第21話

 俺はニャリスの動画を見る。


『ふぉおおおお!来たよ来た!チャンネル登録者2万を突破!ありがとね!!』


 テンションが高い。

 でも、戦闘スタイルはアサシンタイプなんだよな。


 ニャリスがスライムのダンジョンに入ると、現れたスライムをアサルト型の魔道銃で瞬殺していく。


『ん、ボススライムがいる奥に行く』

『OK、どんどん行くよお!』


 倒したスライムを無視して奥に進んでいく。

 身のこなしがいい。


「アクアマリンと同じくらいの強さか、いや、少しニャリスの方が強い」


 ニャリスが奥に進むとボススライムが現れた。


『おりゃあああああああああ!』


 バシュンバシュンバシュンバシュンバシュンバシュンバシュンバシュンバシュンバシュンバシュンバシュンバシュンバシュンバシュンバシュン!


 銃から光る魔法弾が乱射されてボススライムを難なく倒した。


『いえーい!やったぜえ!ひゃっほう!』


『ニャリス、魔力は残ってる?』

『まだまだ撃てるよ!撃ちまくるぜええええ!!ひゃっほう!!』


 こうして次のボススライムを探して走り回る。


 コメントをチェックした。


『ニャリスちゃんのファンになりました。チャンネル登録させていただきました』

『ニャリスかわいい!応援してるぞ!』

『ニャリスタン復活!ニャリスタン復活!ニャリスタン復活!ニャリスタン復活!」


 好意的な意見が多いようだ。

 

『3万登録突破!ありがとねえええ!』


 こうしてダンジョン探索は続く。

 俺はギルドカードをしまった。


「問題無いようだな」

「イクス、配信を再開しましょう」

「だが、こっちにはパープルメアがいる。ニャリスを視聴している者がこっちに流れてくるんじゃないか?」


「後で何回かコラボするから大丈夫よ。配信を再開しましょう」


「うむ」


 配信を再開した。


「くっくっく、魔王だ!今ニャリスのダンジョン配信を行っている。良ければそちらの視聴とチャンネル登録をするのだな!くっくっく」


『こいつ自分のチャンネル登録は一切勧めてこないよな?』

『それは俺も思ってた』

『でも伸びてる件』

『そりゃあ、次のネタが気になるだろ?』


「次の奴隷を購入する」


『来た来た来た来たああああああ!』

『ニャリスは救われた。次は少女か?』

『美女希望』

『次は美少女だろ?』


「受付嬢よ。地下室に案内するのだ」

「分かりました。魔王様」


 俺は受付嬢に案内されて地下に降りていく。


『受付嬢もノリノリでウケるwwwwwww』

『受付嬢いいよな』

『くびれがいい感じだ』

『それよりも太ももが気になる』

『タイトなギルド服いいよな』

『奴隷契約や地下室を見る機会はないので勉強になります』

『パープルメアの素が好き』

『お母さんも素が出ている』


「次はこの子がお勧めよ。バンパイア族のカノン。読み書き計算、礼儀、それに魔法も使えるわ。即戦力でお勧めよ」

「親の事業が失敗して借金奴隷になった、か。1200万ゴールド」


 アクアマリンの進化前より大人に見える。

 その為かアクアマリンより高額だ。


「カノン、俺に買われる事をどう思う?」

「買って欲しいですわ。おかしな方に買われるのは嫌ですもの」


 消極的な賛成か。

 仕草が大人っぽい。

 厳しくしつけられてきたのかもしれない。


『買ってやれって!』

『可愛い顔をしている。将来が有望すぎる』

『かわいそうだ。買おうぜ』

『かわいそうだ。飼おうぜ』

『なんか、ほっておけない感じがする』


「所で、その右手の腕輪はなんだ?」

「形見ですわ」

「だから取られなかったか。魔力チェックをする。手を合わせてくれ」


「もうチェック済みよ。魔法使いタイプで雷攻撃が得意よ。間違いないわ」

「だが、魔力が、変というか、違和感がある」

「この形見は私を守る効果がありますの」


「そのせいか」

「魔王さん、購入して初心者装備を揃えますね」

「うむ、武器は指輪・杖、どれを使って来たのだ?』


「指輪がいいですわね」


 俺は奴隷契約をし、装備を揃える。

 ローブと魔法攻撃用の指輪を装備した。

 カノンはにこにこしていた。

 お嬢様教育のせいか?


「よし、いいだろう。これで一段落だ」


「イクス!やばいぜ!アクアマリンが魔物に包囲されている!」


 俺は自分の配信を切ってアクアマリンの配信を見た。


 アサルトアントの群れにアクアマリンが包囲されていた。

 まずい!

 殺される!


「イクス!あなたが一番早いわ!」


 アクリスピはダンジョンの中だ。

 俺が一番早くたどり着ける。


 全力で走れば間に合うか!


 俺はギルドの扉を蹴り開けて走ってアクアマリンの元へと向かう。


 間に合え!


 間に合え!


 間に合え!

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