第4話 掲示板が盛り上がる配信界隈!
赤染茉理、そしてそれ以上にウルフは。
ネット上において、注目の的になりつつあった。
***
〜某掲示板にて〜
222:名前:名無しの探索者志望
結局のところ、あのウルフって奴はホンモノなのか?
223:名前:名無しの探索者志望
>>いるわけない
特務機関なんてそもそも都市伝説、あったとしても全滅って話だ
いまさらノコノコ赤染茉理のチャンネルに出る意味がわからないって話だろう?
224:名前:名無しの探索者志望
ウルフだからって狼化っていう安直さからして偽物らしさ満載なんだよな……
有名なウルフの逸話から思い描けるかっこいい姿と、あいつはまるで合わない
ただの厨二病にウルフを騙られちゃ、地獄で本物のウルフが泣いてるぜ
225:名前:名無しの探索者志望
振り返ってみると
赤染茉理チャンネルにたまたま紛れ込む
ふたりの絡みが初対面にしては面白いと話題になりバズる
こんな出来のいい話があるとは思えないんだよ
どうせ昔からの知り合いでしょ
226:名前:名無しの探索者志望
>>知り合いだとかどうとか、どうでもよくないか?
偽ウルフ、ふつうに強くてキャラ濃いし茉理との絡みも見応えがある
カップルチャンネルとして再始動しても全然オーケーだぜ、俺は
227:名前:名無しの探索者志望
>>元赤染茉理ファンですが、あのキザったい男が茉理たんと仲良くしていることが許せない
僕こそが茉理たんと結ばれるべき運命にあるはずなんだ、世界よ、目を醒ませ!
間違っているのは僕じゃない、世界の方なんだ!
最近ではウルフに対して呪詛を唱え続けるのが日課になっている!
くたばれ、この世の屑ウルフ!!!!!
228:名前:名無しの探索者志望
うわっ……ヤバい奴おるやん
こんなのが赤染茉理のファン層と思うと、茉理さんもかわいそうってもんだな
ちなみに通報しておきました
229:名前:名無しの探索者志望
まあ仕方ないかもね
茉理ちゃん、賛否あるけどふつうに可愛いし、憧れちゃうよね
ウルフがダンジョンから出るのは危険だろうね
特定の層から恨みを買いかねないキャラしてるし
230:名前:名無しの探索者志望
ウルフ偽物説がもうここでは優勢だから、ここで俺はあえて逆張りをしようと思う
231:名前:名無しの探索者志望
ほぅ
232:名前:名無しの探索者志望
理由は三つ
まだ決定的な証拠はないけど
・並外れた戦闘能力
いわずもがな
あのダンジョンの難易度はかなり高いが、余裕そうに戦っている
戦闘のセンスがいいと素人目でもわかる
・外見
コードネームが【狼】なのは、都市伝説では「一度見つけた敵は、執拗に追いかけ必ず牙をむく暗殺者」であるため、となっている
しかし実際のところは「顔が狼」だったから、ではないか
・発言
決め台詞が似ている
ネットのものを真似たといえばそれまで
でも、あまりにも板についている
嘘をついているにしては、あまりにも【狼】すぎる
どうだろう?
233:名前:名無しの探索者志望
長っ
それでもって、指摘通り根拠が薄弱
いいがかりにも程がある
234:名前:名無しの探索者志望
うーん
あいつが偽物ともいい切れないかもな
俺らはあくまで「ネットに蔓延る、ソース不明の都市伝説」から勝手に世界最強の暗殺者・【狼】像を組み上げているに過ぎない
まぁ、本物だとしたら、あんなだろ?
……信じない方が幸せだな
235:名前:名無しの探索者志望
【速報】ウルフの幼少時代の写真が流出wwww
[リンクはこちら]
236:名前:名無しの探索者志望
まさか……?
237:名前:名無しの探索者志望
釣りで草
なんでニホンオオカミの赤子なんぞ見せなきゃいけないんだよ!
おい!
おもんないぞ
238:名前:名無しの探索者志望
これがウルフの幼少期か
このときなら俺でも殺せたな!
239:名前:名無しの探索者志望
ニホンオオカミなんてとっくに絶滅してるんだよなぁ
仮に冗談を信じたとしても、ウルフがめっちゃ爺さんってことになる
240:名前:名無しの探索者志望
ベテランの爺さんがJK相手に厨二病全盛期を発揮していると仮定すると……
おっと?
241:名前:名無しの探索者志望
これ以上はいけない
242:名前:名無しの探索者志望
ふーん
【狼】本物説か
面白いかもしれん
243:名前:名無しの探索者志望
絶対ワイは信じないで
逆張りすることでしか自分を表現できないなんて哀れ
まあ今後も配信は見続けて投げ銭もしまくるんですけどね
244:名前:名無しの探索者志望
なんやねんお前
245:名前:名無しの探索者志望
ともかく、いまのところは様子見だな
赤染茉理とウルフのコンビは、探索者界隈で最も熱いといっても過言じゃなかろう
246:名前:名無しの探索者志望
いまのうちに古参名乗っておいた方がいいかもな!
***
「……ほぅ、いまだ俺の存在は半信半疑らしいな」
「なに見てるの?」
ケルベロス討伐後、赤染を素材回収に当たらせていたウルフは。
時計型端末でエゴサーチをしていた。
「俺の評判だ」
「どうせ最低でしょう」
「いまのところはな。どうせ偽物と決めつけられたり、勝手に老犬扱いされたり、散々だ」
「当然の結果でしょうね」
口ではなんとでもいえる。自分が本物と訴えようとも、ウルフの場合、実態を知るものはごくわずか。
偽物でないと証明するのは難しい。悪魔の証明と同じだ。
「まあいいさ。いまが最低なら、いずれ最高へと至る可能性があるわけだ」
「最悪の未来予想図で笑えないんだけど」
いまのところ、ウルフが本物のウルフとして認められるような、決定的な根拠がない。
しかし、ウルフや特務機関の実態を知る、ごくわずかな生き残りが表の世界に顔を覗かせ、ウルフと接触すれば。
そのときには、大きな変化が訪れてもおかしくないというものだった。
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