが知恵と努力で相手に白星を1度も渡さなかった!正にダークホース!彼女に黒星をつけるのはこの男なのか!? アルト選手だー!!」


『『『『『……………』』』』』


誰も喋らない。叫ばない。それ程にまで、僕と言う存在は嫌われていて、邪魔な存在なのだろう。いつもの事なので、もう慣れたが。



「やっと、この時が来た。」

「………」


目の前の彼女が腰に指した剣を引き抜き、言う。


「魔力がある訳でもない。特別な力がある訳でも無い。なのに、貴方は一度も誰にも負けなかった。」

「買いかぶりすぎですよ。ただ運が良かっただけです。」


自分はただ運が良かっただけ。

どこかで間違えていれば、どの試合も一瞬で負けていただろう。それだけの話だ。


「確かにそうかもしれない。それでも、私は貴方が知りたい。」

「………そうですか。」


そのセリフはこんな場所じゃなかったらな~


話し合いはそこで終わらせる。これ以上は何言っても分かり合えないから。そう思いながら腰についている剣を抜く。


最終確認が終わり、審判が道具を起動すると同時に薄い膜が周りを僕達を包む。



「勝利条件は契約者の一定ダメージ与える。又は魂結人に一定のダメージ与える事。公正な戦いを心掛ける様に。」


審判が手を上げる。人生を掛けた戦いが始まる。


『試合、始め!』


「エンゲージ!」

「エンゲージ!」







この物語は最弱主人公、アルトが学園で相棒のミレイと出会い、今を生きるお話だ。





・・・・・・・・

・・・・・

・・・






今作は7話まではメシマズ、読みずらくなっております。

それからは面白くなってると思うので………なにとぞ~なにとぞ~

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