根古田博士の災難(さいにゃん)
奇跡いのる
プロローグ
彼を知る者は彼についてこう言う。
『独り言のボリュームがおかしくて、怖い』と。
また、別の者は彼についてこう言う。
『あの人は猫のことになると見境がなくなる 』と。
彼を知らない者もこう言う。
『なんか知らんけど気持ち悪っ』と。
これは、猫を愛し、ひたすら猫だけを愛し、それなのに猫に愛されなかった博士の、可笑しくも悲しい物語である。
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