旅が終わり、時が始まる

mirailive05

旅が終わり、時が始まる(空色杯の習作2)

静止した時間の中で、無限数の光りが通り過ぎる。

その一つ一つが、有限だが無限とも思える数の粒子でつくられた恒星だ。

無限のように思えるが、やはり恒星には寿命がある。

生まれ、耀き、その役割を終える。

時間のある彼らがうらやましい。


秒速30万キロメートルの世界。

質量のない世界。

ここでは時間さえも止まっている。

いつから進みだしたのかわからない。

どこから始まったのかもわからない。

ただただ進む、それだけだ。


進むその先に、始めて阻むものが現れた。

ありきたりな恒星に付随する、青い星。

そうか。

やっとか。

大気に突入する。

燃え尽きる。

一瞬の時間が目覚め、同時に眠りにつく。


時間さえも止まる無限のような有限の世界から、喧騒に包まれた有限のような無限の世界へ。

青い星の大気に溶け込みながら、旅の終わりを告げられる。

安らぎの世界へ、やっと。

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