第5話 まさかの面接…?! 面接編
一部修正しました。
————————————————————
「…ふー…ふー…」
俺は今、男性社員に案内された部屋で待機をしているところだ。
何をしているかって?
昨日、ネットで調べた緊張をほどく方法を今実践しているんだよ!意味があるかわ分からないけど…
この部屋は3階にあったのだが、そこに向かっている途中に少し事務所の中を見ていたんだが…
どこもめっちゃ綺麗で、クソほど広かった。
確かに、外から見てそんなことはわかっていたつもりなんだが、実際見ていると、すごいなーと思うと同時に心臓がドクンドクンだ。
もー何回緊張するんだろう。事務所を外から見て、待合室で事前説明を聞いて、そして実際に中を見て…。一応、緊張をほどく方法を調べといて正解だったかもな。
まー、ただ深呼吸をしているだけなんだけどね。
「それでは、どんどん初めていきますので、名前を呼ばれた方から、私についてきてください。待っている間はスマホなど触っても良いですし、前の机の上に置いてある雑誌や私達の事務所ファミールについて少しだけ書かれている本などもありますので、もし暇であれば読んでみてください。
それでは、一番は…」
そういい一番の方の名前が呼ばれ、面接に向かって行く。
今思ったのだけれど、これはどういう順番で呼ばれるのだろうか。多分、面接官の方が書類を持っているはずだから、それの順番で行なっていくはず。
これで、一番最後だったりしたらマジで緊張が半端なくなるから、できれば初めの方…遅くとも中盤より少し後には終わりたい…。俺は思うんだ…、面接もそうだが、プレゼンテーションなどのいろんな人の前で発表するものだったり、体育の時間などでやる実力テストだったり、そういうのって待っている時間が一番緊張するってね…。だから、俺はできるだけ早く終わらせたいのだが、
……
「では2番は…」
次に名前が呼ばれた人が立ち上がって向かって行く。正直呼ばれないかなーっと内心思ってはいたが…。10番ぐらいには呼ばれてほしいなーとは思いつつ、俺は前に置いてあるファミールについて書かれている本を取り、読み始めた。
…………………
………
「次の5番は…」
…………………
………
「続いて10番は...」
………………………
……………
……
「まだ呼ばれていない皆様、もう少しで呼ばれるのでもう少々お待ちください。次に40番は…」
…………
え?こんなに呼ばれない?
10番が呼ばれて、心の中で、だったら20番までには呼ばれてと思っていたら、20番が呼ばれ…
だったら30番と思ったら、また呼ばれず…、もう40番になってしまっている。
…なんかもう、一番最後なんじゃないかって思い始めてきたぞ…、てかなんなら、一番最後でもいいから早く呼ばれてくれと思い始めている。
面接が始まってから、もう2時間30分ぐらいは経ってはいるけえれど、雑誌やファミールの本があったおかげで時間経過が思ってたよりも早く感じる。
はー、もう一回ファミールの本を読みながら待っておこう。
———————————————————————
vtuber事務所 ファミール
ファミールは、vtuberというものができた2016年初期から一年と半年くらい経った、2017年8月26日に設立された。一番初めにデビューしたのは、来栖セン、
神楽坂ながい、星月まほ、音羽タキ、プリンス・クイーンの五人であった。この頃はまだ、同期ユニット名などはなかったが、今は古参組と呼ばれている。当初はvtuberというものが世間に広まっていなかったからか、全然伸びていなく、登録者数も伸びていなかった。それから少しずつ時間が経過し、新しい人がたくさん入ってきて、少しずつ有名になってきたが、一番の転機は2019年のことだ。2019年にデビューした、胡桃ひまり、天皇寺オウ、天ヶ瀬ハル、如月ユキ、椿のぞみの5人からなるユニット名 シーズンが大バズりしたのだ。特に、胡桃ひまりは歌や雑談の上手さが世間に認められてファミールにたくさんの人を集めてくれた。そのおかげで、他のファミールのメンバーも多くの人に知ってもらえて、シーズンだけでなく、他のメンバーも登録者数が一気に増えたのだ。
ここまで有名になった理由はこれだけでない。
2020年にvtuber事務所初の、海外のvtuberをデビューさせたのだ。これにより海外の人にもvtuberというものや、ファミールのメンバーを知っていただくことができ、日本だけでなく海外でも有名になっていったのだ。
この二つの出来事により、視聴者の数や認知度が増えて、大きなライブを開催することができたり、たくさんの案件を貰えたり、グッズを作ってもらえたりとできることが多くなった。
これにより、大手vtuber事務所になることができたのだ。
ファミールで有名な配信や動画、歌って見たなど
・同期と一緒に family ruby 歌ってみたよ!
(by 胡桃ひまり、天皇寺オウ、天ヶ瀬ハル、如月ユキ、椿のぞみ) 胡桃ひまりch
・よく晴れた日に を歌ってみました(by 早乙女シンカ) 早乙女シンカch
・初凸待ち!もっとみんなのことを教えて!
来栖センch
・fps初心者大歓迎!fpsのやり方やコツなどを教えます 天皇寺オウch
・初クラフト!古参組のみんなとユアクラフトの世界に行きますわよ〜(来栖セン、神楽坂ながい、星月まほ、音羽タキ、プリンス・クイーン)
プリンセス・クイーンch
……
———————————————————————
読むのは2回目なのだが、やっぱり面白いし、今は大手vtuber事務所というところまでこれたが、昔は随分と苦労していたことがわかった。
特に、2017年から2019年の約2年間を頑張ってきた人達は、本当に辛く、たくさんの努力をしてきたと思う。けれど、今のファミールがあるのは、古参組の皆さん含めた、昔からこの事務所にいた人たちのおかげなんだと、読んで感じ取れる。
「では、50番目の伊東蓮さん。大変長らくお待たせいたしました。今から案内します。」
…はっ、やっと呼ばれた…!しかも、50番目ってことは、やっぱり一番最後なんじゃないか?
なんとなくそんな気はしていたが本当にこうなるとは思っていなかった。
「はい、わかりました」
そんなことを思いつつ、返事をして、案内してくれる男性社員について行こうと思った時に、少し面接待機部屋を見てみると部屋の隅の方に、雑誌を読んでいる一人の男性がいた。
あれ…?一番最後じゃないんかい!
確かに、50人ぐらいかなとは思っていたから、一人二人ぐらい多くてもおかしくはなかったけど!
…まーいいや、今は面接に集中だ。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
「面接する部屋は、3部屋合って、そこで空いたところから、面接を行なっているんですよ。社長と副社長、その下のもの何人かになってやっていて……」
俺は、男性社員の話しを聞きながら、面接部屋に向かっていた。
社長と副社長もメインになってやっているのか…。
どの部屋にになるかはわからないけれど、緊張が少し増して来ちゃったよ…。
けど、確かに、約100人もの人がいるんだから、分けてやっていかないと、終わらなくなってしまう気がする。
「ここが、面接部屋です。頑張ってくださいね」
そう少し微笑みながら言って、男性社員は来た道を戻って行く。
ふー、緊張はするが、あれだけ長い時間待ったからかすこーしだけ和らいでいる。
いくか…
コンコンコン
「どうぞお入りください」
中から入る許可を得てから、俺はゆっくりドアを開けて、中に入り、ドア閉める。
「本日はよろしくお願いします」
そう言ってから45度のお辞儀を1秒ほどやり、座るイスの横に立って待つ。目の前には社長っぽい女性と一人の女性社員が座っている。
「どうぞお座りください」
「失礼します」
座る許可を得てから、少しお辞儀をして椅子に座る。
よし、ここまでは面接について調べた通りにやれている。
「では、今日はよろしくお願いします。この事務所の社長をしている加藤と言います。こちらは社員の鈴木です」
「よろしくお願いします」
社長から紹介されると、鈴木さんは少し頭を下げて、挨拶をしてくれる。
この部屋は、社長が行なってくれる部屋なのか…。
けど、社長自らがやってくれるんだから、自分の長所をとことんアピールしていこう。
…と、思ってはいるものの、結構緊張しています。
「よろしくお願いします」
俺も、挨拶をして、少し頭を下げた。
「まず、これは皆さんに言っているんですが、そこまで緊張なさらなくて大丈夫ですからね。確かに面接は緊張するかもしれませんが、リラックスしてやってください。」
「は、はい。ありがとうございます」
正直こういう言葉を言ってくれるのは本当にありがたい。もし、これでキッチリとした感じだったら緊張で声が震えてしまうかもしれなかったからね。
まー、今も少し震えてるんだけど、
「では、1つ目の質問です。書類を見た限り、あなたはあまりvtuberというものを知らなかったと感じたんですが、あなたはなぜこの事務所に申し込んだのですか?」
「はい、私は一年と半年歌い手として、ミューチューブに歌ってみた動画を投稿してきたのですが、あまり上手くいかず、登録者数も伸びていきませんでした。流石にこのままではいけないと思い、何か出来ることがないかとインターネットを見ていた時に、御社が新人を募集していることを知ったのです。…正直申しますとこの時は軽い気持ちで応募をしました。もしかしたら、自分もvtuberになれば上手くいくかもしれない。今の現状を変えれるかもしれないなどと御社を受けるにしてはとても弱い動機ではありました。しかし、少しvtuberといいうものを知り、自分もゲーム配信などをしてみんなを楽しませたい。視聴者と一緒に雑談をしてみたいなどと思いはじめ、自分も御社の一員として、一緒に頑張っていきたいと思っております。」
ふー、よし、想定内ではあった。少し、練習していたよりも多く語ってしまったが、自分の正直な気持ちを言えることができた。
「はい、わかりました。では、あなたは少しvtuberについて知ることができたと言っていましたが、ファミールのメンバーで少しでも知っているメンバーもしくは気になっているメンバーはいますか?知っていたらでよろしいので教えてください。」
…よし、これも聞かれるだろうとは思っていた。
「はい、私が気になっているメンバーは、早乙女シンカさん、胡桃ひまりさん、来栖センさんです。なぜかともうしますと、私は歌い手という身分であったことから、歌がとても大好きで、今日までの間、ファミールのメンバーの歌ってみたなどを聴いていたのですが、この3名はとても歌が上手で、自分もこのように歌を歌いたいと思ったのが一番の理由です。他にも、私はアンという歌い手が好きなのですが、早乙女シンカさんは、歌い方などがとても似ていて、感動したという理由もあります。」
本当はもっと言いたいことはあったのだが、あまり長いこと述べると時間が足りなくなるので、ここまでにしておく。それに、俺の予想だと、流石にあの質問が聞かれると思うから、そのための時間稼ぎ。
「はい、わかりました。ありがとうございました。では…最後にしましょうか。出来るだけ早く終わらせたいと思うので。」
最後か…よし、来い。
「書類を見てみますと、あなたの得意なことの欄に歌、そしてピアノとありますが、今から披露していただくことはできますか?ピアノも用意していますので、一番得意な方で構いません。また、一番だけでも構いませんので」
きた…!
これは流石に聞かれるだろうと思っていた。正直、面接練習でこれを聞かれた時用の練習が一番大変だったから、もし聞かれなかったら、練習し損だった。聞かれて良かった…
「わかりました。では、両方同時でもよろしいでしょうか?」
「…え、わ、わかりました。では、ピアノは左後ろに置いてありますので、準備ができたら教えてください」
「わかりました」
多分、ミスの一つや二つぐらいは絶対するだろう。けど、この面接のために家でたくさん練習してきたんだ。出来る限りはやるぞ。
俺はピアノに座り少し、ピアノに触っておく。
「はい、準備日できました」
「わかりました、ではよろしくお願いします」
俺が歌って弾くのは、ヒューズという曲。
これは、ボーカロイドが流行り始めた初期の頃にできた曲であり、歌い手界隈ではとても有名な曲だ。
ヒューズの意味は溶けるという意味で、歌詞はこれに恋などといった要素が組み込まれている。
初め、ピアノで弾くなら何がいいかなと思った時にこれなら原曲と似たように歌えもするなと思いこの曲を選んだ。
俺は少し、深呼吸をし、ピアノを弾き歌い始めた。
……………………………
………………
………
…
…ふー、疲れたーー、久しぶりにこんな集中したよ。けど、やっぱりミスはしちゃったなー…。そこは反省だ。
パチパチパチパチ
「…はい、ありがとう。感想を言うと、結果などに影響を与えるかもしれないからあまり言えないけど、本当に良かったとだけ言っておくわ。これで、質問は最後なので、今日はそのまま帰っても大丈夫よ」
「はい、ありがとうございました」
「えー、こちらこそ」
俺は、そのまま出口に向かい、部屋を出る。
「失礼致します」
45度のお辞儀をして、俺は部屋を出た。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
side 女性社員 鈴木
蓮が部屋を出た後のこと…
「…社長、どうでしたか?」
「えー、想像以上だったわね」
..うん、私も少しは驚いている。
まず初めに、ピアノと歌を同時にやるって言い出した時は本当に驚いた。多分、この面接のために蓮してきたのだろうけど、歌だけ若しくはピアノだけの練習で良かったところを、両方ともを選ぶと言うのはすごい勇気だったと思う。
「…やっぱり、面接で緊張していたからか、声が少し震えていて、ピアノのミスも少しだけあったけれど、やっぱりすごかったわね。歌声が胸に少し響く感じも…健在ね」
「はい、私は初めて聴きましたが、社長の言う通りでした」
胸に響いて、感動する。本当にすごい。
「まー、まだ歌は上手になる可能性もある。そして、もしその歌声がうちの会場で響き渡れば…、そんな妄想もしちゃうわね」
社長はそういい少し笑う。
この顔はもう決まっている顔だ。そう言う私も決まっているが。
「社長、彼は…」
「うん、合格ね。他の質問にも正直に答えていたし、歌もピアノも上手。これは決定ね」
「私も同意見です。…これで、面接は終わりましたが、今回はこの三人でデビューでいいですか?まだ、後二人ほどいけますが、」
「いや、この三人でいくわ。この三人なら上手くいく気がするの」
社長がそう言うならそうなのだろう。長いこと一緒にやってきているから、社長の言うことが本当なのはすぐにわかる。
「わかりました。……それにしてもよくこういった才能を持った人を見つけることができますね」
これはずっと思っていることだ。うちの事務所には、いろんな才能を持っている人がいるのだが、それら全て、社長が自ら選んで決めているのだ。
「見つけるというか…送ってきてくれているのを調べてみてるだけだけどね。けどね…私は埋もれてしまっている才能の持ち主を助けたいって言う気持ちがあるのよ。彼もそうだけど、そういった持ち主が誰にも見つけられないなんて可哀想じゃない」
…あー、やっぱり社長はいい人だ。この人には一生ついていこう。
「はい、そうですね」
私は、社長と一緒に笑った。
———————————————————————
※ 2話で書類審査で選んだ男性、女性の人数を20、30人ぐらいと書きましたが、男性、女性50、50と修正いたしました。
※すいません、面接といものをあまり知らないので、おかしいと思うところがあったかもしれませんが、お許しください
※追加1
すいません、3時間で全員の面接をするのは、現実的に無理じゃないかと言う、指摘があったので、少しだけ話しを追加しました。
矛盾点や、おかしなところがあれば、報告をよろしくお願いします!
※追加2
こちらの事情で、ファミールが設立された年を、2017年に変更いたしました。
もしかしたら、ここから先で、おかしなところがあるかもしれませんので、よろしくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます