魔王の巫女救出編(3 / 8)
「巫女……?」
オウム返しに聞く俺に、巫女を名乗った少女はコクリと頷いて、
「巫女は、魔王の力の一端を操れるの。その力は本来、魔力がこちらの表世界に溢れないよう、裏世界──つまりは魔界の中を巡らせるために使われるもの」
「……本来、って?」
「攫われたの。魔界から、こちらの世界へと」
うつむきがちに、巫女は話す。
「もう十年くらいここ……魔王城にいる。この世界で魔王軍が動き始めたのは、そのせい」
十年前、というと俺がこの世界にやってきた頃合いだ。
確かその時くらいからちょうど魔族やモンスターの動きが活発化してきて、魔王軍による被害も増えてきた……という話を聞いている。
それにしても、
「ここ、魔王城だったのか……」
「ん。だからテツトに、私をここから連れ出してほしい。もう、魔王教の言いなりになって、人や魔族を傷つける道具を作るのは、イヤ……」
巫女は、俺のことを見上げる。
「テツトなら、何とかしてくれるって、思った」
「お、おお……どうしてそこまで俺のことを信頼してくれてるんだ?」
「メイスの呪術神の中でテツトをひと目見て……」
ポッ、と。
巫女はその頬を赤らめた。
「胸の中が『うにゅっ』ってして」
「う、うにゅって?」
「わ、わかんない……」
自分の頬を挟むようにして、巫女はその身をよじる。
……あ、これ、もしかして。
これまでだいぶ心当たりのある反応だ。
どうやら俺の転生特典である【
「……なんか、ゴメンな」
「? なんでテツトが、謝るの?」
キョトンとした表情で首を傾げ、巫女は言う。
「性なる生命力あふれるテツトになら、命を懸けてもいいって、私がそう思ったから呼んだだけ、なのに……」
「聖なる生命力? なんだ、それ?」
「無縫であり底なしの性の力……私が惹かれたのは、そこ」
巫女はキラキラとしたまなざしを俺に向けると共に、その頬を紅潮させた。
「獣王国から、色んな国での魔国との戦争を渡り歩く最中でも、テツトは一晩たりともパーティーメンバーたちとの【まぐわい】を欠かさなかった、でしょ?」
「……へ?」
パーティーメンバーとの、まぐわい?
何を言ってるんだ? と思ったのもつかの間だった。
「獣王国から帝国のオグロームに戻るまでのおよそ一ヶ月の間……冒険の途中でまぐわった回数、百三十一回。シバとのまぐわい、二十八回。ジャンヌとのまぐわい、二十六回。ロジャとのまぐわい、五十一回。マヌゥとのまぐわい、二十六回」
「!?!?!?」
「昼の行為回数が三十八回、夜が九十三回。ロジャとのまぐわい数が圧倒的に多いのは、昼の戦場で興奮状態に陥ったロジャに無理やり押し倒されてテツトが犯される場面が三十五回もあったから。性交と呼ぶよりかは交尾と呼ぶ方がしっくりとくる、燃え上がるような肉体のぶつけ合い、だったなぁ……」
「ちょっ……ちょっと待ってっ!? なんでっ!? なんでそんなことを君が知ってんのっ!?」
「見てたから」
ゾッとするような声で、巫女は言う。
「あそこに鏡が、あるでしょ?」
そう巫女が指さしたのは、部屋の奥にある姿見だ。
「私は、覗くだけなら、あの鏡でできるから……」
「ま、まさか……!」
「ずっと……ずっとずっとずっと、見てたの、見てきたの」
ニヤァ、と。
巫女は深い笑みを作った。
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