第10話 ワープは幸運の味

エドワール・ルフレン


レベル:57

体力:420

攻撃力:120

防御力:120

素早さ:120


【固有スキル】

大食い


【特殊スキル】

鋭爪連斬+100

煉獄の超咆哮


転送魔法・上級


効果

ダンジョン内に設置された任意のワープポイントへワープする。また発動時、目にも留まらぬ速さで瞬間移動を繰り出し、自動的に敵の攻撃をかわすことが可能になる。



 強い! 強すぎる! まさに、合法チート!!

 輝かしい基礎ステータス。それに、上級の転送魔法。 

 パーティー追放時、あれほどまでに自分のことを馬鹿にしていた魔術師のカエサルでさえも会得していない、高級な魔法だ。

 

 もはや、このダンジョン内に敵はいなくなった。

 いや、自分を理不尽に追放した攻略パーティーの連中が束になって襲い掛かってきたとしても、今や余裕で迎え撃つことができるだろう。


 奴ら、その絶大な力を目の当たりにして、たちまち顔を青ざめ、畏敬の念を込めて土下座するに違いない。

 

 そして、聖女クレナは、パーティーの連中の愚かさとエドワールに秘められた魅力を知り、ころっと容易に寝返ることだろう。

 

 ああ、その時が待ち遠しい。まあ、遅かれ早かれ、いずれその時はやって来る。

 

 とりあえず今は、焦らず当初の目的通り、ダンジョンの脱出を目指そう。

 

 エドワールは試しに「転送魔法、発動」と唱えてみた。

 

 すると信じられないことに、脳裏に、鳥瞰図のようにダンジョンの全景が浮かび上がってきた。

 まるで葉脈のように複雑に入り組んだ洞窟の通路。その所々に、赤い光点が明滅している。

 

 なるほど、この光点に意識を集中させれば、ただちにその場所へワープすることができるのだ。

 

 これほど難解な迷路めいたダンジョンで、一人きりで手探りで出口までたどり着くのは非常に困難だ。

 だが今は違う。迷路の答えが書いてある地図を入手したも同然なのだ。

 

 エドワールはダンジョンの入口付近で明滅する光点に、意識を集中させた。

 

 次の瞬間。体がフワッと浮き上がる感覚に襲われる。

 視界が七色の光に包まれて、まるで銀河のワームホールを高速移動しているように、光の粒子が素早く通り過ぎてゆく。

 

 そして、降り立った先には……。

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