『ライトノベルとは何なのか』とは何なのか

平沢ヌル@低速中

はじめに

 ライトノベルとは何なのか。

 はっきり言って、そんなことを語るような資格は自分にはない。

 私は自作小説を書籍化したこともなければ、web上で大ヒットさせたこともない。書いている小説はライトノベルと純文学の中間といった代物で、25万字の長編を1本完結させ、数千字程度の短編を何十本か書いている、その程度だ。

 また、ライトノベルも純文学も、数を誇れるほど読んではおらず、世の中の流行や文芸賞の最新の動向にも疎い。

 では、なぜそんな凡人が、「『ライトノベルとは何なのか』とは何なのか」を語る羽目に陥ったのか。

 少し前からTwitter上では「ライトノベルとは」という論考が取り沙汰されて、談論風発、侃侃諤々の様相だ。これはただ私が、何となく関心を持ってしまったからそう感じるのかもしれないが。中には戦闘的なことを言い出す人や、派閥抗争じみた論陣をぶち上げ始める人までいて、正直なところ、精神衛生にはあまりよろしくない。

 つまり、その思考が頭から離れなくなってしまったので、ここらで少し吐き出しておきたい。だからこのエッセイは、小説界隈の浅瀬に生息する蟹の泡吐きのようなものだ。

 なお、特定のジャンル、あるいは本件に関する特定の発言者について、支持を表明するとか、批判をする意図はない。

 またこのエッセイでは、あまり具体例を上げない。ライトノベルや純文学の具体例を挙げてその中身について詳細に論じるのは他の執筆者の論考に任せたいと思う。そのため机上の空論に陥りがちな部分もあるかもしれないが、そういうものだと思って読んで欲しい。

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