怪談語り・極

野口マッハ剛(ごう)

第1話 セキセイインコ

 これはとある男性の話です。


 男性は独り暮らしでアパートに住んでいます。


 ペットのセキセイインコと一緒に住んでいます。


 男性はセキセイインコにいろんな言葉を教えます。


 おはよう、ただいま、おかえりなさい、おやすみなさい。


 男性がある日の仕事終わりで帰宅した時です。


 どこだ? どこだ?


 セキセイインコはそう言っています。


 そこで男性は、うん? そう思ったのです。


 そんな言葉を教えたかな? と。


 ない。ない。ない。ない。


 セキセイインコは続けて言葉を言っています。


 どこだ? どこだ?


 ない。ない。ない。ない。


 あたしの人形、あたしの人形、あたしの人形。


 そこで男性はゾッとしました。


 男性はおれと自分のことを指して言うので、あたしはあり得ない言葉なのです。


 男性はセキセイインコと引っ越しました。


 それからも、あたしの人形、それをセキセイインコは言っているそうです。

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