最高のクリスマスを

軍鶏酉蘇傀

【完結】最高のクリスマスを

「おい!薄情者!何座ってんだよ!さっさと立てよ、まだこっちは殴りたりないんだよ!」「そうだそうだ!早く立てよ!」楽しみながら1人のいじめっ子、守が僕の顔を殴る。もう1人、優助が僕が抵抗できないよう後ろからに両腕をおさえている。クラスのみんなと目があっているはずなのに、誰も助けてくれない。みんな見て見ぬフリをしている。みんな自分がいじめられなければいいんだ「雪が降ってるので、薄情者に餌を与えてはどうですか?」「なにそれ〜、面白そう〜!早くやってよ!」1人のメガネをかけた男子、退助がそう言い提案をすると、火乃が守の肩に手を乗せそれを促す。ガラガラ。教室のドアが開き担任の秀弘先生が入ってくる「センセーもう授業始まるのー?うちまだ準備できてないんだけど?」火乃が先生そう言うと「また、冬真で遊んでいたのか?遊ぶのもいいが、あまりおおごとは起こすなよ。責任を取るのは先生なんだから。授業は3分後に始めるからもう準備しておけよ」「は〜い。守くんもう終わりだって、また昼休みに遊ぶ?」火乃は守の手を掴む「は?昼休みは違うクラスのやつと雪合戦するからやらねぇよ。この後の休憩時間は作戦会議な」守は火乃の手を振り払いそう答える「あ、そうだった。冬真暇だろ?少し先生の手伝いをしろ。ついてこい」先生はそういうと、すぐに僕のところに来て、殴り疲れている僕の腕を掴み立たせてきた。が、足に力が入らず立てない「おい!守!冬真には雑用をさせるんだから、しっかり使えるようにしとっけって言っただろ。これで何回目だ!」腕掴んでないとまともに立てることすらできないと知り先生は守に文句を言うと、守の方に行った。もう嫌だ。みんな消えてしまえばいいのに。


やっと昼休みになり、コキ使われないように早めに図書館に行った。教室にいてもみんなからコキ使われたりするので、いつも図書館に来て本を読んでいる。クリスマスイブの前日なこともあり、図書館のカウンターの近くにはクリスマスツリーが飾ってある。いつも通り図書館の奥の方で本を読もうと本を探していると、クリスマスツリーの近くで低学年向けの読み聞かせをしている。その本は「ブラックサンタ」という題名の本だった。読んだことがない本だったので、少し気になったが、低学年と一緒に読み聞かせをきくのは恥ずかしいため、近くで本を探すフリをしながら聞いてみる「ブラックサンタ。それは黒い服を着たサンタクロース。悪い子をどこかに連れ去ってしまうという、サンタクロースです。そのため、クリスマスが近くなるとみんな良い子になります。そんな中…」ブラックサンタ、悪い子を連れ去るサンタさん。そんなサンタさんなんかいるわけない。そもそもサンタさんはいないんだ。クラスのみんなもそう言ってるんだ。どんな話かは大体わかったので、読む本を見つけいつもの場所にいると「いたいた。今日は何の本読んでるの?」1人の女の子、桃井ちゃんが話しかけてきた「この本はクリスマスになるとお願いで死んだ人に会えるっていう本なんだよ」「なーんだ。またその本?冬真くんは、本当にその本好きなんだね」桃井ちゃんは唯一僕と話してくれる子で、理由は同じ施設で5歳くらいの頃から一緒に過ごしているから幼馴染的な存在だからだ「この本を読んでると薫ちゃんにまた会える気がするんだ」薫ちゃん3年前に崖から落ちて死んでしまった子だ。桃井ちゃんと同じ幼馴染みたいな子で、僕の好きな子だ「そうなんだね、あ!そうだった。帰りにおつかい頼まれてるんだった!今日一緒に帰らない?」「うん。いいよ」キンコーンカンコーン。キーンコーンカーンコーン。学校の5分前のチャイムがなり、さっきまで読んでいた本を急いで借り、彼岸花が描かれているしおりをはさみ、図書館を出る。


帰宅時間になり、桃井ちゃんと一緒に買い出しをしていると、何枚かのくじ引き券をもらった。商店街の真ん中らへんでやっていて、クリスマスとかの、イベントが近くなると毎回やっている。一等はハワイ旅行券のペアチケットだそうだ「冬真くん、一等狙おうね!」個人的には施設の人たちに二等の国産黒毛和牛をプレゼントしたい。桃井ちゃんはガラガラをゆっくり三回まわし、白い球が一つ出てくる。白い球はティッシュだそうだ。五回分回すと、六等が最初のと合わせて三つ。五等の小さめのお菓子が三つくらい入っているのを二つ当てた「ざんねーん。冬真くんと一緒にハワイ行きたかったな〜」桃井ちゃんは残念そうに言うと、くじ引きのおじさんが「残念だったね!あ!そうそう大きなクリスマスツリーの近くに、サンタさんへのお願いをするための箱があるから、そこにお願いしてからまた今度引きに来な」「そうだね!ありがとう、おじさん!冬真くん行ってみようよ!」返事をする前に桃井ちゃんは手首を掴んで来て引っ張ってきた。行ってみるとそこにはおじさんが言ったように、大きなクリスマスツリーの前に長机と少し大きめの四角形の箱が置いてあった「一緒にお願い事書こう!私はそうだな〜、うーん」桃井ちゃんはそう言いながらも鉛筆でスラスラと書いていく。見ようとしても見せてくれなかった。僕もお願い事を書こう。僕のお願いは決まっている『ブラックサンタさんが会いに来てくれますように』今パッと出てきた中で、一番のお願い事だ。お願い事は四角形の箱の中に入れ、願い事がサンタさんに届くように、五時に燃やすらしい。


施設に帰ると、買ってきた材料を職員の優斗さんと、西奈さんに渡す。ご飯ができるまで、下の子たちの面倒を見るのが、ここでの毎日だ。クリスマスが近いので、喧嘩をしている子たちには「いい子にしないとサンタさんが来なくなっちゃうよ。仲直りしよ」と言うとすぐに仲直りするため便利だと思っている。ご飯ができるとみんなでご飯を食卓に運ぶ。中学生のお兄ちゃんやお姉ちゃんも部活から帰ってきて、みんなで一緒にご飯を食べる。施設での生活は大変だが、幸せだ。いじめっ子は可哀想とか言うけど、みんなと楽しく過ごせているが、前の方が楽しかった。ご飯を食べ終え、食器を洗い、お風呂に入る。寝ようとしても、宿題があるため宿題をしなければならない。わからないところは優斗さんや、西奈さん、中学生のお兄ちゃん、お姉ちゃんに聞く。勉強が終わると時計は10時を指していたため、明日の用意をして布団に入り寝る。


今日はクリスマスイブ。登校中に商店街の近くを通ると、いつもより賑わっているような気がした。学校に着くと、ほんとんどの人がクリスマスイブだからと言う理由で浮かれている。それはいじめっ子たちも含まれている「おい!薄情者が来たぞー!今日は何をしてやろっかなー」と優助が言う。1人じゃ何もできないくせに。優助はすぐに守のところに行くが、守が気分じゃないのか今日は僕のところには来なかった。よかった。今日は気分がいいらしい。でも、優助は違ったらしく、また僕のところに来て僕の机の上に置いてある筆箱を取り上げた「やめてよ!返して」そう言っても返してくれず筆箱を窓から外に向かって投げられた。その時、パリーン。何かが割れる音がした。ベランダから一階を見てみると、植木鉢に当たったそうだ。担任の秀弘先生が入ってきた瞬間に優助が投げたので先生も見ていたのかすぐに状況を理解したらしい「どっちが悪いんだ?」そうきかれたので「優助が投げました」と言うと、優助は否定をすると「なぜ、お前は嘘をつくんだ!冬真。お前が優助を怒らせたんだろ?正直に言え。全く」先生は呆れたように言ってきた。僕じゃないのに。そう思っていると、先生は僕の手を掴み、どこかに連れて行く。連れて行かれた場所はさっき優助が筆箱を投げて植木鉢を割った教室のベランダだ「吉岡先生、すみません。うちの生徒が、自分から厳しく言っておきますので」秀弘先生は僕の言うことを絶対に信じてくれない「秀弘先生、お願いしますよ。今回は怪我人がいなかったからよかったものの。植木鉢は私が片付けておきますので、それとこの筆箱も渡しといてください」と2年生の担任の吉岡先生が僕の筆箱を秀弘先生に渡す。筆箱は3階から落ちた衝撃と植木鉢が割れてせいで、もうボロボロだった。2年生の教室を出て、廊下で「全く。俺に面倒ごとをかけさせるな。今回は施設の職員の人たちには言わないから、反省文をいつもは3枚だが、今回はその2倍の6枚だ。これを書いて提出するように。わかったか?」そういうと、秀弘先生は僕に筆箱を返してくれた。理不尽だ。僕はただ筆箱を取られ、窓から落とされた被害者なのに。なんで僕がいつもこんな目に遭わないといけないんだ。先生が授業の準備をしてるので、筆箱の中身を確認すると、全部で三つしかない鉛筆は一本以外はほぼ二つに割れていた。二つとも、新品で削ったばかりだったに。先生は授業を始める前に「いいか、今回は冬真が自分の筆箱を落とし遊ぶというバカみたいなことをしてたが、今回は怪我人がいなかったからしいからよかった。みんなはこんなバカみたいにならないでいい子にしてろよ。悪い子にはブラックサンタが来るらしいから気をつけろ」みんなはクスクス笑っている「せんせー、バカじゃなくて、バカで薄情者のクソ野郎でしょ〜」笑いながら火乃は先生にそう指摘する。みんな嫌いだ。


学校が終わり帰ろうとすると、秀弘先生からウサギの世話を任された。当番の子が家の事情で休みらしい。動物は施設にもいたため、そこまで苦ではなかった。むしろ嬉しいくらいだ。秀弘先生からウサギのご飯をもらいあげにウサギ小屋に行く。何回か来たことがあるため、ウサギたちはあまり警戒心を持たずに近寄ってくる「みんなご飯だよ」ご飯を置くところにご飯を置き、しばらく近くで見ていると「おい、ここに薄情者がいるのかよ?」「いるって、だってウチ見たもん。先生に頼まれてるところ」この声は守と、火乃、2人の声だ。足音が多いため、退助と、優助もいるだろう。身構えていると、ウサギ小屋の二重扉の手前の扉が開く「お!開いてるじゃん」「ほらね言ったとおりでしょ」次の瞬間、守、火乃、優助の順で入ってくる「僕は臭いから入りませんよ!」と退助の声が聞こえる「お!薄情者いるじゃん!ウサギに混じって自分も食べてるのか?」「守くん、薄情者は自分じゃ食べれないから食べさせてあげなよ」優助が提案をすると、守は不適な笑みを浮かべながら近づいてくると、片手で僕の髪を掴み、もう片手でウサギのご飯をいっぱいに持ち、口の中に入れようとしくる「やめてよ!ウサギが怖がってるよ!」「あ?俺に意見とは薄情者のくせに調子乗ってんじゃねぇよ!こっちはイライラしてんだよ!」そういうとウサギのご飯が置いてあるところに僕の顔を押し付けてくる。何回も何回も、ウサギは怖いのか、すみっこの方に寄っている「おい!こいつ全然食わねぇぞ!優助!こいつ抑えてろ」そういうと、守は僕を突き飛ばし優助は両腕を掴み抑えてくる。チラッとウサギの方をみると、火乃が触ろうとしている姿が見える。ウサギは明らかに威嚇している。指をウサギの鼻先まで近づけると「イタッ!」ウサギが指を噛んだようだ「なんなの!このウサギ!ウチの手噛んできたんだけど、このクソウサギがよ!」そういうと、噛んだウサギを思いっきり蹴り飛ばす「やめろ!」近寄ろうとしても、抑えられてるので、簡単には近くに行けない。蹴られたウサギの周りにウサギたちが近くにより、火乃たちに威嚇をしていると、1匹外に逃げ出してしまう「待って!」そのウサギを止めようと、優助を振り払い、ウサギを追いかける。だが、ウサギの足が早いため、簡単に追いつけない。次の瞬間ウサギが道路に出てしまう。右からは車が来ている「危ない!」キッーと車のブレーキ音がするが、ドン!間に合わなかった。ウサギは轢かれてしまった。すぐにウサギの近くに寄り、先生に救急車を呼んでもらおうとし、急いで職員室に行こうとすると、廊下の途中で理科の先生がいる「先生!ウサギが!」理科の先生の近くによると、先生はウサギを触ると、みるみるうちに顔が青ざめていく「渡して!急いで動物病院に連れて行く。秀弘先生には簡潔に伝えておく!後、ウサギ小屋の鍵は閉めて!」先生は急いで走って行った。僕も急いでウサギ小屋に戻り、小屋の鍵を閉めようとすると、そこにはウサギしかいなかった。守たちはいなかった。ウサギたちの数を確信して鍵を閉めた。急いで理科の先生のところに行こう!職員室に急いで行くと、そこには理科の先生の姿はなく、ものすごい剣幕をした秀弘先生が立っていた「先生!ウサギが!車に!」呼吸が整えながら言うと「ああ。わかっている。車の持ち主の人から聞いている。とりあえず血が汚いから、体操着に着替えて、急いで応接室に来い。わかったな」僕は頷くとすぐに教室に向かい、体操着に着替えた。


着替えてすぐに、応接室に向かうと、そこには教頭先生と秀弘先生、知らない男性がいた。男性はイライラしているようで、貧乏ゆすりをしている「冬真くんここに座りなさい」教頭先生にそう言われたため、言われた通りに椅子に座ると「このガキが、俺にウサギを轢かせたんだよ!どうしてくれるんだよ!車に血がついたじゃねぇか!」と急に男性が怒鳴り声を上げる「申し訳ありません。洗車代はこちらでお支払いしますので、どうかお許しを」と教頭先生がいい「この度は申し訳ございません!」と秀弘先生も頭を下げたので、僕はすぐに状況を理解し「申し訳ありません」と言い、秀弘先生と同じ事をする。車の持ち主は「これ、俺の電話番号だから、きたらすぐに電話に出ろよ!チッ、ふざけんじゃねぇぞ」最後のは独り言のように言い、部屋から出て行った「はぁー、冬真なんでお前は問題ばかり起こすんだ」大きなため息をつきながら秀弘先生が言う「秀弘くんなんで、ウサギが小屋から出たんだ?」教頭先生が質問をしてきたため「ウサギにご飯をあげていたら、守くんたちが僕のところに来て、ウサギ小屋の、」「お前はまた守たちのせいにするのか!いい加減、人のせいにするのはやめてしっかり反省しろ!」秀弘先生が僕の話を遮るように大きな声を出し話はじめたのでびっくりした「まぁまぁ、秀弘先生。冬真くんが話している途中ではありませんか」教頭先生が秀弘先生をなだめようとしいる「ですが、教頭先生。冬真はいっつも人のせいにするのですよ。それも、いつも守たちのせいにして。私も最初は信じていましが、見ていた子たちも皆、冬真がやったと口を揃えていうのですよ」教頭先生を説得しようとしているが「なるほど。この話はまた明日にしましょう。秀弘先生は後で話があるので来てください」教頭先生が真面目な顔で言うと、秀弘先生は何かを察したのか目を逸らし気味にし「あー、申し訳ございません。教頭先生。今日はこの後、どうしてもはずせない用事があるんですよー。すみません」秀弘先生は逃げるように言い、応接室から出た「全く、あの先生は。冬真くんは明日の昼頃また応接室に来なさい」「はい。わかりました」出る前に一礼をし「失礼しました」と言って応接室から出て、ランドセルを取り教室に行くと、教室には秀弘先生がいた。秀弘先生と目が合い、秀弘先生は睨みつけてながら、近づいてきた「冬真!どうしてあそこで自分がいけないと言わないんだ!」そういうと、パチン。秀弘先生が平手打ちをしてきた「悪い子には平手打ちのプレゼントだよ。お前がいるから全ていけないんだ。全てお前のせいなんだよ、わかったか?」秀弘先生はすぐに僕の両肩を痛いくらいに掴み目を合わせながら言う「はい」それしか言えなかった「わかればいいんだよ、わかれば。お前はいい子だな。サンタさんがくるといいな」秀弘先生は少し安心したかなようにして、教室を出て行った。そんなサンタさんならいなければいいのに。


帰り道は、もう暗くなっていた。施設の少し前の空き地の前に退助が立っていた「守くん薄情者が来たよ!」そういうと、守は空き地から勢いよく走ってきて、僕に向かって突進してきた。ランドセルのおかげで頭は打たなくてすんだが、体の中が急に押し込まれたかと思ったら浮かんだような感じかして、痛かった「さっきはウサギが死んだせいで中断したが、今日はクリスマスだ!いい子にはサンタが来るんだろ?だからお前を成敗すれば俺たちはいい子だからプレゼントをたくさんもらえるんだよ!逃げるなよ」そう言うと、守は馬乗りになり、僕の顔をどんどん殴っていく「やめっ」抵抗もできないままどんどん殴られていく。痛い、痛い、痛い。もうやだ、やめて、誰かたすけて。結局ずっと殴られていた。もう疲れた何も見えないし聞こえないが、終わったことだけはわかる。

「ねぇ、冬真くんは将来何になりたいの?」死んだはずの薫がいるが、なんの違和感をもたないまま「僕は、誰でも優しくできる人になりたいな」そう答えると、フフッと薫が笑いながら「てっきり職業とか答えると思った」と言われ、なんだか気恥ずかしくなり、頭をかきながら一緒になって笑っている。


「お…、…い、おい!起きろ!」そんな怒鳴り声のような声と共に目を覚ます。目を開けるとそこには誰かがいる。誰だろうかと目を擦り見てみると施設の管理者のおじさんの、健楽さんがいた「やっと起きたかよ。全く、クソジジイのせいでこんなところまで来たのに、施設に向かってると、お前が死んだように倒れてるもんだから、驚かせやがって。ほら、いつまで寝転がっているんだよ、さっさと立て」そう言うと健楽さんは腕を掴んで立たせようとしたが、「イタッ」腕も体も殴られていたようで、少しでも触ると痛かった「?そんな力は入れてねぇぞ。たがら最近のガキは脆いくせに、こんな時間まで出歩くから、嫌いなんだよ。今何時知ってんのか?」暗いからか、殴られた後ができてないからかは知らないが、健楽さんは少し不思議そうに首を傾げ言った「すみません。思いっきり転んだようで、足が痛くて」そう言うと、健楽さんは少し怒ったように「何がすみませんだ。痛かったらそう言うだけでいい、ほら車まで運ぶからじっとしてろ」軽々と僕の体をあげると健楽さんも少し驚いていた「なんでお前こんな軽いんだよ!ちゃんと飯食え!」急に大きな声で話しかけられたので、びっくりした。やっぱりこの人も僕のことが嫌いなんだろうか。車の助席に乗せられると、あっという間に施設の駐車場にいた。「ほらついたぞ」さっきまで運転席にいた健楽さんがいつのまにか左側にいた。シートベルトを外され、施設の中まで運ばれると優斗さんと西奈さんが急いで駆け寄ってきた「どこにいたの!こんな時間まで!」西奈さんはものすごい剣幕で行ってきた。玄関の近くにある時計を見ようしても目が霞んで見えなかった。


気がついたら寝てしまったのか、ソファの上に寝ていた。体を起こして自分の手をみると包帯が巻かれていた。やっぱり傷跡ができていたんだ。周りを見渡しても誰もいない。時間を見ると、時刻は11時だった。グゥ〜と大きなお腹の音がすると、健楽さんが部屋に入ってきた「起きたか。とりあえずそこに置いてある飯でも食え、話は明日だ着替えはお前の部屋に置いてあるからそれに着替えて今日は寝ろ」健楽さんが指をさした方向を見ると、そこにはローストチキンやケーキが一切れなどが置いてあった。今日はクリスマスイブだったと言う事をすっかり忘れていた。お礼を言おうとすると健楽さんはもういなかった。黙って1人でご飯に手をつける。味がよくわからない。美味しいかも不味いかも。何も感じないままだが、腹は少しずつ膨れていってるのがわかる。ご飯を食べ終え食器を台所まで運び洗っていると、健楽さんが様子を見にきたのかこっちの部屋にやってきた。僕の方を見ると慌てて近寄り「コラァ!何やってんだ!飯食って着替えてさっさと寝ろって言っただろ!誰が洗い物しろって言った!さっさと部屋に戻って着替えて寝ろ。クソが」といい舌打ちをした「ごめんなさい」「謝ってんじゃねぇよ。さっさと行け」やっぱり健楽さんは僕が嫌いなのだろうか、もう嫌だ。


自室に行き服を着替え寝ようとする前にふとある事を思う。健楽さんに謝らなくちゃ。みんなに謝らなくちゃ。迷惑をかけてごめんなさいって。そう思い、健楽さんや優斗さん、西奈さんを探し謝ろうと思い一階に降りると、話し声が聞こえる聞き耳を立ててみると「おい、あのガキどうするんだよ。何もできねぇだろ。しばらく休ませろ。行かせてもただ役に立たないだけだ」役に立たない。その言葉がずっと脳内を駆け巡ったまま、部屋に静かに戻った「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ」呼吸がだんだんと荒くなっていく。もう嫌だ。みんな嫌だ。嫌いだ嫌いだ嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い。もう疲れた。何も考えたくない。そんな事を考えているとある一つの事を思い出す『悪い子はブラックサンタさんに連れ去ってしまう』そうだ!そうなんだ。ブラックサンタさんに会えれば何も考えないで連れて行かれるんだ。そう思いすぐに行動をした。ノートから紙を一枚切り取り、紙いっぱいになるように一つの願い事を何回も書いた『ブラックサンタに会えますように』っと書いた。書いたら、一階に古い暖炉があり、まだ燃えていた事をさっき確認したので、バレないように行き、紙を小さくして暖炉の火の中に入れた。燃えた事を確認すると、すぐに部屋に戻り、ベットに入った。ベットに入ると不思議と眠くなり、深海に落ちているかのような感覚になり、意識が途絶えた。

「大人になるとサンタさんが来ないって知ってた?」薫ちゃんがそう質問をしてくる。僕はそんな事知らなかったため「そうなの?」と返すと「西奈さんが言ってたんだー、大人になるとサンタさんが来なくなっちゃうんだって」「そうなんだ。じゃあ大人になんかなりたくないや」僕はその話を聞くとなんだか大人になるのが怖くなってきた「そうかー。でも、大人になったらいいことたくさんあるってことも西奈さんが言ってたよ。それでも嫌?」薫はブランコを止めて質問をしてきた。僕もブランコに座っていて、さっきまでは何故か気がつかなかった「嫌だ」まだ、大人になるのが怖い。怖いと言うか、誰からもプレゼントがもらえなくなるのが嫌なだけだ「そうかー。じゃあ私が冬真くんのサンタさんになってあげるからさ、それでいい?」まるで僕が誰からもプレゼントがもらえなくなるのが嫌だと見透かしたように言ってきた「うん!でも、それだと薫ちゃんのプレゼントは誰があげるの?」そう言うと薫は目を逸らした「じゃあ、僕が薫ちゃんにプレゼントをあげるよ!」薫はすぐにこちらを見て嬉しそうだった。2人で笑顔になっていると「おーい起きろー。朝ですよー。まったく、人にお願いしておいてこれかよ。なんか起こせるものあったっけな〜っと、お!そうそうこれこれ。これをあたまに…はやめておいて、まずこれを飲ませてからっと」いつのまにか薫がいなくなっていて、テレビでそんな声が聞こえている。水を飲もうとコップを持ち、口に運ぶ。飲み干すと、突然心臓がバクっと大きく動く。


ハァッっと突然目が覚め、体が起き上がる。次の瞬間誰かが目の前に現れた「メリークリスマス。君の願い事を叶えに来てあげた、サンタクロースこと、ブラックサンタクロースだよ」さっきまで寝ていたため、暗闇でも目が見えるため、余計に驚いた。この男には口しか無い。それに驚いていると、自分はブラックサンタクロースだと言う。寝起きということもあり、全く理解が追いつかない「まぁ、そうだよねー。こんなイケメンが突然目が覚めたら目の前に!なんて男子でも驚いちゃうもんねー。仕方ないことだから恥ずかしがらなくていいんだよ。ほら、お兄さんカッコいいでしょ」っとブラックサンタと名乗る謎の人物?が言っている「何言ってるんですか?あなた?」と質問すると「ハハハハハハ」と急に大きな手を叩いきながら笑いはじめた「面白いねー君。気に入った。それで願い事は僕に会いたいってことだけかい?」笑い終わり真剣なのかよくわからない感じで聞いてくる「あなたがブラックサンタっていう証拠はあるんですか?」まだ、この人がブラックサンタっていうことはわからない。もしかしたら不審者かも知れないと言う疑問が頭の中に浮かぶ「証拠かー、今の子供は賢いね本当。花丸百点満点。証拠は君の体を見ればわかるだろ。ほら、傷が治ってるでしょ」体を確認すると、体がどこも痛くないことに気づく。「本当にサンタさんなの?」と質問するが首を横に振り「サンタさんじゃない、"ブラックサンタさん"だよ」どうやら本当にブラックサンタさんだそうだ「ブラックサンタさんは人間じゃないの?」顔には口しかついていないため一番疑問に思っている事を聞く「YESとも言えるしNOとも言える。ブラックサンタとして活動している僕は人では無いが、ブラックサンタとして活動していない僕は人間なんだ」何故かそれで納得してしまった。「それで、お願い事は僕に会うだけかい?そうじゃ無いだろ?」なんで知っているんだろうと思いながら自然と口が動く「いじめてくる奴らを全員殺して欲しいんだ」「おっけおっけー。そう言う事なら、このソリに乗りたまえ」なんでだろういつもは思っていることなんて言えないのに今は言えている。不思議な感覚だ「なんで、僕も行かなくちゃいけないの?」と質問をするとブラックサンタは微笑んで「一緒に行った方が楽しいからさ、それに僕1人だと少し大変だからね、助手が必要なんだ。ほら、早く乗った乗った」乗ろうと窓の外に浮いている、ソリに乗ろうと近づく窓からソリをみると本当に浮いている「これ、夢じゃないの?」「そう思うなら自分の頬を叩くなり、手をつねってみるなりしてみたらどうだい」言われた通りに手をつねってみると、痛い。それでも信じられずに頬を自分で叩くと痛い。本当に夢じゃないんだ!「わかったかい、ほら乗りな」ブラックサンタさんは手を伸ばしてきたので、手につかまり、ソリに乗る。ソリに乗ると、自然と動き始めた。先頭にはトナカイはいなかった「どうしてトナカイがいないの?」ブラックサンタさんは「トナカイは赤いサンタクロースにだけ懐いて、ソリを引いてくれるんだ。僕たちには懐いてくれないんだ」「じゃあどうやって動いてるの?」「それは企業秘密さ。さぁまず最初の目的地に着く前にこれを飲んで、このサンタクロースの服を今着てる服の上から着といて」渡されたのは、小さめの瓶と、黒いサンタさんの服だった。


ブラックサンタに言われた通りに準備をし終えると、ちょうど、誰かの家についた「ここは誰の家なの?」家や、庭にもイルミネーションがあり、綺麗な家だ「ここはえーっと、力道守の家だね、主に君に暴力を振るっているゴリラだ」何枚か束になっている紙を出し、説明をしてくれた「その紙は?」そう聞くと、急いで隠して「これも、企業秘密だよ」と答えるだけだった「さぁ、まずは窓から侵入さ!」と言い、四角形の箱のようなものを取り出し、窓に貼り付けると次の瞬間、窓がひとりでに開いた。窓から入ると、左手の方にベットがあり、そこで守が寝ていた「よぉ〜し!まずはこの薬品を飲ませるよう!」と急に大声を出した「何してんの。静かにしてよ。起きちゃうでしょ」守は起きる様子はなかった。あんな耳元だったら鼓膜を破りそうな声だったのに「あら不思議。こんなに大声を出したのに誰も気がつきません。それは何故かって?うんうん。気になるよね〜。そうこれ、この瓶の中にある液体を飲むと自分の声だけでなく足音も聞こえなくしてくれまーす!でも、なんで僕はブラックサンタお兄さんの声が聞こえるかって顔してるね!この商品はなんと!液体を飲んだ人同士なら会話できちゃうとっ〜ても不思議液体なのです!わかったな?」ブラックサンタさんはテレビの通販のような口調で説明をしてきた。大体わかったため2、3回頷くと「では、ここで問題!デデン!果たしてこの液体をどう使うのでしょうか」この人はどれだけ自由で人を面白がらせるのが好きなんだろう「薬品を飲ませる?」「おぉ!正解。ブラボーブラボー。じゃあ飲ませて。はい」さっき説明していた液体が入っていた、瓶を渡してきた「飲ませればいいの?」ブラックサンタさんは黙って頷いたため、イビキをかいていたため、口が開いているので液体を飲ませる。飲ませると、ブラックサンタさんも近寄って来て、「まずお手本を見るね」と言い、「メリークリスマス」と言って守を起こす「うわっ。誰だよお前ら!」守は起きると、自分たちの姿を見て驚いたようだ。次の瞬間ブラックサンタさんはどこからともやく大きめのナイフを出して両足に大きめはナイフを一本ずつ手に突き刺した。守はとても痛がって悲鳴を上げていた。悲鳴が終わり始めと「はーい次行くよー」と言い、両手にナイフを刺していった。よく見ると、ベットに血がついていないことに気づいた「最後にっと、その前に質問するね。君は白城冬真くんをいじめていて、どんな気分だった?」とブラックサンタさんは優しいような声で囁いていた。まるで悪魔の囁きだ。「なんで、なんでなんだよ!俺はただ、ただみんなから褒められたかっただけなんだ!今より、もっと、もっともっと、みんなから褒められたかっただけなんだ!たがらあいつを殴っている時はいつもワクワクしていた、褒められるんじゃないかって。楽しみだったんだ!」守は、必死に命乞いかのように言う。ブラックサンタさんは、こっちを見て来てナイフを渡してくる「どうするかは、君の選択だ。心臓を刺さなければ、彼はまだ助かるよ」そう耳元で囁いた。本当に悪魔みたいだ。今それを言われても、やることは決まっている「僕は褒められたことなんかまともにないのに、くだらないな」思ったことが思わず独り言のように声に出た。僕は馬乗りになり、守の上に乗ると、ナイフを大きく振り上げた「やめっ」もう、お前の声は聞きたくないし、顔も見たくない。心臓に向かってナイフを大きく振り下げる。グサっ。守はナイフを刺すとすぐに死んでしまった。心臓を刺しても、何秒かは生きていると聞いたが、多分このナイフが特殊なのだろう。ブラックサンタさんは拍手をして「はーい。おめでとう。まずは1人目。体調は大丈夫そうだねー。すぐに次に行きたいと思ってるだろうけど、後片付けを、しないといけないんだよー。まぁ、それは僕の仕事なんだけど」そう言うと、一回指パッチンをすると、さっきまで守に刺さっていたナイフが消える。消えたのを確認すると、守の死体を白い袋の中に入れる。それはプレゼントを入れるような袋に似ていた。似ていたと言うより、本物だろう。そしてもう一回指パッチンをすると、ベットは新品同然のように、綺麗になっている「よぉ〜し、これで終わりっと。次は殺しの作業は全部1人でやってもらうよ。僕は後片付けをするからね。役割分担をしていこ〜!お〜!」ブラックサンタさんは、1人きりでも喋っていないと、ダメなのだろうか。まるで、マグロだ「お、おー」1人だと可哀想なので一応言っておく。


それからは、優助、退助、火乃の順番で殺しって言った。優助が僕をいじめた理由は「ああでもしないと、俺は!俺は、1人になっちゃうんだ!1人は嫌なんだ!1人だけ仲間外れにされるのが嫌なんだ!仕方のないことだったんだ。それにああでもしないと、火乃に近づけなかったんだ」と言い残し、死んだ。僕だって1人は嫌だ。だからと言って誰かをいじめるのは違うと思うし、もっと方法はあると思う。次に退助は「私は!あんなバカよりも、頭がいいんだ!いいはずなんだ!でも、あいつは、私よりテストでいい点を取る。絶対にズルをしているんだ!僕の方が上なんだ!僕こそが本当のてんさ」もう、聞きたくなかったので、途中で殺した。テストの点なんていらない、いじめられるなら。最後に火乃は「だって!だって!仕方ないもの!ああでもしないと、守くんの近くにいれないの!守くんが私に気を遣ってくれないの!守くんはあの女のことが好きだから、私は好きになられるように、もっと努力しなくちゃいけないの!近くにいないといけないの!」「守は最初に殺した」そう教えてあげ、ナイフを振り下ろした。みんな結局くだらない理由だった。


ソリで施設に帰るかと思いきや、知らない家に来た。「もう、いじめっ子は全員殺したよ、もう帰るんじゃないの?」ブラックサンタさんは、微笑み「まだだよ。元凶を潰さない限り、いじめは続くし、いじめてくる奴にこいつも入ってると思ったんだ。殺すか殺さないから見てから決めればいいさ」そう言われたため、窓から覗こうとしたが、ブラックサンタは玄関の方に行き、インターホンを鳴らした「ホラ、早くこっちこっち」と走って手招きをしてきたので、ついて行った。「何してるんですか!」「まぁ、静かに静かに。ほら見てみ」と言われ、玄関の方を見てみると、そこから出て来たのは担任の秀弘先生だった「誰ですか?こんな時間にって、誰もいないじゃねぇか!全く、故障か?めんどくさいな」インターホンを少し見てから家の中に入っていった「それで、どうするんだ?」もちろん答えは決まっている「殺る」そう答えると、ブラックサンタさんは笑顔になり「そうか、そうか!それでこそ僕の見込んだ子だ!」と頭を雑に撫でてきた。雑だったが、嬉しかった。また、玄関に行き、ブラックサンタさんがインターホンを鳴らす。今回は何回も連打している。そうすると、ドタドタと足音が聞こえてきて「あー!うるせぇな!」と勢いよく、秀弘先生が出てきて、ブラックサンタさんは顔に、秀弘先生の顔にスプレーをかけると、秀弘先生倒れてしまった「何をかけたの?」「鼻から吸うと寝てしまう、睡眠スプレー。便利でしょ」と自慢げに話してくる。その話を聞き僕は慌てて口と、鼻を押さえた「あー大丈夫、大丈夫。言い忘れてたけど、今の君に鼻はないから大丈夫だよ。ほら、鏡」「え?」鏡を見ると、いつのまにか、ブラックサンタさんと同じように目や鼻がなく、口しか無い。今まで、殺すことをずっと考えいたため、全く気が付かなかった「これ、大丈夫なの?」とても、心配になります尋ねると。ブラックサンタさんは大きく頷き「ダイジョーブ!」とグッドサインを出す「朝日が昇る頃にはその魔法は解けるようになるから、そんな心配しなくていいさ」と軽々しく言う。ブラッサンタさんは口調はなんだか胡散臭いけれど、言うことは今までも全て事実だったため、信じる。秀弘先生の家に入り、リビングまで運ぶ。ブラックサンタさんになる魔法のお陰なのか、大人1人を軽々しく運べた。リビングに運んだため、薬を飲ませる。起こそうと思い、揺らすと「ちょっと待って!」とブラックサンタさんが急いで言ったがもう、遅かった。秀弘先生は飛び上がっておき「なんなんだ!お前ら!」と言ってきた「メリークリスマス。そしてさようなら先生」と言い、ナイフを足に刺そうとした瞬間に、腹に蹴りを入れられた。痛くはなかったが、距離を取られた。ブラックサンタさんは大きなため息をつくと、先生にゆっくり近づきながら「矢島秀弘。年齢36歳。職業教師。面倒ごとが嫌いで、いつも誰かに押し付けようとする癖あり。学生時代に心理学を学んでいるため、小学生程度ならちょっとした洗脳のようなものは可能。1人をクラスの、のけ者にすることでクラスの団結力を強めようとし、ほぼ理想のクラスが完成した。人間は自分より下の人間がいると安心する生き物だから、正解しているが、それをやるのと考えるのでは違う。ただのゴミだよ、君。自分じゃ結局何にもできないもんね」とブラックサンタさんは先生に詰め寄る。「うるさい!」と言い、先生近くにあった椅子を取り、ブラックサンタさんに向け、振り下ろす。ブラックサンタは腕を上にあげ守るようにすると、椅子に当たると、椅子が壊れた。木製だったので、木の破片はとびまわり、真っ二つになった椅子の脚の方は僕の目の前に転がってきた。「僕を殺したいなら、ミサイルでも撃たないといけないよ」と言い、先生の首を掴み、持ち上げる。そうするともう一度でもさっきの睡眠スプレーと言ったものを取り出し、顔にかける。そうすると、先生はぐったりとし、寝ていた「全く、君はせっかちなんだから。大人は抵抗が激しいからまず縄で手足を縛らないと行けないんだよ」そう言いながらテキパキと縄を先生の体に結んで、身動きが取れなさそうな状態にした「はーい。おきてーください。朝ですよー」と言い腹を思いっきり殴った。先生の口から唾が出るのが見えるほどだった「はい」と言われ渡されたのはナイフ一本だった「お前らはなんなんだよ!この怪物!化け物!」先生は逃げようとしているが、さっきと違い縄で縛っているので、逃げられないようになっているが、必死に逃げようとして、這いづりながら逃げようとしている。まるでイモムシのようだ。逃げようとしている先生の上にのり、背中から心臓がどこにあるか考え、そこの付近を何度も何度も刺した。最初の方は声が少ししたが、気がついたら声がしなくなっていて、死んでいた。死体を入れる袋も今回は大人なので、少し大きかった。ブラックサンタさんはいつも通り後片付けをしている「怒らないんですか?」と質問するが、不思議そうな顔をして「君を怒る理由がないからさ」と言い仕上げの指パッチンをする「だって、間違えたから…」ブラックサンタさんは微笑むと「やっぱり、あの子の言った通りだ。間違えてはいないよ、君は知らなかったんだから仕方のないことだったんだ。悪いのは大人はどういう手順でやるか教えなかった僕の責任さ。だからそんなことで自分を責めるな。世の中生きていれば数えきれないほど間違いをする。次は間違えないようにする心意気は大事だが、一つ一つをそんな気にしていては先が思いやられるぞ。さぁ、次で最後だ行くよ」ブラックサンタさんは死体が入った袋を担いで、ソリに戻る。そう言う考え方もあるのか。前を向いていこう。次で最後だ。最後は健楽さんだろうか?



ソリで空をかけると、着いた先は施設だった。「最後は君の家。孤児院に住んでいる人間さ」と言い、どの部屋の近くかブラックサンタさんは探している。「最後は健楽さんですか?」その質問にブラックサンタさんは首を傾げ「誰それ?最後はその人じゃないよ。なんでその人だと思ったの?」健楽さんじゃない。だってあの人は、僕のことを役立たずだって言ったんだ。なんで違うんだ「ちなみに、君のことをいじめてるやつっていうのは君が思っている人でも入ってない人は、君の将来のことを思っている人さ。今までの理由を聞いてきただろう。ほとんどが自分のためで、いじめられている子たちのことを考えていないんだよ。人には不器用な人もいるから、言い方がきつい人もいる。多分その、健楽さんは言い方はきついが、君のことを大切に思ってるんだろうね」そうなのか?少し疑問を持っていると「最後はこの部屋の中で寝ている。ほら、行くよ」その部屋は僕の部屋と同じ階層で、2階だった。2階は子供の部屋しかない。誰なんだ?ブラックサンタさんは手早く窓を開け、部屋の中に入る。僕もブラックサンタさんに続いて入る。その部屋で寝ていたのは桃井ちゃんだ「ねぇ、間違ってない?桃井ちゃんがそんなことするわけないよ」少し声が震えた「じゃあ、サンタ服を脱いで自分で起こして聞いてみな。あ!いつもの薬プラスこの薬を飲ませてから起こしてね」といつもの薬と、プラスで新しい薬を渡された。新しい薬はいつもの薬と同じくらいの大きさだった。サンタ服を脱いで端の方に寄せ薬を二本飲ませ体を揺さぶりながら起こす。すると桃井ちゃんは起きた「うーん。だーれ?って、冬真くんじゃん。どうしたの?もしかしてあたしの思いに気がついてくれた?」桃井ちゃんは起きると僕の手を握りながら話す「思いって?」その質問をすると桃井ちゃんはこれまで見たことのないような目をする。何かに溺れているような目だった「思いは、あたしが〜、冬真くんのことを好きなことだよ。あたし頑張ったんだよー。冬真くんが薫じゃなくてあたしのことを好きになるように。だか〜ら、まず薫を崖から落として、殺したでしょ。あっ、でも下が川だったから生きてるかもねって、そんなことないか〜。アハハハハ」「桃井ちゃんどうしたの?」そんな心配はいらなかったようで「あたしはあたしだよ。冬真くんが、あたしのことを大好きになるならなんだってするんだよ」おかしい。狂っている「なんで、そんなことしたの?」そう言うと、桃井ちゃんが暗い顔をして怒ったように言った「そんなことって、冬真くんが、あたしに振り向いてくれないからでしょ!どんだけ頑張っても、薫のことばっか!だから!だからだよ。冬真くんのことが、いじめられるのは。あたしが計画したの、守くんたちに頼んで。守くんたちはあたしのことが大好きだったから利用したの。お母さんがいつも男の人にしていたように。冬真くんが、一人になってあたしだけが近くにいれば、いずれあたしに依存するかと思った」桃井ちゃんは、さらに険しい顔をして、声がどんどん大きくなっていく「冬真くんの周りにはいつも!いつも!あの女の影があるの!死んだのにまだ邪魔する!しかも、冬真くん、鈍いんだもん。何も気がついてくれないんだもん。ねぇ、冬真くん死のうとしてるでしょ。今からあたしと死なない?」桃井ちゃんは僕の首に腕を回し微笑む。僕の顔を見ていると、さっきよりもものすごい剣幕で、怒鳴る「なんで!なんで!あんたがいるの!」後ろを見ると、そこにはブラックサンタさんの横に薫ちゃんがいた「薫ちゃん?」僕は動揺していると、薫ちゃんは桃井ちゃんに近づき「あなたの愛は間違ってる。愛はその人が幸せになることを思うこと。でも、あなたは冬真くんが、苦しくなるようにした。あなたは間違ってる」そういい言いながら桃井ちゃんに近寄っていくと、桃井ちゃんは、薫ちゃんの顔にビンタした「あなたに、何がわかるの!」そんな言葉を無視しビンタも痛くないかのようにして僕の方を向いて薫ちゃんは質問する「冬真くん、どうするの?決めるのは君だよ」ブラックサンタさんからナイフを貰う。もし、ここで殺さなければまた違うやつからいじめられるだろう。でも。でも、僕に殺せるのか?桃井ちゃんを。考えていると桃井ちゃんが近寄ってきて「ねぇ、そのナイフであたしを殺すの?それともあの女を殺すの?ねぇ、あの女を殺すんでしょ?冬真くん!」僕は覚悟を決め、ナイフを首に向かって振り下ろした。「なん、で?あたしは、あたしは、冬真くん、が、だ、いす」そこで桃井ちゃんは息だえた。嫌いだった奴らを殺すのと違い、殺した後に吐き気が催した「大丈夫だよ、冬真くん。さっきまでまで友達だと思っていた人を殺したんだ。僕も初めて人を殺した時はそんなふうに気持ち悪くなったさ。薫ちゃんこれ、渡してあげて」ブラックサンタさんが言い終えると、薫ちゃんが僕に錠剤の薬一錠と、コップ1杯の水をくれた。僕はその薬を飲むと、動けるくらいに具合が良くなったが、まだ、若干の気持ち悪さが残る「さぁ、僕も最後の仕事だ」そう言うと、ブラックサンタさんは後片付けをはじめる。


「私ね、サンタさんに助けられて生きているんだ」そう言うと、僕の手を掴む。確かに暖かかった「じゃあ、なんで?」そう言うと、薫ちゃんは首を横に振る「私はね、本来なら今はもう死んでる人間なんだって。だから、会いに行けなかったの。知ってる?ブラックサンタさんって、死神とも言われていて、人がいつ死ぬかわかるんだって、それをサンタさんに教えて、サンタさんが私を助けてくれたの」薫ちゃんは説明している時どこか表情が曇っていた「でもね、それって本来はいけないことなんなんだって。だから今までも会いに行けなかったの。今日だけしか会えないんだって」薫ちゃんは笑顔になり、手を握る「今日会えてよかったよ」そう言うと、走っていってソリに乗った「ズルいよな〜、あの子。自分の言いたいことだけ言ってどこかに先に言っちゃうんだもんな」ブラックサンタさんは僕の頭に腕を乗せ言ってくる「お前は何か言わなくていいのか?」「何を言えばいいからわかんないんです」そう言うとブラックサンタさんは大きなため息をついて「自分が思ってること言え、さぁきみの部屋に戻るぞ」ブラックサンタさんは袋を担ぎソリに乗る。僕もソリに乗った。反対側に僕の部屋があるため、少し時間がかかったが、その間もずっと無言だった。


「ほら、着いたぞ」僕の部屋の窓にソリを止めて、窓を開けてブラックサンタさんは言った。僕はソリから降りて、自分の部屋に足をのせた。「それじゃあ、君と2度と会うことはないだろう。いじめもなくなったし、幸せに暮らせよ」本当に幸せに暮らせるだろうか?本当にこのままでいいのだろうか?ダメだ!ダメなんだこのままじゃ!「はぁ、それじゃあ行くか」「待って!最後に薫ちゃんに言いたいことがあるんだ!」そう言うとブラックサンタさんは待ってましたと顔で表して笑顔で手で言ってどうぞっと表現した「いつか、必ず、会いに行くから!絶対に!クリスマスの日に会いに行くから!待ってて!」自分史上最大の声量で言った。言ってやった。そうすると薫は嬉し涙なのか、泣きながら「うん!」とこれまでの笑顔で1番で頷いた「また会おうね!冬真くん!」「うん!必ず会いに行くから!薫ちゃん!」朝日が少し昇ってきている。ブラックサンタさんは「それじゃあ、そろそろ行かなくちゃな。僕も君が来るのを楽しみに待ってるよ。じゃあメリークリスマス!」ブラックサンタさんの目や鼻が一瞬見えた気がした。笑顔だったが、どこか悲しげで涙を流している感じだった「メリークリスマス!」僕は空をかけるソリに向かって手を振りながら言った。最高のクリスマスだ。


「あそこかな?」1人の男性が大雪の寒い中、1人で片手に招待状のようなものを持ち、数メートル先の村らしきところを見ていた。ここは北極のどこか。現人類の技術、いや、数千年経っても、あそこの村には1人では絶対に行けない村。サンタクロース村。村に入ると、小人たちが何人もいた。村の外にはその男の探し人はいなかった「クリスマスハウスという名前の家ってどこにあるか、わかりますか?」男は小人と同じ目線になって尋ねた。小人は恥ずかしがり屋なのか、顔を隠しながら指をさした。その先にはログハウスがある。村外れの丘にあったため、気が付かなかった。男はそのログハウスに向けて歩き始める。気温はマイナス89.5℃。息を吸うだけで、肺が凍りそうだ、男は諦めずにここまできた。行かなければならなかった。男はある人物に会いたいという一心で、ここにいる。ついにログハウスに着いた。日時はは12月25時0時。クリスマスだ。男はその家の扉にノックする「はーい」あの子の声だ。声変わりはしていたが一瞬でわかる。男は身だしなみを急いで整える。ガチャ。扉が開く。そこには1人の女性、そう男の探し人だ。女性と目が合うと、「メリークリスマス。君の願い事を叶えに来た、サンタクロースこと、ブラックサンタだよ」

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最高のクリスマスを 軍鶏酉蘇傀 @Toorii

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