ロシアにて 第五部~ਫੀਨੀਆ</フィーニァ-Й-

ろわぬ

第一話 「к концу(終りへ)」

"カタ... カタタタタ....


「Так значит ты сказал


 что это сделал


 Цвефов!?

(じゃ、じゃあ、あれは


 ツベフォフがやったってのかっ!?)」


「・・・・」


暗い部屋の中、アントンが薄明りの元で


パソコンのディスプレイの前に


ぼんやりと浮かび上がった


ザファーの顔を見ながら、


手に持っていた弾丸を机の上にバラ撒く


"カランッ"


「・・・・」


"カタタタタ...."


「・・・・」


「Пуля, которая как вы


 думали попала в него


 упала на снег,

(当たったと思った弾が


 雪の上に落ちやがるってのは....)」


「・・・・」


"カタタタタタタ....."


「・・・・」


"カタンッ


「Джучи.

(ジュチ)」


「Это просто камень, ну


 на первый взгляд он


 похож на какой-то


 металл но кажется что


 этот камень и


 согнулся пулей.

(ただの石...


 いや、一見何かの金属の様にも見えるが、


 どうやらこの石がその弾が


 曲がった原因の様だな)」


「・・・・」


すでにこの石の正体が分かっているのか、


モニターの前で考え込んでいる様な


顔つきを見せているザファーを


レベデワが呆然と見ていると、部屋の入り口から


石の欠片の様な物を手に持った


N/Sの防諜委員である、


ジュチ・ペトレンコフ


が部屋の中にいるN/Sの捜査員達の脇を通り抜け


部屋の中程の椅子に腰を下ろす


「Видимо как сказал


 Зафар этот камень


 подобен магниту.

(どうやらザファーの言う通り、


 この石は"磁石"の様だ)」


「магнит,

(・・・磁石...)」


"カランッ...."


「・・・・」


すでにこの石が磁石だと言う事は


ザファーから聞かされていたが、


机の上に置かれた石の欠片を見て


アントンは雑な顔つきで自分の頭をかく


"カタタタタタタ.....


「・・・・」


ジュチからザファーの方に視線を向けると、


ザファーはおそらくこの部屋で


ツベフォフが使っていたと思われる


ケーブルが至る所に伸び切り、


複数台のモニターが置かれている


机の上のパソコンに向かって


キーボードを打ち続けている....


「Компьютер, ты можешь


 им пользоваться?

(パソコン.... 使える様になった?)」


「Лебедева,

(・・・レベデワ)」


"ガランッ


這う様に床に伸びているケーブルを跨ぎながら


物が瓦礫の様に落ちている部屋の中で、


ジュチと同じくN/Sの防諜委員、そして


今回のツベフォフを追う


捜査班のリーダーである


ダリア・レベデワ


がパソコンの側にいる三人の元までやってくる


「Я вычислил пароль но,


 жаворонок,

(一応、パスワードは解けたけど....


 жаворонок...ジャーブラナ....)」


「Что-то случилось?

(・・・何かあったの?)」


「горб,

(・・・コブ...)」


"カタッ"


「・・・・」


自分のすぐ側にレベデワが立つと、


ザファーは手を止めレベデワを見上げる


「шарнир, Может быть,


 этим компьютером


 пользовался Цвефов,

(....шарнир シャルニェル


 たぶん... 


 このパソコンはツベフォフが使ってた....)」


「・・・・」


この部屋に入ってすぐに部屋の中央に


パソコンが置かれている事を確認すると、


ザファーは自分のパソコンを鞄から取り出し


そのパソコンにかけられたパスワードを


解析するためのソフトウェアを起動させ


時間を待たずパスワードの解析を終えると、


何かツベフォフに繋がる情報が無いか、


解析を続けていたが....


「Так Цувефов, ты знаешь


 что он делает?

(それで、ツベフォフが...何をしてるか... 


 分かりそうなの?)」


「・・・・」


「?」


「возможно

(・・・多分...)」


「・・・・」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る