Vtuberに挨拶は大事

これはとなりの宮川さんとたわいもない会話をする話。


無口な宮川さんと話せる時間。それは朝の教室で二人きりのときだけ。僕は今日も宮川さんと話すために早めに家をでる。


教室につくといつものように宮川さんは本を読んでいる。「おはよう」そう挨拶するがいつものように彼女から返事はない。。


僕が小説を読んでいると。彼女が話しかけてきた。


「挨拶って大事よね」


「そうだね。僕は毎日、宮川さんに無視されているけどね」


「そっちじゃないわ。Vtuberの挨拶の話よ」


「なんだそっちね。なんか「こんばん○○ー」みたいなやつね」


「そう。Vtuberにとって挨拶は命よ。自分というキャラを一番最初に知ってもらう大事な儀式。それが挨拶よ」


「それは大げさな気もするけど。今はどんな挨拶をしてるの?」


「「みんなおはよう」よか「みんなこんにちは」とか喋っているわ」


「全然キャラが伝わってこないよ!さっき命とかいっていたのに!」


「だって分からないもの。自分のキャラなんて」


「そう言われたらたしかに難しいかも。そういえばVtuberの外見どんな感じなの?」


「ただの頭にきつねの耳がついた女性よ」


「ただのじゃないよ!十分キャラがたってるよ!」


「ならどんな挨拶がいいか。考えてちょうだい」


「うーん。そうだなー。こんばんぴょんぴょんとか・・・」


「・・・・」


「黙らないでよ!真剣に考えてるんだから!」


「だって恥ずかしいじゃないこんばんぴょんぴょんとか」


「恥ずかしくないよ!その恥ずかしさを超えた先に初めてキャラと自分を一体化できるんだよ」


「なんかいきなり熱いわね」


「ごめんよ。つい熱くなっちゃったよ」


「いや、ありがとう。そこまで真剣に考えてくれて嬉しいわ」


「宮川さん・・」


「よし、挨拶はこんばんきーつねにするわ」


「だめだよ!なんか著作権的にアウトだよ!」


宮川さんの特訓は続く。




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