泣けるボンちゃんの昔話

司忍

第1話

むかしむかしーーーーー


ポプラの大樹のある村に、とても仲良しの兄弟がいました。弟は泣き虫のジャーノ。

やさしい姉のリーザーは、そんなジャーノが心配でたまりません。

[やーい、よわむしジャーノ!]今日もジャーノは木の上で泣いています。

村のいじめっこたちにおいかけられて、にげてきたのです。

[こら!やめなさい、あんたたち!]そこへ、リーザがたすけにきました。 

よわむしのジャーノを守るのは、いつもリーザのやくめです。[わぁ、リーザだ!にげろ!][ヘーン!リーザがいなきゃなんにもできないよわむしめ!]


[お姉ちゃん、たすけてくれてありがとう] [ねぇジャーノ。にげてばかりじゃだめ。もっと勇気をもたなくちゃ・・・] [う・・うん・・でも・・・]ふたりはいつも遊んでいるポプラの大樹の前にやってきた。ところが今日はちょっとリーザの元気がありません。


[お姉ちゃん、どうしたの?] [実はね、お姉ちゃんはとなりの国にはたらきに行くことになったの] ふたりの家は、びんぼうです。だから、リーザははたらきに行かなければならないのです。


ジャーノはびっくりして目を丸くしました。[うそでしょ!?そんなのいやだ!ボク!ボク!お姉ちゃんがいなかったら・・・・・うわーん!]ジャーノは大きな声をあげて泣きはじめました。[私だって行きたくないよ・・・でも・・・] [うわーん!いやだよう!うわ~ん!] [もうっ!ジャーノの泣きむし!そんなんじゃ・・・心配で・・・行けないじゃない] リーザのひとみから、ポトリと涙が大樹の根におちました。


その時ーーーーー[だだだだーーーーーーん!] ふたりの前に黒い大きな色の巨人が突然現れた。[うわぁ、出たあ、オバケーーー!!] ジャーノはおどろいて、いちもくさんににげていった。 すると、後ろから巨人の声が聞こえた。[ダダダダーン。この子は、おいしそうだだだーん!] 黒色の巨人はそう言ってリーザをつまみあげるとドシンドシンと山にむかって行ってしまった。


[どうしよう!どうしよう!お姉ちゃんが巨人につれて行かれちゃったよ!!] ジャーノは、ただオロオロするばかりです。そんなジャーノの前に、一匹の犬が現れました。


お前、お姉ちゃんをたすけに行かないのかワン? [えーーーっ!犬が!犬がしゃべった!!] ジャーノは、おどろいてとびあがりました。 [オイラはゴン。人間の言葉が話せる特別な犬だワン! お姉ちゃんが、このままでもいいのかワン?] [そ、それは・・・でも・・ボク・・・] ゴンは、ジャーノのよわむしにあきれ顔です。


[あの子をさらったのは森の悪魔ロゴダンだワン! 子供をさらって食べちゃうわるーいやつなんだワン!] 


[えぇっ!む、村の人をよびに行かなきゃ!!] [そんなひまはないワン!クンクンクン・・・こっちだワン!さあたすけに行くワン!!] ゴンは、ジャーノの服にかみついてジャーノをひきずってつれて行きました。


次話に続く・・・・

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