スクールカースト最底辺を脱却しようと自分磨きを始めたら、幼馴染が焦ってる件。
シノー
第1話 幼馴染が告白された。
「好きです。付き合ってください」
幼馴染を迎えに教室行くと、ドアの向かうからそんな男の声がした。
一体誰が告白されているのだろうと興味本位でガラス付きのドアからチラッと覗く。
すると、目の前には俺の幼馴染、茅野莉子がいた。
えっ、莉子がどうして……
しかもイケメンで有名なクラスメイトのやつと二人きりで……
まさか、莉子が告白されてるのか?
信じたくない状況を見てしまい、俺はうまく状況が理解できないでいた。
莉子は、どう返事をするのだろうか。
告白を受け入れるのかな……
そうなったらこの恋は俺の片想いで、終わるのかな……
この告白の結果が心配になっている俺を置いて、莉子は申し訳なさそうに告白の返事をする。
「わ、私、好きな人がいるので……ごめんなさい」
「そっか、わざわざごめんね」
莉子の返事を聞いて安堵のため息を吐く。
「はぁ、よかった………」
心の中に留めておいたつもりが、口に出ていた。
でも、安心したのも束の間、すぐに莉子の返事の意味に気付いてしまった。
「莉子、好きな人いるのか……」
莉子の好きな相手に嫉妬してしまう。
誰なのかな……?
バスケ部エースの高橋、成績トップの田中、誰に告白しても莉子なら成功しそうだ。
莉子に好きな人がいると分かった今、俺はどうすべきなのだろう。
いっそ、身を引いて莉子の恋を応援なんてことも考えたけど、そんなことをしても確実に俺は莉子を好きでい続けると思う。
「じゃあね、今日はありがとう」
この先のことを考えていると、男子が帰ろうとしていたので俺は慌てて教室から離れる。どうやら、告白を聞いていたのはバレずに済んだようだ。
学校にいてもやることがないので、下駄箱に向かい帰ろうとすると不意に誰かに話しかけられた。
「明人ー!待っててくれたの?」
隣を見るとそこには、さきほど告白されていた莉子がいた。
「まぁね、だっていつもそうだろ?」
いつも一緒に帰っているが、今日は先に帰っていてと言われた。
それを勝手に委員会の仕事で居残りだと考え、待っていた結果あの現場を見てしまったというわけだ。
あの時帰っていればと今更ながら後悔する。
「うん!待っててくれてありがと!じゃあ、帰ろ?」
莉子はそう言って嬉しそうに歩き始めた。
帰り道、いつもよりテンションが低い俺を莉子が心配そうに見てきた。
「明人どうしたの?元気ないよ?」
莉子は、自分の好きな人が原因だなんて思ってないんだろうなぁ。
心配させたくなくて、俺は無理に笑顔を作る。
「大丈夫、俺は元気だよ」
「ほんとに?」
俺の気持ちは見透かされているようで、俺の言葉を信用してくれなかった。
それでも、莉子が原因だとバレたくないので俺は平常心を取り繕う。
「本当だよ」
「そっか、でも何かあったら私に話してね?相談乗るよ!」
莉子は追及せずに、暗い俺の気持ちを察してか笑顔を見せてくれる。
本当に、莉子は優しいなぁ……
そんな莉子の笑顔を見ていると、やっぱり俺には莉子を諦めるなんて無理なんだと分からされる。
そう分かってしまった今、俺にできることは……
今から頑張ろう。
勉強だってオシャレだって、自分磨きをしないと何も始まらない。
今から、莉子に好きになってもらえるように頑張らないと莉子が誰かに奪われてしまう。
これは、最後の抵抗。
自分磨きをして、莉子に告白。
そして、莉子と付き合うためにも俺は……
スクールカースト最底辺を脱却するんだ。
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