第9話
学歴不問。未経験者大歓迎。
良いことだ。
ただし、面接官の目利きが大事になってくるが。
私が勤めているひらおか書店にも男女のフリーターが何人かいる。大学もちゃんと出ている様だった。就活をしっかりこなしたのかは知らない。それでもあの百均のフリーター女の様な無責任なギャルじみた言動は感じられない。
バカなフリーター女は私との会話の中で楽しそうに
だいたい三年は同じとこ勤めろ、っていうよね?!
でもここで三年やったらワタシ何歳?!
みたいな!
頬杖をついたり両手を天井に向けながら伸ばしたり。自身の顔のあたりで開いて見せたり、ジェスチャーの多い頭の悪そうな動作だった。
私は心の中で笑った。この人は高校を出ていない。当然大学生と社会人の苦労についても疎いのだ。三年勤めるのは正社員の話だ、一般的に。
小林彩美は会話が苦手な様だった。話の筋や話題が飛ぶ様なことはなかったので会話が迷子になることはなかった。
会話が迷子になるのは篠崎彩美との方がずっと多い。お互いわかっていることが多すぎて話題がピンポンボールになってしまう。
それでも話せればそれでいい。
ただ一つ、フリーター女は読書を趣味としていた。
書店に勤めるものとしてはありがたい!
わあ!ありがとございます!
本を買う人がいないと続編が出ない。在庫がたまる。いつか読みたいと思っていた本が二度と復刊されない。
確実に、私はフリーター女を嫌悪していた。適当に本の感想とアニメの話をしながらその日私は。
「今話した本、あした、貸します」
二百はある愛読書の一つ、ライトノベル四冊を貸す約束をしていた。そして、なぜだろう、なぜか自費出版の話にもなり、あの本も貸してしまう!
なぜ。
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