六眼の王
パンパース
第1話 旅立ち
リリアン王国のとある辺境に位置する、ライクの村。
東に強い風が吹き、青年の銀色の髪がなびく。
「レイス!やっと見つけた!!」
身長180を超える青年、レイスの前に金髪の少女が呼吸を荒くして青年の足を止める。
「なんだ、メイ?」
「なんだじゃないわよ!!みんなに別れの挨拶は!?」
「今日までに挨拶は済ませてある」
すると少女はジャンプして青年の頭を叩く。
「あんたね!最後ぐらい顔見せなきゃダメでしょ!!」
「痛ぇなぁ…わかったよ、それに俺はまだ出て行かない。あと一、二時間後ぐらいに村を出発する予定だ。それまでは旅の物資の調達をする」
レイスは叩かれた頭をさすり、しぶしぶ顔を出すことを了承する。
「恥ずかしいから黙っていこうとしたんでしょ?」
「は?だからまだ出て行くつもりなかったっての」
「顔見ればわかるよ!じゃ!私もみんなと待ってるからね!!」
そういうとメイは笑みを浮かべて村へと走り出す。
「まだまだ子供だな、、」
ふっ、とレイスは笑みを浮かべ、隣町へと足を進める。
この村に居て十八年。
同い年はメイしかいない。
俺は同い年の人間をあいつしか知らない。
更には他の村の人たちは歳がだいぶ離れている。
「あいつ、、来いって言ったら着いて来るかなぁ…」
別にメイと一緒に居たいというわけではない。
あいつはドジだから村の人たちに迷惑がかかる。
そんな心にもない心配を自分に言い聞かせ、レイスは旅に出る最後の調整として買い出しをし、メイにお土産がてら食べ物を買って帰る。
「ん?」
隣町から村へと帰る途中、小さなスライムがぴょんぴょんと列を作って跳ねている。
「どれ見てみるか」
名前:スライム
レベル:2
スキル:
物理耐性LV1
固有スキル:
吸収
分解
「じいちゃん、もう使ってもいいんだよな、”六眼”」
レイスは目を抑えてそう呟く。
レイスは目を光らせ、スライムに微笑む。
名前:レイス
スキル:
物理耐性LV1
固有スキル:
吸収
分解
吸収:絶命している対象に触れることで対象の実体を吸収し、実体を取り込むことができる。
分解:対象を分解することが出来る。
ただし、使用者は対象よりも強力であることを条件とする。
「レイス、お前には特別な力が宿っている。
”六眼”と言う強力な力じゃ。
ただな、絶対にこの力を他言するな。
必ず隠せ!!
そしてその力はわしの知る限るだが、対象者の能力の強奪、魔力の詳細な情報を的確に知る力、この二つだと言われとる。他はわからん!
レイス、その力はこの村を旅立つ日まで絶対に使うな!」
レイスは幼いころの祖父との会話を思い出す。
あれ以来じいちゃんとは会っていないが、約束は守ってきた。
そしてやっとここまで来た。
俺はこの大きな世界を見て、冒険して、自由に生きることが夢。
その第一歩。
村の中心部では村の人たちと村長がレイスを見送るために集まっている。
「もう行くのか、」
「まぁな」
「やっと静かになるわい」
「メイは残るんだろ村長?あいつが居るなら村は騒がしいままだぜ」
村長は腰を曲げて「ファッ、ファッ、ファッ」と笑い声をあげる。
「ちょっと!今あたしの悪口言ってたでしょ二人とも!!」
すると甲高い声を上げてメイは二人を睨みつける。
「最後まで私が嫌いなわけ!?」
「別に嫌いなんて言ってねえだろ…痛!!」
しかしレイスはフッとメイを見下ろして笑みを浮かべ、いつもの煽りにメイは
レイスの足を思い切り踏みつける。
「メイ、お前はレイスと行かんのか?」
「え、、」
レイスは村長の発言に息を飲む。
村長の発言にメイは笑顔を作る。
「ううん!私はここに残る!みんなのこと心配だし、このバカと一緒に冒険なんて疲れそうだし!!」
「バカは余計だ。それに俺の方から願い下げだ」
行かないのか、、、
レイスはいつも通りに振舞うが、小さくため息を吐く。
「そうか、ならまだまだ騒がしいままじゃな」
「村長まで言ってる!やめてよ子供扱いは!!」
いつものやり取り。
しかしこれも最後だと思うと、ずっと見て居たいようにも思える。
「何よ?」
レイスは記憶に焼き付けようと傍観していたのをメイに指摘される。
「そろそろ行くよ。じゃあ元気で」
レイス出発後
【ライクの村 崩壊】
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