身バレしないように奴隷少女を買ってダンジョン配信させるが全部バレて俺がバズる
ぐうのすけ
第1話
俺(イクス)は呪いを受けて冒険者を休業していた。
だがある日閃いた。
奴隷を買ってダンジョンで動画配信をすれば暇潰しになる。
もし動画が受けなくても冒険者として働かせれば収入源となる。
動画配信と魔物狩り二段構え作戦だ。
死にさえしなければ数年で元は取れる、これで行こう。
俺はギルドに向かった。
ギルドは冒険者登録から物品の販売、宿泊施設まで何でもこなす大きな総合施設だ。
ギルドに入る前に仮面をつける。
「イクスさん、何をしているんですか?」
ギルドの受付嬢が俺を見た。
「仮面をつけている」
「あ、声を女の人に変えてますね?顔の認識阻害もしてます?顔がもやもやしています」
「そういう魔道具だ。これから俺の事を名前で呼ぶのはやめてくれ」
「え?え?なん、ですか?」
「今から奴隷を買って動画配信をさせつつダンジョンで魔物を狩らせる」
「弟子が欲しければ紹介しますよ?」
「いや、奴隷が欲しい」
「……分かりました。イクスさんのやる事は後で大体結果が出ていますから。入りましょう」
「イクスと呼ぶな」
俺はギルドの地下に案内された。
ここには奴隷が住んでいる。
「どのような奴隷をお探しですか?」
「少女を買いたい。見た目が良い方がいい」
年頃の奴隷は高い。
となると残るは子供だ。
少年と少女では少女の方が安い。
少女は安いが、育てて美人に成長すれば価値は上がる。
美少年より美少女の方が動画配信で同時接続数が多くなり投げ銭も多くなる傾向がある。
「本当に動画配信をするんですか?動画に映るの、嫌いですよね?」
「やるのは俺じゃない。奴隷にやらせる」
「慈善事業ですか」
「くっくっく、何を言っている?俺は富を増やすために奴隷を買うのだ、くっくっく」
「はいはい、案内しますよ」
奴隷が並ぶ。
奴隷には最低限の食事を与える義務がある為餓死する事は無い。
袋を縫ってワンピースにした手抜きの服を着ており定期的に体も洗ってある。
「4人くらい一気に買っちゃいませんか?いえ、30人くらい行っちゃいましょう。維持費用がかかるので早く売ってしまいたいんですよ。イクスさんなら優しく面倒を見てくれそうですし安心できます」
「イクスと呼ぶな。面倒を見きれるか分からない。まずは1人だ。オオカミ族の少女を貰おう」
オオカミ族の少女が前に出る。
「アクアマリンさん、自己紹介をしてください」
「あ、アクアマリンです。家が貧乏で売られてここに来ました」
「借金奴隷か。年は何才だ?」
「わ、分かりません」
「そうか」
あまりに貧乏で読み書きを出来ない場合年齢を気にしない親もいる。
少女を観察する。
人間の耳の他に頭の上にオオカミの耳が生えており、後ろには尻尾が揺れている。
淡い青色の髪をセミロングのシャギーカットで切り揃えられている。
目の色も髪と同じ淡い青色をしていた。
服を見ると1000万ゴールドと書かれていた。
大人が普通に働いたとして給金は月15万程度だ。
月の家賃が大体5万、自炊すれば食費が3万程度。
1000万は安い金額ではない。
だが即決した。
周りの奴隷も見渡す。
見た目の好みで選んだがこの中で一番高いか。
「アクアマリンは将来美人になりますよ」
「そうかもな。配信に向いている」
「本当にやるんですか?初期投資がかなりかかりますよ?」
「うむ、数年後に利益が出ればいい」
「慈善事業」
「ではない。くっくっく、アクアマリン、お前にはこれから冒険者として活動してもらう。それと同時に動画配信も並行してやって貰う。しばらくは配信数が伸びず冒険者としての活動も思うようにいかないだろう、だが俺は気が長い。数年後には私に富を運ぶのだ。言っておくが死ぬ事だけは許さん。分かったな?」
「は、はい!」
「命大事にだ」
「え?」
「命を大事にしろ!死なれれば損失が確定してしまう!死なずに戻って来るのだ。分かったな?」
「はい!」
「アクアマリン、質問だ。魔物に囲まれて殺されそうになったらどうするのだ?死ぬまで戦うか?逃げるか?」
「逃げて生き延びます」
「よろしい!」
「イクスさん。お支払いは上になります」
「受付嬢、今日から俺は奴隷に稼がせる者だ。その名前はやめてもらおう」
「身バレしたくないんですね」
「うむ、これから俺の事は魔王とでも呼ぶがいい」
「分かりました。魔王さん、アクアマリンさんには何と呼ばせましょう?配信をするのに魔王様はおかしいでしょう?」
アクアマリンが俺をじっと見た。
「ご主人さま、でいいですか?」
「うむ、それでいく」
俺達は地下から上がった。
ギルドカードを魔道具にかざす。
ギルドカードで決済が出来るのだ。
「1000万ゴールド一括ですね」
「うむ」
「キャラ、作ってます?」
「うむ」
「口調がなじんでませんね。たまに素に戻ってますよ?」
「うむ」
「認識阻害で顔が分からないですが、顔がもやもやしてて逆に目立ちます」
「うむ」
「髪色を黒から茶色に変えました?」
「うむ」
「くっくっく、アクアマリン、食事は摂ったのか?」
「少しだけ食べました」
「少しだけ?いかん、いかんな。受付嬢、戦士セットを頼む」
「1000ゴールドになります」
「一括で頼む」
俺はギルドカードで会計を済ませた。
「座るのだ」
「は、はい」
「冒険者は体が資本だ。よく食べよく働きよく遊びよく寝る事だ」
「はい!」
戦士セットが運ばれてくる。
大きなパンに肉と野菜が挟まり、大きな器にはベーコンとたっぷり野菜のスープが入っている。
「食べるのだ」
アクアマリンが俺の顔を見た後お辞儀をして食べ始めた。
周りにいた冒険者が話しかけてきた。
「イクスさん、なにしてんすか?」
「今日から俺の事は魔王と呼ぶのだ!名前で呼ぶことは許さん!」
「ぎゃははは!なんすかそれ?ネタっすか?」
「言っておくが俺の事を名前で呼んだ場合電撃を食らわせる。本気だ!本気なのだ!」
冒険者がにたあっと笑った。
「イクスさん」
「イクスさん」
「イクスさん」
バチバチバチバチ!
「「あああああああああ!!」」
手から雷撃を放ち冒険者を黙らせた。
「冗談で言ったのではない。本気で言っている!繰り返す!今日この時を持って俺の名を呼ぶことを禁止する!! 繰り返す!今日この時を持って俺の名を呼ぶことを禁止する!! 」
周りの冒険者が笑い出す。
「ビリッとして肩こりに効くぜ。治療には最適だ」
「ぎゃはははは!チャレンジャーだねえ。電撃が怖くないのか?」
「ビリッとする程度だ」
「面白そうだな。毎日ギルドに通おうぜ」
「そうだな。皆で情報を共有するか。どう転んでも面白過ぎるだろ!」
「バカ、あんまり言うな。遠くで魔王様を眺めてにやにやするタイプの楽しむやつだ」
「うるさい!黙れ!」
俺はギャラリーを一喝した。
アクアマリンを見ると口にパンを詰め込み、スープで胃に押し流していた。
お腹が空いていたのだろう。
アクアマリンは俺をちらちらと見ていた。
そして小さな声で言った。
「男の、人……」
俺の後ろには男の冒険者がいる。
俺の性別がバレたわけではないだろう。
あとがき
お読みいただきありがとうございました。
もし気が乗ったらでよいので『フォロー』と【☆☆☆】を【★★★】にしていただけると嬉しいです。
やる気が上がります!
ではまた!
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