SYN.

弊順の嶄

第一部 Syndrome

第1話

ゆめみるお仕事①

 夢を見ていた。


 明晰夢だ。これは夢だと認識できている。

 日常の記憶をそのまま再生したような、象徴的な意味はどこにも見い出せない、ごく普通の夢だ。


 その中に、見慣れぬ男の姿があった。

 文字通り色づいた景色の中で、唯一、白と黒のみで構成されたモノトーンの男。だが俺の意識は、不思議とそれを異常とは感じなかった。

 その男がこちらを振り向こうとした直後――俺の意識は、現実世界へと掬い上げられる。



 瞼を開くと、目と鼻の先にローテーブルの脚があった。

 慣れた鈍痛が襲ってくる。体の節々が痛い。きっとまた発作が起きたのだろう。


「……またか…」


 本日、四度目の起床だった。



◇ ◇ ◇

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